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金属類回収令 1941年08月30日

 金属類回収令(ひらがな化、一部新字体化)


勅令第八百三十五号

   金屬類囘收令

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号に於て依る場合を含む以下同じ)第八条の規定に基く回収物件の譲渡其の他の処分、使用及移動に関する命令並に国家総動員法第五条の規定に基く回収物件の譲受に関する協力命令に付ては本令の定むる所に依る

第二条 本令に於て回収物件とは鉄、銅、又は黄銅、青銅、其の他の銅合金を主たる材料とする物資にして閣令を以て指定するものを謂ふ

第三条 閣令を以て指定する施設に備附けたる回収物件(以下指定施設に於ける回収物件と称す)にして閣令を以て指定するものを所有し又は権原に基き占有する者は当該回収物件に付譲渡其の他の処分を為し又は之を移動することを得ず但し商工大臣の指定する者(以下回収機関と称す)に譲渡する場合及び命令を以て定むる場合は此の限に在らず

第四条 商工大臣は地域を限り其の地域内の指定施設に於ける回収物件にして前条の規定に依り閣令を以て指定するもの以外のものを所有し又は権原に基き占有する者に対し一般的に当該回収物件の譲渡其の他の処分又は移動を制限することを得

第五条 地方長官は回収物件の所有者に対し期限を指定して回収機関に当該回収物件の譲渡の申込を為すべきことを勧告することを得

第六条 指定施設に於ける回収物件にして第三条の規定に依り閣令を以て指定するものを所有する者は閣令を以て指定する期日迄に回収機関に対し当該回収物件の譲渡の申込を為すべし但し命令を以て定むる場合は此の限に在らず

第七条 商工大臣は地域を限り其の地域内の指定施設に於ける回収物件にして第三条の規定に依り閣令を以て指定するもの以外のものを所有する者に対し期限を指定して回収機関に当該回収物件の譲渡の申込を為すべきことを一般的に命ずることを得

第八条 指定施設に於ける回収物件の所有者第五条乃至前条の規定に依り譲渡の申込を為したるときは当該所有者又は当該物件を権原に基き占有する者は回収機関の請求に応じ遅滞なく当該回収物件の引渡を為すべし

 前項の請求ありたる場合に於て当該回収物件を所有し又は権原に基き占有する者は回収機関に対し当該回収物件の撤去又は引取を請求することを得

 回収機関前二項の規定に依り当該回収物件の引渡を受けたるときは受領調書を作り引渡を為したる所有者又は占有者に之を交付すべし

第九条 撤去費其の他回収物件の引渡に要する費用及修理費は回収機関の負担とす

 回収物件の用途又は備附の状況に鑑み特に代替物件の備附を必要とする場合に於て代替物件の価額と其の備附に要する費用との合計額が当該回収物件の価額を超えるゆときは前項の費用の外其の超過分は回収機関の負担とす

 前二項の規定に依り回収機関に於て負担すべき額は前条第二項の規定に依り撤去又は引取ありたる場合を除くの外第十条の規定に依る協議又は裁定に依り定まる額とす

第十条 回収機関第五条乃至第七条の規定に依り指定施設に於ける回収物件の所有者より譲渡の申込を受けたるときは命令の定むる所に依り当該回収物件の譲渡価額及前条の規定に依り回収機関に於て負担すべき額(第八条第二項の規定に依る撤去及引取の費用の額を除く)に付遅滞なく当該所有者又は当該回収物件を権原に基き占有する者と協議すべし此の場合に於て協議調はざるとき又は協議を為すこと能はざるときは地方長官之を裁定す

 前項の場合に於ける回収物件の譲渡価額、前条第一項の費用並に同条第二項の代替物件の価額及其の備附に関する費用の基準は商工大臣之を定む

第十一条 回収物件に関し強制徴収手続、国税徴収法に依る強制徴収手続又は土地収用法、工場事業場使用収用令、土地工作物管理使用収用令若は総動員物資使用収用令に依る使用若は収用の手続其の他此等の手続に準ずべきものの進行中なるときは其の進行中に限り当該回収物件に関しては第三条乃至第七条の規定は之を適用せず

第十二条 第六条又は第七条の規定に依り為したる回収物件の譲渡は他の法令に拘らず其の効力を有す

 第六条又は第七条の規定に依り譲渡すべき回収物件に付存したる担保権は他の法令に拘らず当該回収物件に付其の譲渡の時より之を行ふことを得ず

 前項の場合に於ては当該担保権者は当該回収物件の対価として受くべき金銭及当該回収物件に付第九条第二項の超過分として受くべき金銭に対し其の権利を行ふことを得

第十三条 回収機関回収物件を譲受けたるときは商工大臣の指定する回収機関に対し譲渡する場合其の他命令を以て定むる場合を除くの外当該回収物件に付譲渡其の他の処分を為し又は之を使用することを得ず

第十四条 商工大臣は個人及法人の其の他の団体をして回収機関の行ふ回収物件の譲受其の他之に関連する業務に協力せしむることを得

第十五条 商工大臣又は地方長官は回収物件に関し国家総動員法第三十一条の規定に依り回収機関及回収物件の所有者其の他の関係人より必要なる報告を徴し又は当該官吏をし当該回収物件の所在の場所其の他必要なる場所に臨検し業務の状況若は当該回収物件、書類、帳簿等を検査せしめることを得

 前項の規定に依り当該官吏をして臨検検査せしむる場合に於ては其の身分を示す証票を携帯せしむべし

第十六条 商工大臣は本令に規定する職権の一部を地方長官に委任することを得

第十七条 本令中地方長官とあるは鉱業又は砂鉄業に属する施設に関しては鉱山監督局長、電気事業に属する施設に関しては逓信局長、地方鉄道又は専用鉄道に属する施設に関しては鉄道局長とす

 逓信局長又は鉄道局長本令に規定する事務を行ふ場合に於ては商工大臣の指揮監督を承く

第十八条 本令中商工大臣とあるは朝鮮、台湾、樺太又は南洋群島に在りては各朝鮮総督台湾総督、樺太庁長官又は南洋庁長官とし地方長官とあるは朝鮮に在りては道知事(電気事業に属する施設に関しては朝鮮総督府逓信局長、私設鉄道又は専用鉄道に属する施設に関しては朝鮮総督府鉄道局長)、台湾に在りては州知事又は総長(電気事業又は私設鉄道に属する施設に関しては台湾総督府交通局総長)、樺太に在りては樺太庁長官、南洋群島に在りては南洋庁長官とす

 本令中閣令とある朝鮮又は台湾に在りては総督府令、樺太又は南洋群島に在りては庁令とす

   附則

本令は昭和十六年九月一日より之を施行す但し朝鮮、台湾、樺太又は南洋群島に在りては昭和十六年十月一日より之を施行す

(国立公文書館:A03022633800)

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