支那南北両軍に交付すべき覚書(ひらがな化)
昭和三年五月十六日 閣議決定
永年に亘る支那戦乱の結果一般国民の生活は極度の不安と困憊とに陥り支那在留外国人亦居に安んし業に従ふに由なき状況に有るを以て戦乱か一日も速に終熄し統一せる和平の支那を見るに至らむことは外支人の均しく熱望するところにして殊に支那の隣邦として利害関係特に深き帝国の翹望して措かさる所なり然るに今や動乱京津地方に波及せむとし満洲の地も亦将に其の影響を蒙らむとするの虞有るに至れる処抑も満洲の治安維持は帝国の最も重視する所にして苟も同地方の治安を紊し若は之を紊すの原因を為すか如き事態の発生は帝国政府の極力阻止せむとする所なるか故に戦乱京津地方に進展し其の禍乱満洲に及はむとする場合には帝国政府としては満洲治安維持の為適当にして且有効なる措置を執らさるを得さることあるヘし然れとも交戦者に対し厳正中立の態度を持すヘき帝国政府の方針に至つては固より何等変改無き次第なるか故に右の如き措置に出つる場合に於ても其の時機と方法とにつきては両者に対し何等不公平なる結果を生するに至らさる様周到の注意を払ふの用意有ることを確言す
(国立国会図書館:https://rnavi.ndl.go.jp/cabinet/bib00013.html)
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