国防に要する兵力 海軍之部(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり)
國防ニ要スル兵力
一、帝国の国防方針に従ひ海軍用兵上最重要視すへき想定敵国に対し東洋に在て攻勢を取らんか為には我海軍は常に最新式即ち最精鋭なる一艦隊を備へさるへからす而して其兵力の最低限は左の如くなるを要す
戦艦凡二万噸 八隻
装甲巡洋艦凡一万八千噸 八隻
以上を艦隊の主幹とし其作戦機能を完からしむるに要する他の巡洋艦及ひ大小駆逐艦等各若干隻を附す
右兵力を国防上の第一線艦隊とす
二、列国海軍の趨勢、製造力及技術の進歩等に鑑み且つ已■の経験に徴し装甲艦の有効艦齢二十五ヶ年を三期に区分し竣工後八年迄を第一期第九年より第十六年迄を第二期第十七年以後第二十五年迄を第三期とし而して其第一期に属するものを以て第一線艦隊の編組に充つるものとす
第二期及第三期艦齢に当る軍艦を以て予備隊を編組し必要に応し或は第一線艦隊の増援に充て或は局地の防禦警備等に任せしむるものとす
局地の防禦に充つへき小艦艇の如きは艦齢第二期第三期に属するものを以てするの外尚ほ多少新造補充を要することあるへし
三、軍港、要港、防禦港、主要軍需品の製造所其他諸般の設備は凡て前記第一第二項の要旨に伴ふ如く施設せらるるを要す
四、河川湖航用の砲艦並漁業保護を目的とする軍艦の製造の如きは主として政略上の必要に基き決定せらるへきものとす
(附言)本案は列国海軍情勢の変遷に応し改定を要することあるへし
御参考
帝国海軍の主力は現在の軍艦、現に製造中に属するもの及既に製造を予定せるものを悉く計上するときは明治四十六年度の終りに於て概ね左の如くなるへし
戦 艦 十六隻
内
第一期 五隻
第二期 十隻
第三期 一隻
装甲巡洋艦 十七隻
第一期 七隻
但し内三隻は約一万四千噸
第二期 十隻
(国立公文書館:国防に要する兵力 海軍の部 C14061024900)
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