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満洲拓殖公社の設立に関する協定 1937年08月02日

 満洲拓殖公社の設立に関する協定(ひらがな化、一部新字体化、一部省略、附属文書省略)


条約第十一号

   満洲拓植公社ノ設立ニ關スル協定

大日本帝国政府及満洲帝国政府は両国協力して満洲国に於ける移住を助成し満洲国国土の開発を為し以て両国間の緊密不可分の関係を益鞏固ならしめんことを希望し

之が為日満合弁の株式会社を設立するの必要なるを認め玆に左の条款を訂立せり

   第一条

日満両国政府は協力して日満合弁の株式会社を設立せしめ満洲国に於ける開拓移住の助成に関する事業を経営せしむるものとす

前項の株式会社は満洲拓殖公社と称す

   第二条

満洲拓殖公社(以下公社と称す)の資本は満洲国国幣五千万円とす但し日満両国政府の認可を受け之を増減することを得

公社は株金全額払込前と雖も其の資本を増加することを得

   第三条

公社の株式は記名式とし日満両国の政府、公共団体若は国民又は両国の法令の何れかに依り設立したる法人にして社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上又は資本の半額以上若は議決権の過半数が両国の国民又は法人以外の者に属せざるものに限り之を所有することを得

公社の各株主は一株に付一個の議決権を有す

   第四条

公社に総裁一名並に理事及監事若干名を置く

総裁は公社を代表し其の業務を総理す

総裁事故あるときは理事の一人其の職務を代理し総裁欠員のときは其の職務を行ふ

理事は総裁を補佐し公社の業務を分掌す

監事は公社の業務を監査す

   第五条

公社の総裁及理事は日満両国政府之を任命す

総裁の任期は五年、理事の任期は四年、監事の任期は三年とす

   第六条

公社は其の払込みたる株金額の十倍を限り社債を発行することを得

公社社債を発行せんとする場合に於ては日満両国政府の認可を受くべし

前項の社債の元利支払に付ては日満両国政府に於て各所要の手続を経たる上連帯して之が保証を為すものとす

   第七条

公社の利益配当は公正なる一定率を超えざるものとす

政府持株以外の株式に対する利益配当は定款の定むる所に依り或程度の率に達する迄政府持株に優先して之を為すことを得

   第八条

満洲国政府は公社に対し登録税、法人営業税、契税、木税及牲畜税を免除す

   第九条

満洲国政府は移住者が公社より土地の分譲を受けたる場合移住者に対し契税を免除す

   第十条

公社が移住者に譲渡したる不動産及不動産上の権利の移転(相続に因る場合を除く)、貸付又は之に対する物権の設定若は移転(相続に因る場合を除く)は公社の承諾を得るに非ざれば其の効力を生ぜず

   第十一条

日満両国政府は公社の業務を監督す

   第十二条

日満両国政府は公社の決議又は役員の行為にして本協定、両国の法令若は公社の定款に違反し、公益を害し又は監督命令に違反したるときは其の決議を取消し又は役員を解任することを得

   第十三条

公社の毎年度の資金計画及決算は日満両国政府の認可を受くべし

公社の定款の変更、監事の選任及解任並に合併及解散の決議は日満両国政府の認可を受くるに非ざれば其の効力を生ぜず

   第十四条

日満両国政府は公社の業務の監督を為さしむる為満洲国新京に満洲拓殖委員会を設置す

委員会の組織及運用に付ては本協定附属書の定むる所に依る

   第十五条

委員会は公社の業務の監督上必要なる命令を為すことを得

   第十六条

委員会は第二条第一項但書、第六条第二項、第十三条第一項及第二項の認可、第六条第三項の保証並に第十二条の決議の取消及役員の解任に付日満両国政府に其の意見を具申することを得

   第十七条

委員会は必要に応じ満洲国に於ける移民に関する一切の事項に付日満両国政府に建議することを得

   第十八条

委員会の経費は日満両国政府に於て均等に之を分担するものとす

   第十九条

公社に付ては本協定に定むるものの外日満両国政府に別に定むる所に拠るものとす

   第二十条

日満両国政府は夫々十五名の設立委員を命じ両国政府監督の下に公社設立に関する一切の事務を処理せしむるものとす

   第二十一条

設立委員は定款を作り日満両国政府の認可を受けたる後株主を募集するものとす

   第二十二条

設立委員は株主の募集を終りたるときは株式申込証を日満両国政府に提出し公社設立の許可を申請するものとす

前項の許可を受けたるときは設立委員は遅滞なく各株式に付第一回の払込を為さしめ其の払込ありたるときは遅滞なく創立総会を招集するものとす

   第二十三条

創立総会終結したるときは設立委員は其の事務を公社に引渡すものとす

   第二十四条

本協定は署名の日より実施せらるべし

本協定の正文は日本文及漢文とし日本文本文と漢文本文との間に解釈を異にするときは日本文本文に依り之を決す


右証拠として下名は各本国政府より正当の委任を受け本協定に署名調印せり

昭和十二年八月二日即ち康徳四年八月二日新京に於て本書二通を作成す

    満洲帝国駐箚大日本帝国特命全権大使  植田謙吉

    満洲帝国国務総理大臣         張景恵


    附属書

(以下省略)


    満洲拓殖公社設立に関する協定及附属書に関する日満両国全権委員間了解事項

(以下省略)

(国立公文書館:御署名原本・昭和十二年・条約第一一号・満洲拓殖公社ノ設立ニ関スル協定 A03022157100)

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