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大本営政府連絡会議第四十一回議事録 1941年07月24日

 大本営政府連絡会議第四十一回議事録(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり)


   七月二十四日第四十一囘連絡會議

    佛印進駐、對米國交調整、泰國大使館ノ件

一、冒頭参謀総長より、軍隊は二十五日出発、二十八日「ナトラン」二十九日「サンジヤツク」に到着すへきことを述へたり

 外  相 「ヴシー」政府から、進駐軍隊か軍紀を守る様、又安南人に対し非合法的の事なき様注意せられ度旨申来れるを以て承知あり度

共同防衛の意味にて進駐するのてあるから、右の如き事なき様、彼等をひきつける様軍隊を指導せられ度希望す

 参謀総長 本件は軍司令官に能く通しありて万心配なし。尚今後も十分に留意すへし

二、仏印進駐に関する政府の声明案文を可決す。発表は二十六日正午とし独伊大使に対しては本二十四日支那、満洲、英米大使に対しては二十五日通告することに決定す

 外  相 仏印進駐問題は米国に影響を及ほし、重要物資の輸出禁止、資金凍結、金の買入禁止、日本船舶抑留等を実施することあるへし

重要物資中の問題となるへきものは綿花、木材、小麦、石油にして、綿花木材に対しては今迄既に手をうちたり、小麦は支那向けのものなるを以て何んとか手を打ち得へく。石油は懸念せらるる所なるも米か全面的に石油禁輸をやるかどうかは問題だ。

次に資金凍結に就ては、在米現金は二億円、証券三億五千万円にして、之に対し在日米貨は三億円なり。即ち差引二億五千万円か日本側の損失となる。之れは石油を輸入する場合に資金不足となり、帝国として相当困る

金の買入停止は現在米向金を出して居らぬから心配なし

日本船舶抑留に就ては、目下米近海に十隻あるも海軍省より未た港に入らぬものは二、三日入らぬ様司令しあるを以て、全部か抑留せらるることはなからう

資金凍結に関しては小倉蔵相も困ると云ふ意見て、蔵相は蔵相と個人関係ある「モーゲンソウ」米蔵相に手紙を出すと云ひしも、漸く待つてもらつて居る

三、対米国交調整に就て

 外  相 野村大使は過般「ハル」長官の「オラルステートメント」を先方に返したが、帝国の修正案は未た「ハル」に通しあらすして之れに就き野村より意見具申あり。外務省としてはN工作を打切るのは具合悪いと思ふ。此度の仏印進駐は軍事占領にあらすして、帝国の必要に基つき仏側と話合の上の事なるを米国に諒解せしめ、資金凍結又は帝国船舶の「パナマ」運河通貨を渋ることを止めてもらい、又N工作を続け度いと思ふ

尚N工作に■き米国の主張は次の二点にあり

(一)支那の和平交渉の細目を米かやり度きこと

(二)太平洋の和平問題にて日本からしばられぬ様すること

N工作に関しては更にご相談申上くへし

四、尚豊田外相より、昨日の枢密院会議にて決定せる泰国公使館の大使館昇格に関し、直に大使を派遣すへきや否やに就て提案あり。之に対しては現在仏印進駐の度種々噂の出る時故直に大使を派遣すへしと云ふ意見と、仏印進駐に伴ふ米の出方も一応見る必要あるを以て暫く後日に延はす方宜しと云ふ意見ありしも、結局未決定の儘解散せし

右会議に先ち重光大使の帰朝談ありて解散せり

(日本公文書館:7月24日第41回連絡会議 仏印進駐、対米国交調整、泰国大使館の件 C12120250200) 

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