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公私生活を刷新し戦時態勢化するの基本方策 1939年07月04日

 公私生活を刷新し戦時態勢化するの基本方策(ひらがな化、一部新字体化)


   公私生活を刷新し戦時態勢化するの基本方策(案)

                  (昭・一四・七・四 国民精神総動員委員会決定)

 時局に照応して政治的、社会的態勢を戦時化することは此の際各般の方面に亘つて行はれねばならぬ。其の中公私生活を刷新して其の戦時態勢化を図ることは各人の努力に依り日常の生活に活かし得る場面多きが故に生活刷新運動として特に強調されねばならぬ。

 今や我国の情勢は個人主義的、自由主義的生活態度の弊風を粛正して益々国民的、奉公的生活態度を強化すべき時である。事態は徒に論議に時日を遷延するを許さない。改善の要緊切なるものを事の軽重を問はず採り上げ、其の実践を通じて国民精神の緊張を促さねばならぬ。とりわけ都市に於て其の必要を痛感せざるを得ない。仍つて左の如く具体的に実行せんとする事項を定め、官民相協力し徹底的に実践に向つて邁進せんとするものである。

一、国民生活日の設定

政府は毎月一定の日を以て国民生活日と定め、特に当日は全国民戦場の労苦を偲び、強力日本建設に向つて邁進し、厳粛闊達なる気分を以て、国民生活綱要に副ひ日本精神を如実に顕現して、自粛自省、之を実際生活の上に具現し、恒久実践の源泉となす日たらしめること。

二、国民生活綱要の提唱

「挙国一致」、「尽忠報国」、「堅忍持久」の指標の下に国民生活綱要として、特に日々厳守励行すべき項目を更に高調し、地方の実情と対象とに応じて之を具体化し其の普及徹底を図ること。

 国民生活綱要

  (一)早起励行

  (二)報恩感謝

  (三)大和協力

  (四)勤労奉公

  (五)時間厳守

  (六)節約貯蓄

  (七)心身鍛錬

三、第一期刷新項目

差当り刷新項目として左の事項を採り上げ、強力に実践に力むることとし、政府は夫々其の所管事項に付適切なる措置を講ずると共に、国民精神総動員中央連盟は之が普及徹底に努力すること。尚第二期には前記の成績を検討した上更に刷新項目を追加すること。

 (一)料理店、飲食店、「カフエー」、待合、遊戯場等の営業時間の短縮

 (二)「ネオンサイン」の抑制

 (三)一定の階層の禁酒、一定の場所の禁酒

 (四)冠婚葬祭に伴ふ弊風打破就中奢侈なる結婚披露宴等の廃止

 (五)中元、歳暮の贈答廃止

 (六)服装の簡易化

「フロツクコート」、「モーニングコート」の着用は公式の儀礼に限り、其の他は平常服を以て之に代へること。

男子学生生徒の長髪廃止

婦女子の「パーマネントウエーヴ」其の他浮華なる化粧服装の廃止

三、徹底方法

公私生活の戦時態勢化を徹底する為既存の実行組織を整備し、各官公衙、会社、工場等職場毎に、市町村の区、町内、部落等地域毎に、各種団体学校毎に指導督励の担任者を定め、国民各個に浸透するやう自ら率先実行せしむると共に指導督励に当らしめること。

(国立公文書館:公私生活ヲ刷新シ戦時態勢化スルノ基本方策決定ノ件 A04018504600) 

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