対満関係機関の調整に関する件(ひらがな化、一部新字体化)
昭和九年九月十四日
對滿關係機關ノ調整ニ關スル件
第一 内閣に対満事務局(仮称)を新設し之に拓務省所管の対満関係事項の大部を移管し以て対満国策の統一を計ると共に中央機関と現地機関との密接なる連繋を期すること
第二 対満事務局に総裁の外次長(仮称勅任)以下の職員を置くこと
総裁の組織は其の地位の重要なることに顧み権威あるものたらしむる様特に考慮すること
総裁又は次長の中一名は現役武官を以て之に充つること
尚対満事務局には専任文官の外関係各庁高等官より参与を命し事務官を補する等事務連絡上必要なる措置を執ること
第三 駐満全権大使及其の下に在る外交官は現行制に基きて之を存置すること
第四 駐満全権大使に対し南満洲鉄道株式会社及満洲電信電話株式会社の監督、関東州知事其の他の監督並に満鉄附属地の行政の権限を附属せしむること(単行の勅令に依る)
第五 右第四に掲くる権限の行使に付ては駐満全権大使は内閣総理大臣の監督に属すること
第六 駐満全権大使は関東軍司令官をして之を兼ねしむること
第七 第四に掲くる事項の掌理に当らしむる為駐満大使館に行政事務局(仮称)を設置し事務局長(仮称勅任)及之に属する職員を置くこと
右事務局長及附属職員の身分は内閣総理大臣の系統に属し其の行ふ事務(渉外事項を除く)に付ては内閣総理大臣の監督を受くる資格に於ける大使の指揮監督を受くること
行政事務局と外交官との間の事務連絡を円滑ならしむる為専任の大使館参事官の外に事務局長を兼任大使館参事官と為し得ることを勅令に明定すること
尚必要に応し軍参謀長は事務局長を兼ね得ることを勅令に明定すること
第八 事務局長の下に必要の部課(例ヘは官房、総務部、警務部、監理部)を置くこと尚行政事務局の組織は出来得る限り簡素ならしむること
第九 関東州に関東州知事を置き駐満大使の監督に属せしむること
法院、逓信局、旅順工科大学等も大使の監督に属せしむること
第十 行政事務局の警務部長には関東憲兵隊司令官を、監理部長には関東軍交通監督部長を以て之に充つることを得ること
行政事務局には軍部より補職する事務官及外交官領事官より兼任する事務官を置くこと
第十一 満洲に於ける日本側警察諸機関は関東憲兵隊司令官に於て之を統一指揮する途を拓くこと
第十二 日満両国経済の連繋に関する重要事項及日満合弁特殊会社の業務の監督に関する重要事項を審議する為日満経済会議(仮称)を新京に常置すること
右会議は条約に依り之を設け両国政府の監督を受けしむること
(国立公文書館:対満関係機関ノ調整ニ関スル件 A01200666900)
コメント
コメントを投稿