工場就業時間制限令(一部新字体化)
勅令第百二十七号
工場就業時間制限令
第一条 国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク工場ニ於ケル就業時間ノ制限ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ハ工場法ノ適用ヲ受クル工場ニシテ厚生大臣ノ指定スル事業ヲ営ムモノニ之ヲ適用ス
第三条 工業主ハ十六歳以上ノ男子職工ヲシテ一日ニ付十二時間ヲ超エテ就業セシムルコトヲ得ズ
第四条 工業主ハ十六歳以上ノ男子職工ニ対シ毎月少クトモ二回ノ休日ヲ設ケ一日ノ就業時間ガ六時間ヲ超ユルトキハ少クトモ三十分、十時間ヲ超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時間ヲ就業時間中ニ於テ設クベシ
第五条 十六歳以上ノ男子職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムル為又ハ業務ノ性質上特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ工業主ハ予メ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監以下之ニ同ジ)ニ届出デ第三条ノ就業時間ヲ延長スルコトヲ得
第六条 已ムヲ得ザル事由ニ因リ臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ地方長官ノ許可ヲ受ケ期間ヲ限リ第三条ノ規定ニ拘ラズ就業時間ヲ延長シ又ハ第四条ノ休日ヲ廃スルコトヲ得但シ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ地方長官ノ許可ヲ受クルコトヲ要セズ
臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ其ノ都度予メ地方長官ニ届出デ一月ニ付七日ヲ超エザル期間就業時間ヲ二時間以内延長スルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ就業セシメタルトキハ遅滞ナク地方長官ニ届出ヅベシ
第七条 厚生大臣又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ就業時間ノ制限ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ工業主ヨリ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ工場、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第八条 本令ハ国ノ事業ニ之ヲ適用セズ
第九条 本令中工場法ノ適用ヲ受クル工場トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ常時十人以上ノ職工ヲ使用スル工場、樺太ニ在リテハ工場取締規則ノ適用ヲ受クル工場トシ十六歳以上ノ男子職工トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ職工トス
本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス
附 則
本令ハ昭和十四年五月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十四年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
(参考:中野文庫 https://geolog.mydns.jp/www.geocities.jp/nakanolib/rei/rs14-127.html)
(国立公文書館:御署名原本・昭和十四年・勅令第一二七号・工場就業時間制限令 A03022347400)
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