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日満重要産業五ヶ年計画要綱 1937年05月15日

 日満重要産業五ヶ年計画要綱及び説明資料(ひらがな化、一部新字体化、一部省略、附属文書省略)


  日滿重要產業五ヶ年計畫要綱及說明資料

      内     容

一、日満軍需工業拡充計画

二、重要産業五ヶ年計画要綱説明資料


 日 満 軍 需 工 業 拡 充 計 画

               昭和一二、 五、一五

日満軍需工業拡充計画

 第一、方   針

 第二、拡充計画表

 第三、部門別計画要旨

    第一 方   針

一、昭和十二年以降五年間に日満両国所要の軍需工業生産品の自給計画を完成する目的を以て速に且つ全力を挙けて本邦及満洲国に於ける生産力の飛躍的増大を図り国防国策の確立と国民経済の進展とを期するものとす。

二、計画的に拡充を計るへき軍需工業の種類左の如し。

鋼、銑、石油、石炭、電力、造船、兵器、航空機、軍用及特殊自動車一般自動車、車両、一般機械、工作機械、アルミニウム、マグネシウム、曹達、染料、パルプ、採金、

右の内特に、兵器、航空機、自動車工業並に鉄、液体燃料工業の増産拡充に重点を置く。

三、建設拡充計画は本邦を主とし満洲国は全体計画の三分の一と概定するも国防上其他特殊の理由あるものは満洲国を主とす。尚北支は之を自給計画地域に包含す。


 日満軍需工業拡充計画表

(表省略)

   部 門 別 計 画 要 旨

製 鉄 業

(1)鋼 材

 昭和十六年度所要量を日本八百万瓲、満洲四百万瓲とし、各々自給するものとす。

(2)銑 鉄

 (A)鋼材千二百万瓲生産の場合に要する銑鉄を千二百五十万瓲と見積る(内、一五○万瓲は鋳物用)。但し輸入屑を見積らさるときは、所要銑は千三百五十万瓲となる。

 (B)十六年度に於ける銑鉄生産割宛次の如し。

   日本内地  五百五十万瓲   朝 鮮  百五十万瓲

   満 洲   四百五十万瓲   北 支  百万瓲

右の内、北支の百万瓲及ひ満洲の五十万瓲を内地に輸入す。

(3)鉄鉱石

銑鉄千三百五十万瓲生産に要する鉄鉱石は二千二百五十万瓲なり。

右の内、日満に於て千六百万瓲自給し、不足分六百五十万瓲は輸入す。十六年に於ける生産割宛次の如し。

 満洲千万瓲、日本内地二百十万瓲、朝鮮三百九十万瓲

石 油 業

(1)昭和十六年度に於ける政府民間需要、日満併せて総計千二百六十五万瓲(千四百三十万竏)と見積る。之に対する自給量は六百五十一万一千瓲にして、其の内訳次の如し。

(表省略)

(2)油田二百万瓲は、内地及台湾を百万瓲、北樺太百万瓲と見込み、大々的に試掘探鉱を実行す。本邦に於ける人造石油は商工省の七ヶ年計画を一年繰上けて実現を期す。

石 炭 業

(1)有煙炭

昭和十六年我国の有煙炭需要を八千五十四万瓲と推定す。(内、八百万瓲は人造石油用)之に対する自給計画年度別内訳次の如し。

(表省略)

(2)無煙炭

十六年に於ける所要量を五百四十五万瓲と推定す。之に対する自給量は四百五十万瓲(内、百九十万瓲は朝鮮に於て新規に拡充するものとす)にして不足分九十五万瓲は輸入に俟つ。

(3)満洲炭増産計画

我国需要は以上の如く有煙無煙炭を合すれは、昭和十六年に於て約一千万瓲供給を超過す。右は満洲より輸入さるものにして、満洲に於ては之に対応して左記の拡充生産をなすものとす。

 満鉄関係  千三百万瓲

 満炭関係  二千百五十万瓲

 其の他   三百五十万瓲

 計 三千八百万瓲(内千万瓲日本へ輸出)

造 船 業

(1)我国現在造船能力、五〇万瓲、保有商船総噸数四百十万噸を昭和十六年度に於て保有噸数七百万噸、造船能力八六万噸に達せしむ。依つて五ヶ年間に建造すへき噸数は、純増加二百九十万噸及ひ老朽船代置百万噸、合計三百九十万噸となる。

(2)現在能力五十万噸と推定せるは、十一年現在職工五万一千人か一人当り年産一一・七噸とみて総計六〇万噸の中、海軍造艦に十万噸を控除せるなり。これを八六万噸に拡大するには、(イ)各社の注文を統制して船台を合理的に使用し、(ロ)各社の積極的設備拡張を行はしめ、(ハ)造船会社の新設を勧奨するものとす。

(3)満洲に於ては昭和十六年迄に保有噸数二十万噸に達せしむる為、能力七万噸程度の造船会社を新設するものとす。

電 力 業

昭和十一年に於ける我国電力需要は四百七十八万KWなり。十六年には七百九十一万KWに増加するものと推定す。(十二-十四年は対前年一一%宛、十五、十六年は対前年一〇%増)之に対する設備は十六年度に於て千百十七万KW(十一年六百七十五万KW)と見積る。

(表省略)

将来も水主火従主義を基調とし、火力による補給は四割と推算す。

自動車工業

(1)将来の需給を次の如く推定す。

(表省略)

機 械 工 業

(一)一般機械器具

現在一般機械器具需要略一五億円、昭和十六年所要量を之に倍加するものと推定し、右五ヶ年間に於ける総所要額を約一三〇億と見積る。

 (A)右の内、本計画に所要のものは約三〇億。但し、この中、技術上、国産困難なるもの及ひ緊急を要するもの一二億は輸入に俟つものとす。

 (B)本計画以外の機械一〇〇億につきては、同しく八億を輸入するものとす。よつて国内生産総量は一一〇億。四ヶ年内に最大生産能力を保有せしむるものとせは所要能力は二七億五千万円。

(二)工作機械(工具を除く)

現在、工作機械の需要か一般機械器具中に占むる割合は5%なり。

依つて上記一〇〇億に対する工作機械の所要額は五億と推定す。本計画遂行上、所要の工作機械を五億とすれは、合計一〇億円なり。

しかるに、本計画所要の五億は迅速に調達の要あるを以て其の半たる二億五千万円を輸入することとし、残額二億五千万円を、第三年度末迄に生産するものとすれは年産必要額は、八千万円となる。

本計画以外のものに就きては五ヶ年間に等分するものとすれは年産一億となり、合計年能力一億八千万円を必要とすへし。依つて、現在の我国工作機械生産能力四千三百万円を三倍半の一億五千万円程度に拡充し、満洲に於て、新に三千万円の能力を新設して之に対処するものとす。

軽 金 属

(1)アルミニウムは昭和十六年本邦所要量六万五千瓲と推定し、同年度に於ては輸入を防圧して完全に自給し得るものとす。現在生産能力既に二万一千瓲あり、十三年には三万六千瓲以上となるも、実際生産量は七乃至八割に止まるものと思はる。十五年度迄の既定拡大計画四万八千瓲に上るを以て新規に計画すへきは数千瓲にすきす。

(2)マグネシウムは現在日満マグネシウム(生産能力千瓲)の他に、日本マグネ金属、旭電化、日本曹達等に於て計画中のものあり。十六年度における推定所要量三千瓲生産には支障なし。尚、満洲原地案は五〇〇瓲計画なるも、戦時所要の関係上再拡大するものとす。

曹  達

一、目 標

工業薬品及ひ化学戦資材生産の基本施設として、昭和十六年度苛性曹達供給力六七万瓲(日本、五九万八千瓲、満洲、七万二千瓲)の実現を期し、一五万瓲(日本十一万四千瓲、満洲三万六千瓲)を増産す。

二、要 領

(1)昭和十年を基準とし、過去の増勢及ひ各種意見に拠り、昭和十六年度の本邦所要量五五万瓲、満洲所要量三千瓲と推定す。

(2)外に、最近の増勢及ひ海外市場の情況に基き、昭和十六年度の輸出量を十一万七千瓲と計算す。

(3)右合計六七万瓲に対し、現在生産能力四四万六千瓲にして別に既定増産計画約七万五千瓲、合計五二万一千瓲あり。

(4)右差額一五万噸を増産す。但し、電解法とす。

染  料

一、目 標

火薬工業施設として平時より育成する目的を以て昭和十六年度に於て四万瓲生産(全部本邦)を期し、二万瓲(全部本邦)を増産す。

二、要 領

(1)染料は種類多岐に亘り、且つ高級品漸増の傾向に鑑み需要の先行を量的に表示する事は極めて困難なり。今後の質的構成変化は姑らく考慮せす、過去の増勢及ひ業者意見等に照らし昭和十六年度需要推準を左の如く四万瓲と推算す。

   国内需要量    二万瓲

   輸出計画量    二万瓲

(2)現在生産量約二万瓲あり。全能力と認む。

(3)右差額二万瓲の増産に力む。但し、高級品増産に努力し、輸入を阻止し輸出を伸長せんことを期す。

パ ル プ

一、目 標

製紙原料及化学繊維工業原料として、且つ戦時に於ける棉火薬代用原料として、昭和十六年度に於て日満両国合計百二十三万瓲供給。

(日本百十一万瓲、満洲十二万瓲)を期し、二八万瓲増産(内、日本二十三万瓲、満洲五万瓲)を計画す。

二、要 領

(1)昭和十年を基準とし過去の増勢に照らし且つ業界其他各種意見に鑑み昭和十六年度の本邦需要推定量を約一八〇万瓲とす。

(2)生産能力は日満合計約九五万瓲(本邦八八万瓲、満洲七万瓲)と推定せらる。

(3)右の差額八五万瓲の内、昭和十六年度に於て満洲国以外より五七万瓲を輸入し、二八万瓲を日満両国の増産量とす。

(附  言)

 本計画表所掲の金額は凡て立案当時の価格に依れるものとす。



重要産業五ヶ年計画要綱説明資料

            昭和十二年六月十四日

(以下省略)

(国立国会図書館:日満重要産業五ケ年計画要綱及説明資料)

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