間島ニ關スル協約(原文:一部ひらがな化、一部新字体化)
大日本國政府及大清國政府ハ善隣ノ交誼ニ鑒ミ圖們江カ清韓兩國ノ國境タルコトヲ互ニ確認シ並ニ妥協ノ精神ヲ以テ一切ノ辨法ヲ商定シ以テ清韓兩國ノ邊民ヲシテ永遠ニ治安ノ慶福を享受セシメムコトヲ欲シ茲ニ左ノ條款ヲ訂立セリ
第一條 日清兩國政府ハ圖們江ヲ清韓兩國ノ國境トシ江源地方ニ於テハ定界碑ヲ起點トシ石乙水ヲ以テ兩國ノ境界ト爲スコトヲ聲明ス
第二條 清國政府ハ本協約調印後可成速ニ左記ノ各地ヲ外國人ノ居住及貿易ノ爲メ開放スヘク日本國政府ハ是等ノ地ニ領事館若クハ領事館分館を酌設スヘシ開放ノ期日ハ別ニ之ヲ定ム
龍井村
局子街
頭道溝
百草溝
第三條 清國政府ハ從來ノ通り圖們江北ノ墾地ニ於テ韓民ノ居住ヲ承准ス其地域ノ境界ハ別圖ヲ以テ之ヲ示ス
第四條 圖們江北地方雜居區域内墾地居住ノ韓民ハ清國ノ法權ニ服從シ清國地方官ノ管轄裁判ニ歸ス清國官憲ハ右韓民ヲ清國民ト同様ニ待遇スヘク納税其他一切行政上ノ處分モ清國民ト同様タルヘシ
右韓民ニ關係スル民事刑事一切ノ訴訟事件ハ清國官憲ニ於テ清國ノ法律ヲ按照シ公平ニ裁判スヘク日本國領事官又ハ其委任ヲ受ケタル官吏ハ自由ニ法廷ニ立會フコトヲ得但シ人命ニ關スル重案ニ就テハ須ラク先ツ日本國領事官ニ知照スヘキモノトス日本國領事官ニ於テ若し法律ヲ按セスシテ判斷セル廉アルコトヲ認メタルトキハ公正ノ裁判ヲ期セムカ爲め別ニ官吏ヲ派シテ複審スヘキコトヲ清國ニ請求スルヲ得
第五條 圖們江北雜居區域内ニ於ケル韓民所有ノ土地家屋ハ清國政府ヨリ清國人民ノ財産同樣完全ニ保護スヘシ又該江沿岸ニハ場所ヲ擇ミ渡船ヲ設ケ双方人民ノ往來ハ自由タルヘシ但シ兵器ヲ携帯スルモノハ公文又ハ護照ナクシテ境ヲ越ユルヲ得ス雜居區域内産出ノ米穀ハ韓民ノ販運ヲ許ス尤モ凶年ニ際シテハ仍禁止スルコトヲ得ヘク柴草ハ舊ニ依リ照辨スヘシ
第六條 清國政府ハ將來吉長鐵道ヲ延吉南境ニ延長シ韓國會寧ニ於テ韓國鐵道ト連絡スヘク其一切ノ辨法ハ吉長鐵道ト一律タルヘシ開辨ノ時期ハ清國政府ニ於テ情形ヲ酌量シ日本國政府ト商議ノ上之ヲ定ム
第七條 本協約ハ調印後直ニ效力ヲ生スヘク統監府派出所並ニ文武ノ各員ハ可成速ニ撤退ヲ開始シ二ヶ月ヲ以テ完了スヘシ
日本國政府ハ二ヶ月以内ニ第二條所開ノ通商地ニ領事館を開設スヘシ
右證據トシテ下名ハ各其本國政府ヨリ相當ノ委任ヲ受ケ日本文及漢文ヲ以テ作製セル各弐通ノ本協約ニ記名調印スルモノナリ
明治四十二年九月四日
宣統元年七月二十日
北京ニ於テ
大日本國特命全權公使 伊集院彦吉
大清國欽命外務部尚書會弁大臣 梁敦彦
(日本公文書館:間島に関する協約)
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