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満洲国基本国策大綱 1942年12月08日

 満洲国基本国策大綱(ひらがな化、一部新字体化)


   滿洲國基本國策大綱

(目次・序省略)

       第一章 根 本 方 針

施政の方針は左の三を以て其の根本と為す

一 国体の本義を顕揚し国家観念を涵養し民族協和以て国家的団結力を鞏固ならしめんことを期す

一 日満共同防衛の本義に則り国防国家体制を確立すると共に国力を大東亜戦争完遂に結集し進んで大東亜共栄圏必成に寄与せんことを期す

一 文教を振興し産業の画期的開発を図ると共に勤労興国の民風を作興し以て民生を向上し国力を培養充実せんことを期す

       第二章 政 治 綱 要

強力なる国防国家体制の確立を期し政府協和会一体となり政治力の昂揚、施策浸透の徹底を図るものとす

第一 国体の本義顕揚

我国体は惟神の道に淵源し日本と永遠に亙り一体不可分離の関係に在るを以て本義とす

此の確固不動の国体の本義を中外に顕揚し施政万般の基本たらしむるものとす

第二 国防態勢の整備

 日満共同防衛の本義に則り我特殊地位に即応し益々防衛及防共の国防国家体制を整備し併せて治安の確保を期するものとす

第三 民族協和の具現

 国体の本義に即して各民族の特質を陶冶伸張し国家目的に従ひ応能奉公の見地に基き各民族をして各々其の所を得せしめつつ融和団結を図るものとす

第四 外政の伸張

 大東亜共栄圏各地域特に大陸隣接諸地域との連繋を緊密にし協力一致以て大東亜戦争の完勝と東亜新秩序の必成とを期し彌々益々同志諸国家との国交を敦くして世界新秩序の建設に貢献するものとす

第五 庶政の刷新

 凡ゆる施策実行の成否が懸つて行政運営の適否、国民の信倚如何に存すると新なる国策遂行の緊要性とに鑑み行政運営並に官吏制度に刷新を加へ以て中央地方一体となり責任政治の確立及国策の的確なる遂行を期するものとす

一 行政機構を改革すると共に中央地方を通じ各段階に於ける指導統制力を強化し其の連繋を一掃緊密ならしめ行政の総合統一化を期し特に総務庁中心主義の徹底強化を図るものとす

二 行政運営方式を改善し行政事務の簡捷効率化を期すると共に特殊会社及特殊団体の機能を強化活用し官民渾然一体の協力体制を確立するものとす

三 官吏錬成の強化、責任感の透徹、綱紀粛正、信賞必罰の徹底を図り併せて待遇の改善を行ひ以て其の資質の向上を期し官界の気風を作興一新するものとす

四 地方行政機能を整備強化すると共に隣保組織、興農会等国策遂行基盤組織の指導育成を図り且之が自興的発達を期するものとす

五 警察を刷新且整備し治安の維持を期すると共に行警一致以て行政の実効確保を図るものとす

六 行政対象の実体を明確ならしめ政策の樹立及其の実行の公正的確を期する為調査機能を強化すると共に特に人籍及地籍の急速なる整備を図るものとす

七 財政は重点且積極方針を採ると共に租税は国民の国家に対する奉公作用として其の地位を強化するものとす

       第三章 民 生 綱 要

文教の振興を図り国民の錬成を強化すると共に文化の進展、厚生の伸暢に努め国民皆労興国の美風を作興し以て国民の資質向上、国家的団結力の鞏化を図り併せて民生の長養を期するものとす

第一 国民の錬成

 青少年の教育及錬成に最重点を置き国家観念を涵養し健全溌剌たる新国民の育成に努むると共に広く一般に職域錬成を徹底強化するものとす

一 教育の振興

(一)学校教育

(イ)初等教育に重点を置き其の振興充実に努むるものとす

(ロ)中等及大学教育は実業教育を主眼とし大学に付ては特に其の内容の充実に重きを置くものとす

(ハ)師道教育を刷新充実すると共に教学機能の強化を図るものとす

(ニ)教育者の養成、素質向上及待遇改善を図ると共に教育者尊重の気風を作興するものとす

(ホ)学校教育と各種試験研究機関及工場鉱山等との連繋を緊密ならしむるものとす

(二)社会教育

(イ)社会教育施設の整備充実を図ると共に識字運動を積極的に行ふものとす

(ロ)芸文活動の輔導並に施設の整備を図るものとす

(ハ)各種宗教団体及教化団体の活動は国家目的に即応せしむる如く之を輔導するものとす

二 青少年の錬成

 中堅国民の育成を目途とし勤労奉公制度を創設すると共に青少年組織を通じ其の錬成を強化するものとす

 尚青年自興運動の健全なる発展を図るものとす

三 職域錬成

 一般錬成の外特に責任観念の涵養職域奉公観の徹底、能率増進に主眼を置き官公吏、特殊会社職員其の他一般産業従業員の日常業務を通じての錬成を徹底するものとす

四 婦女子の錬成

 国防婦人会、女子青年団等を通じ婦徳の涵養品位の向上に努めしむると共に特に満系婦女子に付ては勤労並に衛生思想の普及を図るものとす

第二 厚生の伸暢

 強健なる国民の育成並に快適なる生活環境の創成に努め以て国民錬成の成果と相俟つて国家興隆の基盤を確立するものとす

 一 保健衛生

(一)伝染病防疫に関する方策を強行し特にペスト及結核の予防撲滅に努むるものとす

(二)医療施設を整備拡充し特に医師の増加、医薬品の確保に努むるものとす

二 生活改善

(一)住宅の改善を図ると共に住宅の計画的増設を図るものとす

(二)我国の風土環境に適応せる生活様式の普及に努むると共に衣食住其の他厚生に関する科学的研究を促進するものとす

(三)旧来の陋習は逐次之を改善するものとす

三 体力増強

(一)集団的肉体鍛錬、武道及運動競技の奨励を積極化するものとす

(二)阿片麻薬断禁に付ては一層其の実行を挙ぐることに努むるものとす

第三 勤労興国の実践

 国民皆労の体制を確立し労働力の自給自足を確保すると共に労働生産性の向上、労務管理の改善を図り以て我国土建設及産業開発の飛躍的発展に備ふるものとす

 一 国民皆労体制の確立

 勤労尊重の気風を作興し勤労奉公制を実施すると共に都市浮遊労働力並に女子労働力の活用等を併せ行ひ以て国民皆労体制を確立するものとす

二 労務統制の強化

(一)労務配置に付ては事業別配置統制を強化すると共に民族別及性別適正配置を考慮するものとす

  尚男子商業使用人等の数を制限する方策を講ずるものとす

(二)労賃の昻騰防止及労務者移動防止を強化徹底するものとす

(三)技能者の登録を整備し其の動員体制を確立するものとす

三 労働生産性の向上

(一)生産方法の機械化を徹底せしむるものとす

(二)労務者の技術的訓練を強化すると共に技術の改良及優秀技術の導入を積極化するものとす

(三)能率増進を図る為技能競練を積極化すると共に国家的褒賞の方途を講ずるものとす

四 技術者の養成

 普通技術者及技術工の養成に付ては企業体の自家養成を原則とし各企業体をして積極的に之を行はしむるものとす

 尚之が国家教育制度との密接なる結合に付特別なる考慮を払ふものとす

五 労務管理の改善

(一)生産的労働の公共性に照応し労需物資の確保を図るものとす

(二)災害防止の徹底を期すると共に保健衛生、福祉施設の整備充実を図るものとす

       第四章 経 済 綱 要

我国の東亜共栄圏内に於て占むる地位及其の使命に鑑み日本との総合的経済関係を基調とし産業の画期的開発に依る国防経済体制の完成を期するものとし特に先づ基礎的産業の開発並に交通網の拡充に重点を指向するものとす

第一 統制方式

 経済の機構は国防経済体制の完成を目途とし計画的統制経済の原則を以て之を貫徹するものとす

一 特殊会社は特に企業に対する国家の参画が高度に要請せらるる事業にのみ限定するものとす

二 営業一社主義は企業の本質上必要已むを得ざるものを除き之を採さざるものとす

三 統制に対する官民の協力体制として特殊会社及統制団体の機能を刷新強化し行政運営上之が合理的活用を図るものとす

四 企業統制に付ては採算性の維持、経営の合理化、高能率企業の優遇等企業性の昻揚を併せ考慮するものとす

五 統制の手段及限界に付ては統制の効率昻揚を主眼とし対象の諸性質に適応し効果的且弾力性ある構想を加ふるものとす

 尚統制の方法に付ては地域的又は職能的集団の利用を考慮し特に其の自浄作用を助長せしむるものとす

六 統制に当りては量の増大に偏せず質の向上に付特別の処置を講ずるものとす

第二 農   業

 農村振興に施策の重点を指向すると共に増産を徹底し以て自給自足の確立及日支両国に対する食料並に油料農産物の供給基地たるの使命完遂を期するものとす

 開拓政策に付ては既定方針に基き之を推進するものとす

一 農業施策の遂行に当り科学的計画性を徹底せしむるものとす

二 農業の施策は先づ自興村に集注し之を通じて其の普及浸透を期するものとす

三 農業技術指導網の拡充特に第一線満系技術指導員の養成を図るものとす

四 農業経営の様式は逐次畜力及機械力使用其の他新農法段階に発展到達せしむるものとし特に日本開拓民に付ては其の農法改善に依り満洲農法の針路を具現せしむるものとす

五 小作制度の改善其の他耕作安定に関する方途を講ずるものとす

六 未耕地の開拓は計画的に日本開拓民及国内移民をして之を遂行せしむるものとす

七 治水利水事業を促進し耕地の積極的造成を図るものとす

八 農産物の集荷は国内外の要請に即応し需要の充足を図る為一層徹底を期すると共に其の方法に付ては更に検討を加へ改善合理化に努むるものとす

九 興農合作社は之を村単位に於ける農業関係の中心体として育成し生産指導に力を注がしむると共に其の共同事業的及金融的機能の助長強化を図るものとす

十 農産開発及農業金融の円滑を図る為農業特殊金融機関の設立を考慮するものとす

十一 農事試験機関を強化すると共に其の活動を適切に政策と照応する如く運営せしむるものとす

十二 特用農産物に付ては面積拡張に依る増産を求めず主として技術改善に依る増収を期するものとす

第三 林業畜産業及水産業

一 林業に付ては森林資源の立地的造成に主眼を置き造林の普及徹底を図り官行造林の外特に民間に於ける造林の積極且全面的奨励を行ふものとす

二 畜産に付ては防疫の徹底を図ると共に農業経営の改良方策として家畜の積極的増殖並に改良を推進するものとし併せて飼料対策の確立を期するものとす

 馬産に付ては既定計画の遂行を期するものとす

三 水産に付ては自給自足の確立を目標とし特に国内淡水漁業の開発利用並に増殖に主力を注ぐものとす

第四 鉱工業

 一 重工業部門

(一)重工業の画期的開発を図るものとし先づ専ら鉄鋼、電力、石炭、軽金属及非鉄金属の開発に最重点を置き産業の将来に於ける飛躍的発展の基礎確立と戦時必需物資の需要充足の責務達成とを期すると共に逐次化学工業、機械工業其の他完成品工業の確立に移行するものとす

(イ)鉄 鋼 業

 東亜共栄圏の確立上要請せらるる鉄鋼の大増産は其の主要部分を我国資源の開発に依存せざるべからざる必然的事実に基き鉄鋼業の飛躍的開発を具現すると共に特に差当り鉄鋼の即効的緊急増産を徹底し現有設備能力の最高率発揮に努むるものとす

1 鉄鋼業の経営形態は貧鉱処理に依る鉱石法銑鋼一貫作業を基本とし逐次特殊鋼業及副産物利用高級化学工業を加ふる総合的経営形態に進展せしむるものとす

2 特殊鋼に付ては其の適地性に基き之が増産を期すると共に併せてモリブデン、ワ’’ナヂウム等の積極的開発を促進するものとす

(ロ)電   力

 電気化学工業の躍進的開発を目標とし先行的に水力電源の計画的開発を行ふものとす

(ハ)石   炭

1 自給自足の確立特に鉄鋼業の開発に即応せる粘結炭の自給自足並に炭質の向上を図る為既開発及未開発の優良炭田の積極的開発を行ふものとす

2 粗悪炭炭砿は漸次之を整理縮少せしむると共に雑小炭砿に付ては其の統制を強化するものとす

3 炭砿開発に付ては全面的に其の機械化を促進徹底せしむるものとす

4 炭質向上の為各種選炭施設の拡充を強制すると共に炭質に基く合理的価格差の設定其の他炭質向上の諸方策を講ずるものとす

5 原料炭に付ては特に炭種及品質の固定に付配給上格別の工夫を為すものとす

(ニ)軽 金 属

 アルミニウムに付ては礬土頁岩法に依る生産を基本とし必要に応じボーキサイト法に依る生産を併せ遂行するものとす

(ホ)非 鉄 金 属

 鉛及亜鉛の積極的増産を図ると共に特に銅の速急なる開発を推進するものとす

(二)重工業部門に付ては右の外特に左の諸項に付考慮を払ふものとす

(イ)兵器工業は国防上の要請に即応し之が充実を図り且其の一般産業との結付を勘案すると共に戦時に於ける一般産業の兵器工業への転換を併せ考慮し置くものとす

(ロ)機械工業は鉱山機械、製鉄機械、電気機械及農業機械を中心に逐次其の自給体制を確立するものとす

(ハ)車両工業は自給体制を確立するの外更に大陸の需要充足を目途とするものとす

(ニ)化学工業は電気化学系統を中核とし其の他化学工業系統との有機的連関に於て逐次其の開発を推進するものとす

(ホ)製鹽に付ては対日供給の確保及化学工業の発展に即応し其の増産を図るものとす

(三)重工業製品に付ては特に対日供給を確保するの外大陸隣接地区に対する供給地たるの実を挙ぐると共に其の原料資源に付ては自給原料の外更に積極的に共栄圏内資源の利用をも併せ考慮するものとす

(四)重工業の躍進的開発に即応し左の施策を講ずるものとす

(イ)工業立地の具体的決定及之が整備を先行せしむるものとす

(ロ)現行鉱業法に付資源の利用開発的観点より根本的改正を加ふるものとす

(ハ)官民技術者を総動員し賦存資源の計画的総合的調査を徹底的に遂行するものとす

二 軽工業部門

 国内原料に依る加工工業を振興すると共に併せて需要の調整を行ひ可及的に主要消費物資の自給自足を確立するものとす

 軽工業の振興に当りては特に国内資本の活用を図るものとす

第五 配   給

 配給統制は経済活動の増進及公定価格の確保を目途とし国家目的に照応せる重点形成を為すと共に其の手続は極力之を簡易化するものとす

一 物資配給の基調は商業利潤の追求より国家目的に即応する配給義務の遂行に之を転換せしむるものとす

二 重要物動物資の配給は現行方式に依り既存一元的配給機関をして物動計画に即応し之を行はしむるを原則とす

 尚配給機構の整備刷新に付不断の検討を加ふるものとす

三 統制配給は建設資材、原料資材及其の他資材別に各其の用途的特性に適応せしめ特に重要物動物資に付ては物資の総合的効率発揮に遺憾なからしむる如く配給方法の改善に格段の考慮を払ふものとす

四 一般消費物資の配給統制は主要なる生活必需物資に重点を置き実施すると共に其の配給実施に付特に国家的見地に基く考慮を加ふるものとす

五 物品販売業は原則として許可制度とすると共に配給段階の整理減少を強行するものとす

六 配給利潤を統制し之を公定口銭化すると共に併せて配給業の区域的配分の適正を期し且配給業者への割当基準を能率主義に改め其の正当なる商業性の昂揚を促進するものとす

七 農村に於ける配給機構に付ては合作社の整備に即応し其の機能活用を図るものとす

第六 価   格

 生産の増強及経済生活の安定を確保する為価格政策は低物価主義を堅持し価格は極力低位に之を安定せしむると共に国家的見地に基き物価相互間の諧調均衡を得せしむる如く所要の調整を加ふるものとす

一 物価統制の基調を生産原価の低減に置き特に労賃昂騰の防止に努め併せて流通過程に於ける経費及利潤の適正化を図るものとす

二 物資の生産原価に付ては其の低減並に確保に付左の方策を講ずるものとす

(一)原価低減の基礎を確立する為統一原価計算制度を創設するものとす

(二)原価の低減に付ては特に能率の増進及総体費の節減等経営の合理化に重点を置くものとす

 尚建設費の低減を図る為土建統制を強化するものとす

(三)対日関係物資の原価に付ては合理的比較基礎に於て日本の価格水準と同一ならしむるが如く考慮するものとす

(四)原価切下に於て企業の自主的措置を越ゆる分野に付ては行政的処置を施すの外特に経済平衡資金制度を活用するものとす

 尚価値補償の為の財政的処置は原則として之を行はざるものとす

三 配給機関の収買価格は適正原価主義に依り企業別複数価格を認むるも販売価格に付てはプール平準制を原則とするものとす

四 特定生産物資又は主要消費物資の販売価格に付ては国家的見地に基き複数価格制を採用することあるものとす

五 物価の統制に当りては質及量の低減に依る実質価格の昂騰防止に付特別の対策を講ずるものとす

第七 金   融

一 円元等価主義を阻害すべき諸因素は之を芟除するものとす

二 国内資金の生産部門への動員及配分を徹底すると共に投機及商業部門への過当投資を抑制し浮動購買力の吸収を図るものとす

三 国債消化及貯蓄奨励の積極化方策を講ずるものとす

四 証券市場及国内金融機関を育成整備すると共に土著資本の活用を図るものとす

五 中央銀行制度に改善を加へ其の国家的機能を強化するものとす

第八 交   易

 対日及対支計画交易の完遂を図ると共に其の他共栄圏内各地域及枢軸国間との貿易を併せ振興するものとす

第九 交   通

 各種交通施設の有機的連繋ある整備拡充を行ひ輸送力の総合的増強と計画輸送の鞏化とを期するものとす

一 陸   運

(一)鉄   道

 鉄道の建設は国防並に産業の開発を主眼として之を行ふものとし尚私鉄、専用鉄道の敷設に付ても之が奨励を為すものとす

(二)道   路

 国防産業及開拓に必要なる道路に付ては積極的に之を新設すると共に既設道路に付ては其の維持補修に努むるものとす

 尚全国土に亙り逐次自動車用幹線道路網の完成を期するものとす

(三)小 運 送

 小運送施設の増強を図ると共に其の統制を強化するものとす

二 水   運

(一)港   湾

(イ)国土計画及交易計画に即応し港湾の積極的整備拡充を行ふものとす

(ロ)海運は差当り対日支航路の充実に重点を置き可及的速に外洋航路に付ても其の発展を期すると共に併せて造船施設の拡充を為すものとす

(二)河川及運河

 可航河川航路の整備充実を図ると共に南満工業地区に於ける産業運河の建設を考慮するものとす

三 航   空

 国内及対日支各地間航空路の拡充強化を図ると共に特に国内飛行場、気象、通信等航空保安施設の整備を期するものとす

第十 通   信

 国防並に産業の開発を主眼とし通信施設の整備拡充を図るものとす

第十一 理   水

 理水事業は防水並に河水の効率的利用を目途とし総合的計画の下に積極的に之を推進し特に先づ遼河水系に其の重点を置くものとす

第十二 都 邑 計 画

 立地計画に基き適正規模に依る都邑計画の確立を期すると共に既存大都市に於ては人口の過剰集中を抑制し且其の疎散を行ふものとす

第十三 科 学 技 術

一 科学技術の振興を図ると共に其の国家性に即応し科学技術の総合的統制及動員体制を確立するものとす

二 広く科学技術報国の精神を昂揚すると共に併せて科学技術尊重の気風を作興するものとす

三 科学技術各種研究機関の整備拡充を図り特に我国土に適合せる科学技術の創成を期するものとす

四 各種規格の統一及其の普及を図り生産能率の増進を期するものとす

五 現行特許発明制度に付発明の奨励及之が利用促進的観点より根本的検討を加ふるものとす

(国立公文書館:14.満洲国基本国策大綱 康德9年12月8日 C12120039300)

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 ダンバートン・オークス提案(一般的国際機構設立に関する提案)(訳文)     一般的国際機構設立に関する提案 (「ダンバートン、オークス」会議の結果「ソ」連邦、米国、英国及重慶政権に依り提案せられ千九百四十四年十月九日発表せられたるもの) (本提案の英文は千九百四十四年十月十一日附「モスコー、ニュース」より之を採り「ストックホルム」電報等に依り長短相補ひたるものなり) 「国際連合」なる名称の下に一の国際機構設立せらるべく其の憲章は左の提案を具現するに必要なる規定を掲ぐべし    第一章 目的 本機構の目的は左の如くなるべし 一、国際平和及安寧を保持すること、右目的の為平和に対する脅威の防止及除去並に侵略行為又は他の平和侵害行為の抑圧を目的とする効果的且集団的措置を執ること及平和の侵害に至るの虞ある国際紛争を平和的方法に依り調整又は解決すること 二、各国間の友好関係を発展せしめ且世界平和を強化すべき他の適当なる措置を執ること 三、各国間の経済的、社会的及他の人道上の問題の解決の為国際協力を完成すること及 四、右共同目的完成の為各国の行動を調整すべき中心たるべきこと    第二章 原則 第一章に掲げたる目的を遂行せんが為本機構及其の締盟国は以下の原則に従ひ行動すべし 一、本機構は一切の平和愛好国の主権平等の原則に其の基礎を置くものとす 二、本機構の一切の締盟国は締盟国全部に対し締盟国たるの地位に基く権利及利益を保障する為憲章に従ひ負担したる義務を履行することを約す 三、本機構の一切の締盟国は其の紛争を国際平和及安寧を危殆ならしめざるが如き平和的方法に依り解決すべきものとす 四、本機構の一切の締盟国は其の国際関係に於て本機構の目的と両立せざる如何なる方法に於ても脅威又は兵力の行使を避くるものとす 五、本機構の一切の締盟国は本機構が憲章の規定に従ひ執るべき如何なる行動に於ても之に対し有らゆる援助を与ふるものとす 六、本機構の一切の締盟国は本機構が防遏的又は強制的行動を執行中なる如何なる国家に対しても援助を与ふることを避くるものとす 本機構は、国際平和及安寧保持に必要なる限り本機構の非締盟国が右原則に従ひ行動することを確実ならしむべし    第三章 締盟国 一切の平和愛好国は本機構の締盟国たり得べし    第四章 主要機関 一、本機構は其の主要機関として左記を有すべし  イ

第二次近衛声明(東亜新秩序建設の声明) 1938年11月03日

 第二次近衛声明(東亜新秩序建設の声明)                     (昭和十三年十一月三日)  今や 陛下の御稜威に依り帝国陸海軍は、克く広東、武漢三鎮を攻略して、支那の要域を戡定したり。国民政府は既に地方の一政権に過ぎず。然れども、尚ほ同政府にして抗日容共政策を固執する限り、これが潰滅を見るまで、帝国は断じて矛を収むることなし。  帝国の冀求する所は、東亜永遠の安定を確保すべき新秩序の建設に在り。今次征戦究極の目的亦此に存す。  この新秩序の建設は日満支三国相携へ、政治、経済、文化等各般に亘り互助連環の関係を樹立するを以て根幹とし、東亜に於ける国際正義の確立、共同防共の達成、新文化の創造、経済結合の実現を期するにあり。是れ実に東亜を安定し、世界の進運に寄与する所以なり。  帝国が支那に望む所は、この東亜新秩序建設の任務を分担せんことに在り。帝国は支那国民が能く我が真意を理解し、以て帝国の協力に応へむことを期待す。固より国民政府と雖も従来の指導政策を一擲し、その人的構成を改替して更生の実を挙げ、新秩序の建設に来り参ずるに於ては敢て之を拒否するものにあらず。  帝国は列国も亦帝国の意図を正確に認識し、東亜の新情勢に適応すべきを信じて疑はず。就中、盟朋諸国従来の厚誼に対しては深くこれを多とするものなり。  惟ふに東亜に於ける新秩序の建設は、我が肇国の精神に淵源し、これを完成するは、現代日本国民に課せられたる光栄ある責務なり。帝国は必要なる国内諸般の改新を断行して、愈々国家総力の拡充を図り、万難を排して斯業の達成に邁進せざるべからず。  茲に政府は帝国不動の方針と決意とを声明す。 (国立公文書館:「近衛首相演述集」(その二)/1 第一章 「声明、告諭、訓令、訓辞」 B02030031600)