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帝国大学令 1886年03月01日

帝国大学令(原文:一部新字体化)

勅令第三号
   帝國大學令
第一条 帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ及其蘊奥ヲ攷究スルヲ以テ目的トス
第二条 帝国大学ハ大学院及分科大学ヲ以テ構成ス大学院ハ学術技芸ノ蘊奥ヲ攷究シ分科大学ハ学術技芸ノ理論及応用ヲ教授スル所トス
第三条 分科大学ノ学科ヲ卒ヘ定規ノ試験ヲ経タル者ニハ卒業証書ヲ授与ス
第四条 分科大学ノ卒業生若クハ之ト同等ノ学力ヲ有スル者ニシテ大学院ニ入リ学術技芸ノ蘊奥ヲ攷究シ定規ノ試験ヲ経タル者ニハ学位ヲ授与ス
第五条 帝国大学職員ヲ置ク左ノ如シ
  総長    勅任
  評議官
  書記官   奏任
  書記    判任
第六条 帝国大学総長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ帝国大学ヲ総轄ス其職掌ノ要領ヲ定ムルコト左ノ如シ
 第一 帝国大学ノ秩序ヲ保持スル事
 第二 帝国大学ノ状況ヲ監視シ改良ヲ加フルノ必要アリト認ムル事項ハ案ヲ具ヘテ文部大臣ニ提出スル事
 第三 評議会ノ議長トナリテ其議事ヲ整理シ又議事ノ顛末ヲ文部大臣ニ報告スル事
 第四 法科大学長ノ職務ニ当ル事
第七条 評議会ハ便宜ニ従ヒ帝国大学若クハ文部省ニ於テ開設ス
 評議会ノ議ニ付スヘキ事項左ノ如シ
 第一 学科課程ニ関スル事項
 第二 大学院及分科大学ノ利害ノ鎖長ニ関スル事項
第八条 評議官ハ文部大臣各分科大学教授ヨリ各二人ヲ特選シテ之ニ充ツ
第九条 評議官ハ五箇年ヲ以テ任期トス任期満ツルノ後時宜ニ依リ更ニ勤続ヲ命スルコトアルヘシ
第十条 分科大学ハ法科大学医科大学工科大学文科大学及理科大学トス
 法科大学ヲ分テ法律学科及政治学科ノ二部トス
第十一条 分科大学職員ヲ置ク左ノ如シ
  長     奏任
  教頭    奏任
  教授    奏任
  助教授   奏任
  舎監    奏任
  書記    判任
第十二条 分科大学長ハ教授ヨリ特選シテ之ニ兼任ス
 分科大学長ハ帝国大学総長ノ命令ノ範囲内ニ於テ主管科大学ノ事務ヲ掌理ス
第十三条 各分科大学ノ教頭ハ教授ヨリ特選シテ之ニ兼任ス
 教頭ハ教授及助教授ノ職務ヲ監督シ及教室ノ秩序ヲ保持スルコトヲ掌ル
第十四条 各分科大学ノ教授助教授ノ人員ハ其学科ノ軽重及学生ノ員数ニ応シテ別ニ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
(国立公文書館:帝国大学令・御署名原本・明治十九年・勅令第三号)

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