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国民勤労報国協力令 1941年11月22日

 国民勤労報国協力令(一部省略)


勅令第九百九十五号

   國民勤勞報國協力令

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号に於て依る場合を含む)第五条の規定に基く帝国臣民の勤労報国を目的とする協力にして隊組織に依るもの(以下国民勤労報国隊に依る協力と称す)に関しては本令の定むる所に依る

第二条 国民勤労報国隊に依る協力は国、地方公共団体又は厚生大臣若は地方長官の指定する者の行ふ命令を以て定むる総動員業務に付之を為さしむるものとす

第三条 国民勤労報国隊に依る協力を為さしむべき者は帝国臣民にして年齢十四年以上四十年未満の男子及年齢十四年以上二十五年未満の女子(妻及届出を為さざるも事実上婚姻関係と同様の事情に在る女子を除く)とす

 前項該当者以外の者は志願に依り国民勤労報国隊に依る協力を為さしむることを得

 第六条の規定に依り学校長に対し必要なる措置を命ずる場合の学校在学者の国民勤労報国隊に依る協力に関しては前二項の規定に拘らず命令を以て別段の定を為すことを得

第四条 国民勤労報国隊に依る協力を為さしむる期間は命令の定むる所に依り一年に付三十日以内とす

 前項の期間は特別の必要ある場合又は本人の同意ある場合に於ては三十日を超ゆることを得

第五条 国民勤労報国隊に依る協力を受けんとする者は命令の定むる所に依り厚生大臣又は地方長官に之を請求又は申請すべし

第六条 厚生大臣又は地方長官は前条の規定に依る請求又は申請ありたる場合に於て国民勤労報国隊に依る協力を為さしむる必要ありと認むるときは命令の定むる所に依り市町村長(市町村長に準ずべきものを含む以下同じ)其の他の団体の長又は学校長に対し協力を受くべき者、作業の種類、協力を為すべき場所及期間並に所要人員数其の他必要なる事項を指定して国民勤労報国隊に依る協力に関し必要なる措置を命ずるものとす

第七条 前条の措置を命ぜられたる者は命令の定むる所に依り国民勤労報国隊に依る協力を為すべき者を選定し其の選定ありたる旨を本人に通知し協力に関し必要なる事項を指示すべし

 前項の選定を為すに当りては本人の年齢、職業、身体の状態、家庭の状況、希望等を斟酌すべし

第八条 前条第一項の通知を受けたる者は同項の規定に依る指示に従ひ国民勤労報国隊に依る協力を為すべし

第九条 国民勤労報国隊に依る協力に要する経費は命令の定むる所に依り特別の事情ある場合を除くの外其の協力を受くる者之を負担するものとす

第十条 左の各号の一に該当する者は国民勤労報国隊に依る協力を為さしめざるものとす

 一 陸海軍軍人にして現役中のもの(未だ入営せざる者を除く)及召集中のもの(召集中の身分取扱を受くる者を含む)

 二 陸海軍学生生徒(海軍予備練習生及海軍予備補習生を含む)

 三 朝鮮総督府陸軍兵志願者訓練所生徒

 四 陸海軍軍属

 五 現に徴用中の者

 六 陸軍大臣若は海軍大臣の所管に属する官衙(部隊及学校を含む)又は厚生大臣の指定する工場事業場其の他の場所に於て軍事上必要なる総動員業務に従事する者

 七 法令に依り拘禁中の者

第十一条 左の各号の一に該当する者は志願に依る場合を除くの外国民勤労報国隊に依る協力を為さしめざるものとす

 一 現に厚生大臣の指定する総動員業務に従事する者

 二 其の他厚生大臣の指定する者

第十二条 厚生大臣又は地方長官は国民勤労報国隊に依る協力に関し市町村長其の他の団体の長若は学校長又は国民勤労報国隊に依る協力を為す者若は其の協力を受くる者を監督す

第十三条 厚生大臣又は地方長官は厚生大臣の定むる所に依り其の国民勤労報国隊に依る協力に関する事務の一部を国民職業指導所長をして分掌せしむることを得

第十四条 第五条、第六条及前二条中厚生大臣とあるは第六条の規定に依り学校長に対し必要なる措置を命ずる場合の学校在学者の国民勤労報国隊に依る協力に関しては文部大臣及厚生大臣とす

第十五条 本令に於て学校と称するは第十条第六号の場合を除くの外文部大臣の所轄に属する学校を謂ひ学校長と称するは文部大臣の所轄に属する学校の長を謂ふ

第十六条 (朝鮮、台湾等における読替、省略)

第十七条 本令に規定するものの外国民勤労報国隊に依る協力に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

   附 則 

本令は昭和十六年十二月一日より之を施行す

(国立公文書館:国民勤労報国協力令・御署名原本・昭和十六年・勅令第九九五号)

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