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徴兵令 1889年11月12日

 徴兵令(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)


法律第二十九号

明治二十二年一月法律第一号徴兵令中左の通改正追加す

第十一条第一項中割注を「小学科及撰科等の別科を除く」と改む

同条第三項及第四項を左の如く改む

 満十七歳以上満二十六歳以下にして官立府県立師範学校の卒業証書を所持し官立公立小学校の教職に在る者は六週間陸軍現役に服せしむ其服役に関する費用は官給とす

 前項の現役を終りたる者は直ちに国民兵役に服せしむ

同条第四項の次に左の一項を加ふ

 第三項又は第四項に依り服役中の者にして満二十六歳迄に其教職を罷むる者は抽籤の法に依らすして更に常例の兵役に服せしむ但第一項に依り一年志願兵を志願する者は此限に在らす

第二十一条第一項を左の如く改む

 第十一条第一項に掲くる学校に在校の者は本人の願に由り満二十六歳迄徴集を猶予す其事故満二十六歳迄に止み又は二十六歳を過くるも仍ほ止まさる者は抽籤の法に依らすして之を徴集す但第十一条第一項に依り一年志願兵を志願する者及第十一条第三項に依り服役する者は此限に在らす

第二十九条中「其入営する年の十二月一日」の下に「(第十一条第三項に依り服役する者の現役年期の計算は別に勅令を以て規定する月日より起算す)」の割注を加ふ

第四十六条第一項の次に左の一項を加ふ

 第十一条第三項又は第四項に依り服役中の者にして満二十六歳迄に其教職を罷むる者は三日以内に本籍の市町村長に届出可し

同条末項の「前項」を「第一項及第二項」と改む

(官報:1889年11月13日)


改正後本文

   第一章 総則

第一条 日本帝国臣民にして満十七歳より満四十歳迄の男子は総て兵役に服するの義務あるものとす

第二条 兵役は分て常備兵役後備兵役及国民兵役とす

第三条 常備兵役は分て現役及予備役とす

 現役は陸軍は三箇年海軍は四箇年にして満二十歳に至りたる者之に服し予備役は陸軍は四箇年海軍は三箇年にして現役を終りたる者之に服す

第四条 後備兵役は五箇年にして常備兵役を終りたる者之に服す

第五条 国民兵役は満十七歳より満四十歳迄の者にして常備兵役及後備兵役に在らさる者之に服す

第六条 各兵役の期限既に満ると雖も戦時或は事変に際するとき若くは臨時に演習或は観兵の挙あるとき若くは航海中或は外国駐箚中其期を延すことある可し

第七条 重罪の刑に処せられたる者は兵役に服することを許さす

   第二章 服役

第八条 陸軍現役兵は毎年所要の人員に応し壮丁の身材芸能職業に従ひ歩兵騎兵砲兵工兵輜重兵職工及雑卒に区別し抽籤の法に依り当籤の者を以て之に充つ

 海軍現役兵は毎年所要の人員に応し沿海地方及島嶼の壮丁を調査し海軍に適する職業に従ひ水平火夫職工及雑卒に区別し抽籤の法に依り当籤の者を以て之に充つ但海軍志願兵徴募規則に依り服役する者は本令の限に在らす

 警備隊を置きたる島嶼の壮丁は総て之を警備隊に充て其地に於て服役せしむ但在営期限は一箇年以内とす

第九条 雑卒の現役期限は其職務に因り之を短縮することある可し但常備兵役の全期は之を減することなし

第十条 二十歳に至らすと雖も満十七歳以上の者は志願に由り現役に服すことを得

第十一条 満十七歳以上満二十六歳以下にして官立学校(小学科及撰科等の別科を除く)府県立師範学校中学校若くは文部大臣に於て中学校の学科程度と同等以上と認めたる学校若くは文部大臣の認可を経たる学則に依り法律学政治学理財学を教授する私立学校の卒業証書を所持し若くは陸軍試験委員の試験に及第し服役中食料被服装具等の費用を自弁する者は志願に由り一箇年間陸軍現役に服することを得但費用の全額を自弁し能はさるの証ある者には其幾部を官給することある可し

 前項の一年志願兵は特別の教育を授け現役満期の後二箇年間予備役に五箇年間後備役に服せしむ

 満十七歳以上満二十六歳以下にして官立府県立師範学校の卒業証書を所持し官立公立小学校の教職に在る者は六週間陸軍現役に服せしむ其服役に関する費用は官給とす

 前項の現役を終りたる者は直ちに国民兵役に服せしむ

 第三項又は第四項に依り服役中の者にして満二十六歳迄に其教職を罷むる者は抽籤の法に依らすして更に常例の兵役に服せしむ但第一項に依り一年志願兵を志願する者は此限に在らす

第十二条 禁錮の刑に処せられ若くは賭博犯に由り懲罰に処せられたる者は一年志願兵たることを許さす

第十三条 現役中殊に勤務に熟し品行方正なる者は帰休を命することある可し

第十四条 予備兵は戦時若くは事変に際し之を召集す平常に在ては毎年一度六十日以内勤務演習の為め之を召集し又毎年一度簡閲点呼を為す

第十五条 後備兵は戦時若くは事変に際し予備兵に次て之を召集す平常に在て勤務演習及簡閲点呼を為すこと予備兵に同し

第十六条 国民兵は戦時若くは事変に際し後備兵を召集し仍ほ兵員を要するときに限り之を召集す

   第三章 免役延期及猶予

第十七条 兵役を免するは㾱疾又は不具等にして徴兵検査規則に照し兵役に堪へさる者に限る

第十八条 左の掲くる者は徴集を延期す次年に於て仍ほ徴集に適せさる者は国民兵役に服せしむ

  第一 体格完全且強壮なるも身幹未た定尺に満たさる者

  第二 疾病中又は病後にして労役に堪へさる者

第十九条 公権の剥奪若くは停止を附加す可き重軽罪の為め訊問若くは拘留中の者は徴集を延期す

第二十条 徴集に応するときは其家族自活し能はさるの確証ある者は本人の願に由り徴集を延期す其事故三箇年を過くるも仍ほ止まさる者は国民兵役に服せしむ但分家又は絶家廃家再興の故を以て本条に当る者其他自活し能わさる事故を作為したる者は其願を許可せす

第二十一条 第十一条第一項に掲くる学校に在校の者は本人の願に由り満二十六歳迄徴集を猶予す其事故満二十六歳迄に止み又は二十六歳を過くるも仍ほ止まさる者は抽籤の法に依らすして之を徴集す但第十一条第一項に依り一年志願兵を志願する者及第十一条第三項に依り服役する者は此限に在らす

学術修業の為め外国に寄留する者は本人の願に由り満二十八歳迄徴集を猶予す二十六歳迄に帰朝し又は二十六歳を過き帰朝する者は抽籤の法に依らすして之を徴集す但陸軍試験委員の試験に及第したる者は一年志願兵を志願することを得

第二十二条 余人を以て代ふ可からさる職務を奉する官吏及市町村長、助役及収入役は予備兵に在ると後備兵に在るとを問はす勤務演習簡閲点呼の為め召集することなし

 法律を以て設立したる議会の議員其開会中亦同し

   第四章 予備徴員

第二十三条 抽籤番号の順序に従ひ毎年所要の現役兵員に超過する壮丁は一箇年間(十二月一日より起算す)予備徴員とし戦時若くは事変に際し兵員を要するとき又は其年徴集の兵員欠くるとき之を徴集す

第二十四条 予備徴員にして其期限内に徴集せさる者は国民兵役に服せしむ

   第五章 雑則

第二十五条 (以下省略)

第二十六条 

第二十七条 

第二十八条 

第二十九条 

   第六章 罰則

第三十条 (以下省略)

第三十一条 

第三十二条 

   第七章 附則

第三十三条 (以下省略)

第三十四条 

第三十五条 

第三十六条 

第三十七条 

第三十八条 

第三十九条 

第四十条 

第四十一条 

第四十二条 

第四十三条 

第四十四条 

第四十五条 

第四十六条 

(国立公文書館:御署名原本・明治二十二年・法律第一号・徴兵令改正 A03020030000)

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