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人造石油製造事業法 1937年08月09日

 人造石油製造事業法(ひらがな化、一部新字体化、一部省略)


法律第五十二号

   人造石油製造事業法

第一条 本法は液体燃料の供給を確保する為人造石油製造事業の確立を図ることを目的とす

第二条 人造石油製造事業を営まんとする者は政府の許可を受くべし

 前項の人造石油製造事業の範囲及許可に関し必要なる事項は本法に定むるものの外勅令を以て之を定む

第三条 前条の許可を受くることを得べき者は帝国法令に依り設立したる株式会社にして其の株主の半数以上、取締役の半数以上、資本の半額以上及議決権の過半数が帝国臣民又は帝国法令に依り設立したる法人に属するものに限る

 前項の法人は其の社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上又は資本の半額以上若は議決権の過半数が外国人又は外国法人に属せざるものなることを要す

 前条の許可を受けたる者第二項の規定に該当せざるに至りたるときは許可は其の効力を失ふ

第四条 第二条の許可をうけたる会社(人造石油製造会社)は政府の指定する期間内に其の事業を開始すべし

 政府は正当の事由ありと認むる場合に限り前項の期間の延長を許可することを得

 人造石油製造会社前二項の期間内に其の事業を開始せざるときは第二条の許可は其の効力を失ふ

第五条 人造石油製造会社の営む石油製造事業は土地収用法第二条の土地を収用又は使用することを得る事業とし同法を適用す

第六条 人造石油製造会社には命令の定むる所に依り本法施行の日より十年間其の事業に付所得税及営業収益税を免除す

第七条 北海道、府県及市町村其の他之に準ずべきものは前条の期間人造石油製造会社には其の事業に対し又は其の事業に属する資本金額、従業者、製造若は加工の用に供する器具機械類、使用動力又は収入を標準として課税することを得ず

第八条 人造石油製造会社其の事業の為必要なる器具、機械又は材料を政府の認可を受け輸入するときは本法施行の日より七年間命令の定むる所に依り輸入税を免除す

第九条 政府は人造石油製造会社に対し命令の定むる所に依り其の製造したる人造石油に付奨励金を交付することを得

第十条 詐欺の行為を以て前条の奨励金の交付を受けたる者に対しては其の金額を返還せしむ

 前項の規定に依る返還金は国税滞納処分の例に依り之を徴収することを得但し先取特権の順位を国税に次ぐものとす

第十一条 人造石油製造会社は事業拡張の場合に於て政府の認可を受け其の事業に属する設備の費用に充つる為株金全額払込前と雖も其の資本を増加することを得

第十二条 人造石油製造会社は政府の認可を受け其の事業に属する設備の費用に充つる為商法第二百条の規定に依る制限を超えて社債を募集することを得但し社債の総額は払込みたる株金額の二倍を超ゆることを得ず

 最終の貸借対照表に依り会社に現存する財産が払込みたる株金額に満たざるときは前項の規定を適用せず

 第一項の規定に依り募集する社債に付ては工場抵当法に依り会社の事業に属するものを抵当と為すことを要す但し特別の事情ある場合に於て政府其の必要なしと認めたるときは此の限に在らず

第十三条 人造石油製造会社は命令の定むる所に依り事業計画を定め政府の認可を受くべし之を変更せんとするとき亦同じ

 政府必要ありと認むるときは事業計画の変更を命ずることを得

第十四条 人造石油製造会社其の事業の全部又は一部を譲渡し、廃止し又は休止せんとするときは命令の定むる所に依り政府の許可を受くべし

 人造石油製造会社の合併又は解散の決議は命令の定むる所に依り政府の認可を受くるに非ざれば其の効力を生ぜず

第十五条 政府は人造石油製造会社に対し其の業務及財産の状況に関し報告を為さしむることを得

 政府は人造石油製造会社に対し其の業務及会計に関し監督上必要なる命令を発し又は処分を為すことを得

 政府監督上必要ありと認むるときは当該官吏をして人造石油製造会社の事務所、営業所、工場、貯油所其の他の場所に臨検し業務若は財産の状況又は帳簿書類其の他の物件を検査せしむることを得此の場合に於ては其の身分を示す証票を携帯せしむべし

第十六条 政府公益上必要ありと認むるときは人造石油製造会社に対し人造石油の販売価格の変更其の他販売に関し必要なる事項を命ずることを得

 政府公益上必要ありと認むるときは人造石油製造会社に対し其の設備の拡張若は改良又は製造方法の改善を命ずることを得

第十七条 政府軍事上必要ありと認むるときは人造石油製造会社に対し人造石油の製造に関する特殊設備の施設其の他軍事上必要なる事項を命ずることを得

第十八条 人造石油製造会社は其の所有する人造石油を政府が命令の定むる所に依り時価を標準として購入せんとするときは之を拒むことを得ず

第十九条 政府第二条の処分又は第十六条の規定に依る命令を為さんとするときは液体燃料委員会の議を経べし

第二十条 人造石油製造会社本法若は本法に基きて発する命令又は之に基きて為す処分に違反したるときは政府は其の業務を停止し若は制限し、第二条の許可を取消し又は取締役若は其の職務を行ふ監査役の解任を為すことを得

第二十一条 (第二十七条まで罰則規定、以下省略)

第二十二条 

第二十三条 

第二十四条 

第二十五条 

第二十六条 

第二十七条 

   附 則

本法施行の期日は勅令を以て之を定む

本法施行の際現に人造石油石油事業を営む者は本法施行の日より二年を限り命令の定むる所に依り第二条の規定に拘らず其の事業を営むことを得

第十五条第一項第三項、第二十四条、第二十六条及第二十七条の規定は前項の規定に依り人造石油製造事業を営む者に之を準用す

石油業法第八条第一項中「石油業委員会」を「液体燃料委員会」に改め同条第二項を削る

(国立公文書館:人造石油製造事業法制定石油業法中改正・御署名原本・昭和十二年... A03022074900)


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