スキップしてメイン コンテンツに移動

国際紛争平和的処理条約 1899年07月29日

 国際紛争平和的処理条約(ひらがな化、一部新字体化)


國際紛爭平和的處理條約

   第一章 一般平和の維持

第一条 列国間の関係に於て兵力に訴ふることを成るへく制止せむか為記名国は国際紛議を平和に処理することに其の全力を竭さむことを約定す

   第二章 周旋及居中調停

第二条 記名国は重大なる意見の衝突又は紛争を生したる場合には兵力に訴ふるに先ち事情の許す限り其の交親国中の一国若は数国に周旋又は居中調停を依頼することを約定す

第三条 記名国は右依頼の有無に拘らす紛争以外に立つ一国又は数国か事情の許す限り自ら進て周旋又は居中調停を紛争国に提供することを有益と認む

 紛争以外に立つ国は交戦中と雖其の周旋又は居中調停を提供するの権利を有す

 紛争国は右権利の行使を目して友誼に戻れるものと為すことを得す

第四条 居中調停者の本分は紛争国双方の申分を和解し且其の間に生することあるへき悪感情を融和するに在るものとす

第五条 居中調停者の職務は其の提出したる和解方法の採納せられさることを紛争国の一方又は調停者自ら宣言したるとき直に終止するものとす

第六条 周旋及居中調停は紛争国の依頼に由ると紛争以外に立つ国の発意に出つるとに論なく全く勧告の性質を有するに止り決して拘束の効力を有せさるものとす

第七条 反対の約束ある場合の外は居中調停を承諾したるか為動員其の他の戦闘準備を中止し遅延し又は障碍するの結果を生することなし

 若戦闘開始の後に於て居中調停起りたるときは反対の約束ある場合の外之か為進行中の軍事的動作を中止することなし

第八条 記名国は事情の許す限り左の手続を以てする特別居中調停の適用を可とすることに同意す

 平和を破るの虞ある重大なる紛議を生したる場合には紛争国は平和の破裂を予防する為各各一国を選定し他の一方の選定したる国と直接の交渉を開くの任務を附託す

 右附託の期間は反対の規約ある場合の外三十日を超えさるものとし期間中紛争事件に関することは調停国に一任したるものと看做し紛争国は自て直接の交渉を為すことを中止す右調停国は紛議を処理するに全力を竭すへきものとす

 平和の既に破れたる後と雖右調停国は平和を回復するの機会ある毎に之を利用するの共同任務を負ふものとす

   第三章 国際審査委員

第九条 名誉又は重要なる利益に関係せす単に事実上の見解の異るより生したる国際紛争事件にして外交上の手段に依り其の妥協を遂くること能はさりし場合には紛争国は事情の許す限り国際審査委員を設け之をして公平誠実なる審査に依りて事実問題を明かにし紛争の結了を幇助するの任に当らしむるを以て記名国は有益なりと認む

第十条 国際審査委員は紛争国間の特別条約を以て之を設置す

 審査条約は審査すへき事実及委員の権限を明瞭に規定す

 審査条約は審査手続を規定す

 審査は双方対審の上之を行ふ

 遵守すへき方式及期限にして審査条約に規定なきものは委員自ら之を定む

第十一条 国際審査委員は反対の規約なき限り本条約第三十二条に定めたる方法に依り之を設置す

第十二条 紛争国は係争事実を完全に知悉し且精確に会得するに必要なる一切の方法及便宜を其の為し得へしと認むる限り充分に国際審査委員に提供することを約定す

第十三条 国際審査委員は各委員の記名したる報告書を紛争国に提出す

第十四条 国際審査委員の報告書は単に事実の記述に止るものにして決して仲裁宣告の性質を有せす此の記述に対し如何なる結果を付すへきやは全く紛争国の自由たるへし

   第四章 万国仲裁裁判

    第一節 仲裁裁判

第十五条 万国仲裁裁判は紛争国の選定せる裁判官をして法を尊重するの基礎に拠り国と国との間に生したる紛議を処理せしむることを以て目的とす

第十六条 法律問題就中国際条約の解釈又は適用に関する問題に就ては記名国は外交上の手段に依り結了すること能はさりし紛議を処理するには仲裁裁判を以て最も有効にして且最も公平なる方法と認む

第十七条 仲裁裁判条約は既に生したる紛議又は将来生することあるへき紛議の為に締結す

 仲裁裁判条約は総ての総議又は特に指定したる種類の紛議のみに関することを得

第十八条 仲裁裁判条約は誠実に仲裁宣告に服従するの約束を包含す

第十九条 仲裁裁判に依頼すへき義務を記名図に対して現に規定したる一般若は特別条約の有無に拘らす記名国は仲裁裁判に付することを得へしと思料する一切の場合に義務的仲裁裁判を普及せしめむか為本条約批准前又は其の後に於て一般若は特別の新協定を為すの権利を保留す

    第二節 常設仲裁裁判所

第二十条 外交上の手段に依りて処理すること能はさりし国際紛議を直に仲裁裁判に付するに便ならしむるの目的を以て記名国は何時たりとも依頼することを得へき且紛争国間に反対の規約なき限は本条約に掲けたる手続に依りて其の職務を行ふへき常設仲裁裁判所を構成することを約定す

第二十一条 常設仲裁裁判所は紛争国の間に特別の裁判所を設置するの協約ある場合の外一切の仲裁事件を管轄するものとす

第二十二条 海牙に万国事務局を設置し仲裁裁判所書記局の事務に当らしむ

 右事務局は裁判所の開廷に関する通信の媒介者とす

 事務局は記録の保管を掌り一切の行政事務を処理す

 記名国は相互の間に定めたる一切の仲裁裁判規約の認証謄本竝其の当事者たる場合に特別裁判所か下したる仲裁宣告の認証謄本を海牙万国事務局に交付することを約定す

 記名国は仲裁裁判所の下したる宣告の執行を証明することあるへき法律規則及文書も亦同しく右事務局に交付することを約定す

第二十三条 各記名国は本条約批准後三箇月以内に国際法上の問題に堪能の名ありて徳望高く且仲裁裁判官の任務を受諾するの意ある者四名以下を指定すへし

 右指定を受けたる者は仲裁裁判所裁判官として名簿に記入し事務局より之を各記名国に通知すへし

 仲裁裁判官の名簿に異動ある毎に事務局より之を記名国に通知す

 二国若は数国相約して共同に一名又は数名の仲裁裁判官を指定することを得

 同一人にして数国より指定せらるることを得

 仲裁裁判所裁判官は其の任期を六箇年とす但し再任せらるることを得

 仲裁裁判所裁判官中死亡又は退職する者あるときは其の任命の為に定めたる方法に依り之を補欠す

第二十四条 記名国は其の相互の間に生したる紛議を処理せむか為常設仲裁裁判所に訴へむと欲するときは其の紛議を裁定すへき当該裁判部を組織する仲裁裁判官の選定は仲裁裁判所裁判官総名簿に就て之を為すへし

 仲裁裁判部の構成に関し紛争国相互間に直接の協定なき場合には左記の方法に従ふへきものとす

 双方に於て各二名の仲裁裁判官を選定し右仲裁裁判官は共同して更に一名の上級仲裁裁判官を選定す

 其の投票相半はしたる場合には双方の協議を以て指定したる第三国に上級仲裁裁判官の選定を委託す

 若右指定に関する協議成立せさるときは双方に於て各各異りたる一国を指定し其の指定せられたる両国の協議を以て上級仲裁裁判官を選定す

 右の如く仲裁裁判部の構成を了りたるときは双方より常設仲裁裁判所に訴ふるの決意及仲裁裁判官の氏名を事務局に通知す

 仲裁裁判部は双方の定めたる期日に開廷す

 仲裁裁判所裁判官は外国に在りて其の職務を執行するに方り外交官の特権及免除を亨有す

第二十五条 仲裁裁判部は通常之を海牙に設置す

 仲裁裁判部は不可抗力の場合の外双方の承諾を経るに非されは其の所在地を変更することを得す

第二十六条 海牙万国事務局は其の庁舎及局員を記名国の為特別仲裁裁判所の用に供することを得

 常設仲裁裁判所の管轄は双方に於て其の裁判に訴ふることを協定したるときは規則に定めたる条件に従ひ之を非記名国間又は記名国と非記名国との間に生したる紛議に及ほすことを得

第二十七条 記名国は其の二国又は数国の間に激烈なる紛争の起らむとする場合には常設仲裁裁判所に訴ふるの途あることを紛争国に注意するを以て其の義務なりと認む

故に記名国は紛争国に向て本条約の規定あることを注意し且平和の大切なる利益を保たむか為常設仲裁裁判所に訴ふへきことを勧告するは全く周旋の行為に外ならさるものと看做すへきことを宣言す

第二十八条 少くとも九箇国に於て本条約を批准したる後は成るへく速に常設評議会を海牙に設置し同府に駐劄する記名国の外交代表者及和蘭国外務大臣を以て之を組織し和蘭国外務大臣を推して其の議長とす

 評議会は万国事務局を創設組織するの任務を有し竝之を指揮監督す

 評議会は仲裁裁判所の構成を各国に通知し及其の開庁の設備を為す

 評議会は其の事務章程及其の他必要なる諸規則を定む

 評議会は仲裁裁判所の職務執行に関して生することあるへき行政事務上一切の問題を決定す

 評議会は事務局の役員及雇員の任命停職及罹免に関する全権を有す

 評議会は俸給及手当を定め竝全般の経費を監督す

 評議会は正当に招集せられたる会合に於て五名以上の出席者あるときは有効の評議を為すことを得決議は投票の多数に依る

 評議会は其の制定したる諸規則を速に記名国に通知し且毎年仲裁判所の事業行政事務の執行及経費に関する報告書を記名国に提出す

第二十九条 万国事務局の経費は万国郵便連合事務局の為に定めたる比例に依り記名国に於て之を負担す

    第三節 仲裁裁判手続

第三十条 仲裁裁判の発達を助くるの目的を以て記名国は紛争国か別段の規則を協定せさる場合に於て仲裁裁判手続に適用すへき左の規則を定む

第三十一条 仲裁裁判に依頼する諸国は其の係争事件の趣旨竝仲裁裁判官の権限を明瞭に確定したる特別条約(仲裁契約)に記名す右条約は双方に於て誠実に仲裁宣告に服従するの約束を包含す

第三十二条 仲裁の職務は双方に於て隨意に指定し若は本条約に依りて設置したる常設仲裁裁判所の裁判官中より双方の選定したる一名又は数名の仲裁者に委託することを得

紛争国一 裁裁判所の構成に開し直好 き場合には左記の方法に従ふいものとす双方に於て○一名の仲裁裁判官を選定し右仲裁判判官は共同して更に一名の上級仲裁裁判官を選定す其の投票相半はしたる場合には双方の協議を以て指定したる第三国に上級仲裁裁判官の選定を委託す若右指定に関する協議成立せさるとは其の係争事件の趣旨竝仲裁判官の権限を明瞭に確定したる特別条約(仲裁契約)に記名す右条約は双方に於て誠実に仲裁宣告に服従するの約束を包含す

 紛争国相互間に仲裁裁判所の構成に開し直接の協定なき場合には左記の方法に従ふへきものとす

 双方に於て各二名の仲裁裁判官を選定し右仲裁裁判官は共同して更に一名の上級仲裁裁判官を選定す

 其の投票相半はしたる場合には双方の協議を以て指定したる第三国に上級仲裁裁判官の選定を委託す

 若右指定に関する協議成立せさるときは双方に於て各各異りたる一国を指定し其の指定せられたる両国の協議を以て上級仲裁裁判官を選定す

第三十三条 君主其の他国の元首にして仲裁者に選定せられたるときは仲裁裁判手続は仲裁者自ら之を定む

第三十四条 上級仲裁裁判官は当然裁判長たるへし

 仲裁裁判所に上級仲裁裁判官なきときは裁判所自ら其の裁判長を指定す

第三十五条 仲裁裁判官中死亡し辞職し又は原因の如何に拘はらす故障を生したる者あるときは其の任命の為に定めたる方法に依り之を補欠す

第三十六条 仲裁裁判所の所在地は双方に於て之を指定す其の指定なきときは海牙を以て所在地とす

 前項の所在地は不可抗力の場合の外双方の承諾を経るに非されは仲裁裁判所に於て之を変更することを得す

第三十七条 紛争国は自国と仲裁裁判所との間に在りて媒介者たる任務を帯ふる所の委員又は特別代理人を該裁判所の下に派遣するの権利を有す

 紛争国は尚顧問又は弁護人を任命し仲裁裁判所に於て其の権利及利益を弁護せしむることを得

第三十八条 仲裁裁判所は法廷に於て自ら使用し及其の使用することを許すへき国語を選定す

第三十九条 仲裁裁判手続は大体に於て之を準備書面の提出及口頭弁論の二種とす

 準備書面の提出とは双方の派遣員より印刷し又は筆記したる一切の公文及訴訟上援用する理由を掲けたる一切の書類を仲裁裁判所裁判官及相手方に提出するを謂ふ右書類の提出は本条約第四十九条の規定に基き仲裁裁判所に於て定めたる方式及期限に従ひ之を為すへし

 口頭弁論とは法廷に於ける双方理由の口頭演述を謂ふ

第四十条 紛争国の一方より提出したる書類は総て之を他の一方に通知すへきものとす

第四十一条 口頭弁論は裁判長之を指揮す

 口頭弁論は紛争国の承諾を経て為したる仲裁裁判所の決定に依るの外之を公開せす

 口頭弁論は裁判長の指定する書記の作りたる調書に之を記載し此の調書のみを以て公正なる性質を有するものとす

第四十二条 仲裁裁判所は準備書面の提出終結の後は紛争国の一方より他の一方の承諾を得すして提出する新なる一切の公文又は書類に付論議することを拒絶するの権利を有す

第四十三条 仲裁裁判所は紛争国の派遣員又は顧問か其の注意を求むることあるへき新なる公文又は書類を参酌するの自由を有す

 前項の場合に於て仲裁裁判所は右公文又は書類の提出を要求するの権利を有す但し其の趣を相手方に告知するの義務あるものとす

第四十四条 仲裁裁判所は尚双方の派遣員に一切の公文の提出を要求し且必要なる一切の説明を請求することを得若之を拒みたる場合には其の旨を記録す

第四十五条 双方の派遣員及顧問は其の訴訟を弁護する為に有益なりと認むる一切の理由を口頭にて仲裁裁判所に申立つることを得

第四十六条 双方の派遣員及顧問は抗弁を為し及中間の争を起すの権利を有す此の点に関する仲裁裁判所の決定は確定にして更に之を論議することを許さす

第四十七条 仲裁裁判所裁判官は双方の派遣員及顧問に質問を為し且疑はしき事項に関して其の説明を求むるの権利を有す

 弁論の進行中仲裁裁判所裁判官か為したる質問又は注意は仲裁判所全体若は其の裁判官自己の意見を表彰したるものと看做すことを得す

第四十八条 仲裁裁判所は仲裁契約其の他紛争事件に関して援用せらるへき諸条約を解釈し且国際法の原則を適用して自ら其の権限を定むることを得

第四十九条 仲裁判所は訴訟取扱手続に関する命令を発し各当事者の結論を為すへき方式及期限を定め且証拠扱の為適当なる一切の手続を履行するの権利を有す

第五十条 双方の派遣員及顧問より各各其の訴訟を弁護する一切の説明及証拠を提出し了りたるときは裁判長は弁論の終結を宣告す

第五十一条 仲裁裁判所の評議は秘密会とす

 決議は総て裁判官の多数に依る

 裁判官中表決の数に加はることを拒む者あるときは其の旨を調書に記入すへし

第五十二条 投票の多数に依りて決定したる仲裁宣告には其の理由を付す右宣告は書面に認め各裁判官之に記名す

 裁判官中少数に属したる者は記名の際其の不同意の旨を記入することを得

第五十三条 仲裁宣告は双方の派遣員及顧問在廷し又は之に対し正当の呼出を発したる仲裁裁判所の公開廷に於て之を朗読す

第五十四条 正当に言渡を為し且双方の派遣員に通知したる仲裁宣告は確定にして上告を許さす

第五十五条 紛争国は仲裁契約に於て仲裁宣告の再審を請求するの権利を保留することを得

 前項の場合には再審の請求は反対の約束なき限り最初宣告を為したる仲裁裁判所に之を為すへし右の請求は口頭弁論終結のとき仲裁裁判所も又再審を要求したる一方の紛争国も共に覚知せさりし新事実にして其の性質宣告に断乎たる影響を与へ得へきものを発見したる場合の外之を為すことを得す

 再審の手続は特に新事実の存在することを確認し其の事実は前項に掲けたる性質を有することを識認し且之か為再審の請求の受理すへきものたることを宣言する仲裁裁判所の決定に依るの外之を開始するを得す

 再審の請求を提出すへき期限は仲裁契約に於て之を定む

第五十六条 仲裁宣告は仲裁契約を締結して紛争国に対するの外効力を有することなし

 仲裁契約にして紛争国以外の諸国か加盟せる条約の解釈に関するものなるときは紛争国は其の締結したる仲裁契約を右諸国に通告すへし右諸国は各各訴訟に参加するの権利を有す若其の一国又は数国に於て此の権能を利用したるときは宣告文中に記載したる解釈は其の国に対しても亦均く効力を有するものとす

第五十七条 紛争国は各各自国に係る費用を負担し且仲裁判所費用を等分に負担す

   総則

第五十八条 本条約は成るへく速に批准すへし

 批准書は海牙に保管す

 各批准書に付一通の保管証書を作り其の認証謄本を外交上の手続に依り海牙万国平和会議に賛同したる各国に交付すへし

第五十九条 万国平和会議に賛同したる諸国にして本条約に記名せさるものは他日之に加盟することを得此の場合に於て其の加盟を締盟国に通知するには書面を以て和蘭国政府に通告し同国政府より更に之を爾余の締盟国に通知すへし

第六十条 万国平和会議に賛同せさりし諸国か本条約に加盟し得へき条件は他日締盟国間の協商に依りて之を定む

第六十一条 若締盟国中の一国に於て本条約を廃棄するときは書面を以て其の旨を和蘭国政府に通告したる後一箇年を経過するに非されは廃棄の効力を生することなし右通告は和蘭国政府より直に爾余の締盟国に通知す

 右廃棄の効力は之を通告したる国のみに止るものとす

右証拠として各全権委員は本条約に記名調印するものなり

千八百九十九年七月二十九日海牙に於て本書一通を作り之を和蘭国政府の記録に保管し其の認証謄本を外交上の手続に依り締盟国に交付するものなり

(Source:国立公文書館 御署名原本・明治三十三年・条約十一月二十一日・国際紛争平和的処理条約 A03020484300)

コメント

このブログの人気の投稿

徴兵の詔(徴兵令詔書及ヒ徴兵告諭) 1872年12月28日

徴兵令詔書及び徴兵告諭(口語訳)  今回、全国募兵の件に付き、別紙の詔書の通り徴兵令が仰せ出され、その定めるところの条々、各々天皇の趣意を戴き、下々の者に至るまで遺漏なきように公布しなさい。全体として詳細は陸軍・海軍両省と打ち合わせをしなさい。この趣旨を通達する。  ただし、徴兵令および徴募期限については追って通達するべきものとする。 (別紙) 詔書の写し   私(明治天皇)が考えるに、往昔は郡県の制度により、全国の壮年の男子を募って、軍団を設置し、それによって国家を守ることは、もとより武士・農民の区別がなかった。中世以降、兵は武士に限られるようになり、兵農分離が始まって、ついに封建制度を形成するようになる。明治維新は、実に2千有余年来の一大変革であった。この際にあたり、海軍・陸軍の兵制もまた時節に従って、変更しないわけにはいかない。今日本の往昔の兵制に基づいて、海外各国の兵制を斟酌し、全国から兵を徴集する法律を定め、国家を守る基本を確立しようと思う。おまえたち、多くのあらゆる役人は手厚く、私(明治天皇)の意志を体して、広くこれを全国に説き聞かせなさい。 明治5年(壬申)11月28日  わが国古代の兵制では、国をあげて兵士とならなかったものはいなかった。有事の際は、天皇が元帥となり、青年壮年兵役に耐えられる者を募り、敵を征服すれば兵役を解き、帰郷すれば農工商人となった。もとより後世のように両刀を帯びて武士と称し、傍若無人で働かずに生活をし、甚だしい時には人を殺しても、お上が罪を問わないというようなことはなかった。  そもそも、神武天皇は珍彦を葛城の国造に任命し、以後軍団を設け衛士・防人の制度を始めて、神亀天平の時代に六府二鎮を設けて備えがなったのである。保元の乱・平治の乱以後、朝廷の軍規が緩み、軍事権は武士の手に落ち、国は封建制の時代となって、人は兵農分離とされた。さらに後世になって、朝廷の権威は失墜し、その弊害はあえていうべきものもなく甚だしいものとなった。  ところが、明治維新で諸藩が領土を朝廷に返還し、1871年(明治4)になって以前の郡県制に戻った。世襲で働かずに生活していた武士は、俸禄を減らし、刀剣を腰からはずすことを許し、士農工商の四民にようやく自由の権利を持たせようとしている。これは上下の身分差をなくし、人権を平等にしようとする方法で、とりもな...

日清修好条規 1871年09月13日

内容見直し点:口語訳中途 修好条規(口語訳、前文署名省略) 第一条 この条約締結のあとは、大日本国と大清国は弥和誼を敦うし、天地と共に窮まり無るべし。又両国に属したる邦土も、各礼を以て相待ち、すこしも侵越する事なく永久安全を得せしむべし。 第二条 両国好を通ぜし上は、必ず相関切す。若し他国より不公及び軽藐する事有る時、其知らせを為さば、何れも互に相助け、或は中に入り、程克く取扱い、友誼を敦くすべし。 第三条 両国の政事禁令各異なれば、其政事は己国自主の権に任すべし。彼此に於て何れも代謀干預して禁じたる事を、取り行わんと請い願う事を得ず。其禁令は互に相助け、各其商民に諭し、土人を誘惑し、聊違犯あるを許さず。 第四条 両国秉権大臣を差出し、其眷属随員を召具して京師に在留し、或は長く居留し、或は時々往来し、内地各処を通行する事を得べし。其入費は何れも自分より払うべし。其地面家宅を賃借して大臣等の公館と為し、並びに行李の往来及び飛脚を仕立書状を送る等の事は、何れも不都合がないように世話しなければならない。 第五条 両国の官位何れも定品有りといえども、職を授る事各同じからず。因彼此の職掌相当する者は、応接及び交通とも均く対待の礼を用ゆ。職卑き者と上官と相見るには客礼を行い、公務を辨ずるに付ては、職掌相当の官へ照会す。其上官へ転申し直達する事を得ず。又双方礼式の出会には、各官位の名帖を用う。凡両国より差出したる官員初て任所に到着せば、印証ある書付を出し見せ、仮冒なき様の防ぎをなすべし。 第六条 今後両国を往復する公文について、清国は漢文を用い、日本国は日本文を用いて漢訳文を副えることとする。あるいはただ漢文のみを用い、その記載に従うものとする。 (これ以下まだ) 第七条 両国好みを通ぜし上は、海岸の各港に於て彼此し共に場所を指定め、商民の往来貿易を許すべし。猶別に通商章程を立て、両国の商民に永遠遵守せしむべし。 第八条 両国の開港場には、彼此何れも理事官を差置き、自国商民の取締をなすべし。凡家財、産業、公事、訴訟に干係せし事件は、都て其裁判に帰し、何れも自国の律例を按して糾辨すべし。両国商民相互の訴訟には、何れも願書体を用う。理事官は先ず理解を加え、成丈け訴訟に及ばざる様にすべし。其儀能わざる時は、地方官に掛合い双方出会し公平に裁断すべし。尤盗賊欠落等の事件は、両国の地方官より...

下関条約 1895年04月17日

下関条約(口語訳、前文署名省略)  第一条 清国は朝鮮国の完全無欠なる独立自主の国であることを確認する。よって右独立自主を損害すべき朝鮮国より清国に対する貢献典礼等は将来全くこれを廃止する。  第二条 清国は左記の土地の主権並びに当該地方にある城塞、兵器製造所及び官有物を永遠に日本国に割譲する。  一 左の境界内にある奉天省南部の地    鴨緑江口より該江を遡り、安平河口に至り該河口より鳳凰城海城営口にわたり遼河口に至る折線以南の地、併せて前記の各城市を包含する。そして遼河を以って界とするところは該河の中央を以って境界とすることとする。    遼東湾東岸及び黄海北岸にあって奉天省に属する諸島嶼  二 台湾全島及びその付属諸島嶼  三 澎湖列島、即ち英国「グリニッジ」東経百十九度から百二十度まで及び北緯二十三度から二十四度までの間にある諸島嶼  第三条 前条に掲載し付属地図に示すところの境界線は、本条約批准交換後直ちに日清両国より各二名以上の境界画定委員を任命し、実地について確定するところあるべきものとする。そしてもし本条約に掲記するところの境界にして地形上又は施政上の点につき完全にならない場合には、当該境界画定委員はこれを更正することに任ずる。  第四条 清国は軍費賠償金として、庫平銀2憶両を日本国に支払うべきことを約する。右金額は都合8回に分け、初回及び2回には毎回5千万両を支払う。そして初回の払込は本条約批准交換後6か月以内に、次回の払込は本条約批准交換後12か月以内において行う。残りの金額は6箇年賦に分け、その1次は本条約批准交換後2年以内に、2次は本条約批准交換後3年以内に、3次は本条約批准交換後4年以内に、4次は本条約批准交換後5年以内に、5次は本条約批准交換後6年以内に、6次は本条約批准交換後7年以内に支払う。また、初回払込期日より以後未だ払込を終了しない額に対しては、毎年5%の利子を支払うべきものとする。 但し、清国は何時でも当該賠償金の全額あるいはその一部を前もって一時に支払うことができる。本条約批准交換後3年以内に当該賠償金の総額を完済するときは、すべての利子を免除する。もし2年半若しくは更に短期の利子を払い込んだときは、これを元金に編入する。  第五条 日本国へ割譲された地方の住民にして、割譲された地方の外に住居したいと希望する者には自由にその所...