十三年秋季以降戦争指導方針(一部省略)
十三年秋季以降戦争指導方針
昭和十三年十一月十八日
大本営陸軍部及省部決定
第一 方 針
当面の支那事変を処理しつつ国家総力就中軍備を拡充して対「ソ」支二国戦争の発生に備へ以て次期国際転機に対処す此の間日満支の関係を自主的に調整建設することに努む
第二 要 領
一 支那事変の処理は差当り獲得せる総戦果就中今秋作戦の成果を利導し各般の措置を尽して之か早期解決に努力す
右早期解決の期待薄きに至らは内外に亘り長期持久の態勢を一段鞏化して断乎戦争継続の決意下に更に占拠地域の治安確保並自主的建設を行ふ 此の間に在りても情勢の転機を捕捉して適時之か解決に努む
二 事変解決当面の目標は少くも日満北支を一環とする国防圏の自主的確立を以て主眼となし併せて日支再戦を防止し且支那と共に対「ソ」戦略態勢の鞏化を計るに在り
右日満支間の自主的調整及建設に関しては日支新関係調整方針に準拠す
三 軍備の充実は事変処理並次期対「ソ」支二国戦争に備ふるを以て基調となし陸軍軍備は戦時兵力(野戦九十師団、飛行三百中隊)を次期国際転機に応する如く万難を排して急速整備す
四 政府及統制部は挺身先頭に立ち匪躬の節を誓ひ戦争指導並総動員指導に関する一元強力の機能を発揮すると共に国民精神を愈々振興し総動員を強化継続し以て戦争指導特に軍備充実を骨幹とする国力充実のための諸施策を強行す
之か為総動員の規模を別紙の如く概定す
五 外交方策は第三国をして我国策に順応せしむるを以て基調となし特に日独伊防共枢軸の強化を重点とし対英柔剛の施策並日米関係の善導を兼ね行ふ
別紙
(省略)
(戦史叢書第008巻 大本営陸軍部<1>昭和15年5月まで P297-298)
コメント
コメントを投稿