決号作戦準備要綱(ひらがな化、一部省略、未チェック)
決号作戦準備要綱
目次
第一 総則
其一 作戦要綱
其二 対空襲作戦
其三 対上陸作戦に於ける航空作戦
其四 対上陸作戦に於ける地上決戦
其五 海峡防衛
第三 兵力運用 第四 国内抗戦及国内警備
第五 情報収集 第六 築城
第七 教育訓練 第八 交通通信
第九 後方作戦準備
第一 総則
一 本要綱は主敵米軍の進攻に対し内地(南西諸島を除く)、朝鮮、樺太及其近海に於ける作戦(以下決号作戦と呼称す)に関し各軍の作戦及作戦準備に必要なる準拠を示す
二 本要綱は主として昭和二十年秋期迄に於ける作戦に応するものとす 又本要綱は東支那海周辺に於ける作戦(天号作戦)と密に連接するものとす
三 計画及企図秘匿を容易ならしむる為敵の進攻に応し生起すへき作戦方面毎に附表一の如く作戦及担任区分を定む
附表第一
作戦区分作戦主担任一覧表(省略)
四 情勢の推移、兵備の建設増強、作戦準備の進捗等を勘案し左の如く時期を画して作戦準備及指導の要領を計画す
第一期 自昭和二十年四月 至同七月
第二期 自昭和二十年八月 至同九月
第三期 昭和二十年十月以降
五 対上陸作戦の準備は特に時期を示しあるものの外第一期に於て応急態勢を整備し(但し九州、四国方面に於ては六月上旬とす)第二期に於て之を強化し第三期初頭に於て完整す
第二 作戦要綱
其一 要則
一 帝国陸軍は速に戦備を強化して敵必滅の戦略態勢を確立し主敵米の信寇を本土要城に於て邀撃す
之か為主戦面は太平洋及東支那海正面とし戦備の重点を関東地方及九州地方に保持す
日本海沿岸要点の警備に遺憾なからしむると共に同海域に於ける敵の策動を防遏することに努む
二 敵空襲を撃破して敵機の跳梁を制するに努め帝都及本土の枢要部特に生産、交通並作戦準備を掩護す
三 敵の本土要部の攻略企図に対しては努めて之を洋上に撃破すると共に上陸する敵に対し果敢なる陸上攻勢を採り神速に決勝を求む
(一) 航空作戦指導の重点を敵の上陸企図破摧に指向し且其主攻撃目標は敵輸送船団とす
之か為航空撃滅戦(敵基地航空及上陸部隊を伴はさる敵機動部隊に対する攻撃)、防空部隊及地上協力作戦等は前項主旨達成を主眼とし適宜其限度を律し以て対上陸作戦に於ける戦力の維持培養に遺憾無からしむるものとす
(二) 陸上作戦は上陸せる敵を努めて沿岸要域に圧倒撃滅して戦局に最終の決を求むるを主眼とす
陸上作戦は縦ひ航空部隊等の協力を欠くも独力作戦を遂行し其目的の達成を期するものとす
四 海軍の行ふ海上交通保護、水上、水中特攻作戦及海峡防衛に協力す
五 国土の特性を活用し特に軍民一致挙国皆兵たる伝統の精髄を発揮して作戦目的の完遂を期す 又敵一部の内陸侵襲其他情勢の推移に対応し国土全域に亘り国内抗戦を準備すると共に国内警備の万全を期するものとす
其二 対空襲作戦
一 航空作戦
(一) 敵の本土要部空襲に対し好機来襲敵機を邀撃すると共に適時航空基地を制圧す
又好機に乗し敵機動部隊跳梁を制す
(二) 航空基地を強化し又秘匿飛行場を設定する等に依り戦力の保全蓄積を図り靭強なる航空作戦の遂行に遺憾無からしむ
所要に応し北東、満洲及支那方面の基地を利用す
二 地上防空作戦
(一) 地上防空部隊は敵空襲に対し努めて兵力を集約し敵機の撃滅を図る 防空の重点左の如し
(イ) 帝都特に皇居の防衛 (ロ) 交通幹線上の要点
(ハ) 重要生産施設 (ニ) 重要飛行場
(ホ) 主要軍需品集積地
(二) 地上防空部隊及情報部隊の配置は敵航空基地の強化推進、我防空戦闘隊の戦力、要掩護地域の状況に即応し適宜重点構成を図る 之か為兵力増加に依るの外予め所要の予備陣地を準備し適時の配置転換に遺憾無からしむ
(三) 敵基地航空勢力の情勢に対処し愈々消極防空を重視す
(四) 敵の上陸企図に対する地上作戦軍の作戦行動開始に方りては要点に於ける機動集中を掩護す
之か為適時所要の防空兵力の転用を準備す
其三 対上陸作戦に於ける航空作戦
一 通信諜報等と相連繋し太平洋上に於ける敵空海基地に対する戦略捜索に努め全般情勢判断の憑拠を求む
二 敵就中輸送船団の動静に対する観察を厳にし適時其企図偵知に努むると共に本土要域特に関東地方及九州地方に対する敵の侵寇に方り極力之を洋上に撃滅す
此間要時一部を以て右上陸行動を掩護する主要敵航空基地を制圧す
三 敵の上陸直後に於ては努めて橋頭陣地の設定確保に協力する敵護衛艦艇を制圧し地上軍の作戦を容易ならしむ 又極力敵の補給遮断を継続す
四 地上作戦協力は緊要の時機所要の方面に対する指揮連絡を主旨とするも当時に於ける我戦力之を許せは局部的制空権の獲得に努め地上作戦の遂行を容易ならしむることに努む
其四 対上陸作戦に於ける地上作戦
一 地上軍は速に敵主力の進攻方面を判定し機に先んし成るへく多くの兵力を該方面に機動集中し敵の縦方向又は横方向に於ける戦力分離に乗し神速に決戦を求む
二 敵の進攻同時数方面に亘るときは敵主力に対し主作戦を指導す 敵主力の存在不明なるときは我主戦力の指向容易なる方面に対し決戦を求む
支作戦方面に在りては一部を以て所要の期間持久を策し主力の決戦を容易ならしむ
三 敵の進攻逐次数方面に亘るときも亦前項に準す 但し敵主力に先たち一部の進攻を見る場合に於ては全般の情勢之を許せは所要の兵力を指向して之を各個に撃破す
四 地上作戦軍は敵の確乎たる上陸態勢を占むるに先たち努めて沿岸要域に於て敵を撃破する如く作戦を指導す
五 地上兵力は予め計画する所に準拠し他方面より作戦の焦点に之を集中するの外 敵の上陸方面に非さる方面より更に兵力を抽出転用して作戦予備と為し所要に応し之を主決戦正面に増加し或は戦局の変転に対処す
六 敵の進攻を受けさる方面の軍は能く全局の作戦を容易ならしむる如く諸般の措置を構す(以下省略)
七 本土沿岸の島嶼は之を堅固に専守して敵の空海基地の獲得、設定及活用を妨害すると共に……敵戦力を消耗するに努む(以下省略)
八 上陸企図に伴ふ敵の空挺作戦に対しては主として地上部隊を以て速に之を撃破す
前項の外 重要航空基地、作戦路及交通要点の対空挺防備を厳ならしめ又内陸後方に対する準備に遺憾無からしむ
其五 海峡防衛
一 海峡防衛に関しては所要の兵力を以て海軍に協力し其重点は朝鮮、津軽、宗谷各海峡並豊予、紀伊両水道とし日本海及瀬戸内海に対する敵の策動を防遏するを以て主眼とす
二 (以下省略)
三 (以下省略)
第三 兵力運用
一 全局の情勢に基き敵の進攻を予察するや各軍は他方面に対する兵力機動を準備し大本営は所要に応し戦略態勢を転換し所要の大本営運用予備兵団を指揮掌握し以て情勢に対処す
二 (以下省略)
三 (以下省略)
第四 国内抗戦及国内警備
一 国内抗戦(対敵行動を主とするものを謂ふ)及国内警備(対内諸般の警備を主とするものを謂ふ)の主眼は軍を中核とし官民を統合して国家総武装の態勢を整へ外敵を撃滅し且戦争遂行上の諸障碍を排除し作戦に寄与すると共に国土の保全を全うするに在り
二 国内抗戦
(一) 国内抗戦の主眼は敵上陸(空挺)部隊の内陸侵襲に方り遊撃偵謀、偽騙並宿営の妨害補給の封鎖等に依り敵の行動を妨害すると共に敵戦力を疲憊消耗するに在り
(二) 国内抗戦は左記の場合に対処し得るを基準とし且作戦軍の作戦指導に吻合し諸般の措置を計画準備するものとす
(イ) 我作戦部隊の配兵無きか稀薄なる場合
(ロ) 支作戦方面に於て内陸作戦を指導する場合
(ハ) 当面の戦況遽かに其決を見すして国内戦に移行する場合
(三) 国内抗戦兵力は野戦軍の一部を中核とし軍(師)管区司令官統一指揮の下に各種警備部隊を使用するの外 官民の警防組織を活用するものとす
三 国内警備
(一) 国内警備の主眼は空襲、砲撃、敵兵の侵襲、災害等に伴ひ又は敵の宣伝謀略に依り国内の騒擾、不逞行動の勃発に方り軍事上の障碍無からしむる為 軍事行動、重要施設資源、交通を掩護し軍機を保護し所要に応し治安を維持するに在り
(二) (以下省略)
四 国内抗戦は主として軍事特別措置法の適用地域に於て先つ速に完整し次て他方面に及ふものとす
五 国内抗戦及国内警備に必要なる一切の人的物的諸準備は関係各部隊現地に依り自活整備するものとす
第五 情報収集
決号作戦情報収集計画別冊第一の如し
第六 築城
一 大規模且徹底せる土木築城を実施し我企図する作戦を強靭に遂行するの支援たらしめ 特に攻勢的築城を重視すると共に兵力の劣勢を補ひ敵の優勢なる空爆、火力及機動力の封殺を図る
二 築城実施の為準拠すへき要綱は大陸指第二千四百十九号「国土築城実施要綱」に依る
三 各軍は其作戦計画に応し築城と関連し徹底せる戦略的の障碍、戦略的の偽騙施設を設定することに努むるものとす
四 各軍は夫々其作戦計画に応する作戦路を整備するの外全軍の兵力運用を顧慮し作戦路の整備、新設、維持に遺憾無からしむるものとす
第七 教育訓練
一 教育訓練は凡て戦地教育の要領に拠る
二 高級指揮官は其作戦計画に基き速に隷下司令部、団隊長を訓練して作戦、戦闘の要領を徹底す
此間軍隊は基礎の訓練より逐次総合訓練に入り兵団の実兵演習を以て訓練の完成を期す
特に新に編成せらるる部隊に在りては其素質を精査し之に適応する訓練に遺憾無からしむ
三 昭和二十年軍令陸甲第三十四号に拠る昭和二十年度第一次臨時動員師団(沿岸防禦兵団)及同第六十一号に拠る第二次臨時動員師団(攻撃兵団)の教育訓練は大陸指第二千四百三十三号に基き実施するものとす(以下省略)
四 (以下省略)
五 (以下省略)
六 (以下省略)
七 (以下省略)
第八 交通、通信
決号作戦交通準備要綱 別冊第二の如し
決号作戦通信整備要綱 別冊第三の如し
第九 後方作戦準備
決号兵站準備要綱 別冊第四の如し
(戦史叢書第082巻 大本営陸軍部<10>昭和二十年八月まで P162~ )
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