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労働組合法 1945年12月22日

 労働組合法(ひらがな化、一部新字体化)


法律第五十一号

 労働組合法

   第一章 総則

第一条 本法は団結権の保障及団体交涉権の保護助成に依り労働者の地位の向上を図り経済の興隆に寄与することを以て目的とす

 刑法第三十五条の規定は労働組合の団体交渉其の他の行為にして前項に掲ぐる目的を達成する為為したる正当なるものに付適用あるものとす

第二条 本法に於て労働組合とは労働者が主体と為りて自主的に労働条件の維持改善其の他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又は其の連合団体を謂ふ但し左の各号の一に該当するものは此の限に在らず

一 使用者又は其の利益を代表すと認むべき者の参加を許すもの

二 主たる経費を使用者の補助に仰ぐもの

三 共済事業其の他福利事業のみを目的とするもの

四 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの

第三条 本法に於て労働者とは職業の種類を問はず賃金、給料其の他之に準ずる収入に依り生活する者を謂ふ

第四条 警察官吏、消防職員及監獄に於て勤務する者は労働組合を結成し又は労働組合に加入することを得ず

 前項に規定するものの外官吏、 待遇官吏及公吏其の他国又は公共団体に使用せらるる者に関しては本法の適用に付命令を以て別段の定を為すことを得但し労働組合の結成及之に加入することの禁止又は制限に付ては此の限に在らず

   第二章 労働組合

第五条 労働組合の代表者は組合設立の日より一週間以内に規約竝に役員の氏名及住所を行政官庁に届出づべし

 前項の規定に依り届出でたる事項に変更を生じたるときは一週間以内に之を行政官庁に届出づべし

第六条 前条第一項の届出ありたる場合に於て当該組合第二条に該当せざるときは命令の定むる所に依り労働委員会の決議に依り行政官庁之を決定す

 前項の規定は労働組合として設立したるもの第二条に該当せざるに至りたる場合に之を準用す

第七条 規約には少くとも左の事項を記載すべし

一 名称

二 主たる事務所の所在地

三 法人たる組合に在りては法人たること

四、目的及事業

五 組合員又は構成団体に関する規定

六 会議に関する規定

七 代表者其の他役員に関する規定

八 組合費其の他会計に関する規定

九 規約の変更に関する規定

第八条 規約法令に違反するときは命令の定むる所に依り労働委員会の決議に依り行政官庁は其の変更を命ずることを得

第九条 労働組合は事務所に組合員又は構成団体の名簿を備付くべし

第十条 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けたる者は組合又は組合員の為使用者又は其の団体と労働協約の締結其の他の事項に関し交涉する権限を有す

第十一条 使用者は労働者が労働組合の組合員たるの故を以て之を解雇し其の他之に対し不利益なる取扱を為すことを得ず

 使用者は労働者が組合に加入せざること又は組合より脱退することを雇傭条件と為すことを得ず

第十二条 使用者は同盟罷業其の他の争議行為にして正当なるものに因り損害を受けたるの故を以て労働組合又は其の組合員に対し賠償を請求することを得ず

第十三条 労働組合は共済事業其の他福利事業の為特設したる基金を他の目的の為に流用せんとするときは総会の決議を経べし

第十四条 労働組合は左の事由に因りて解散す

一 規約を以て定めたる解散事由の發生

二 破産

三 組合員又は構成団体の四分の三以上の多数に依る総会の決議

四 第六条の規定に依る決定

五 第十五条の規定に依る解散の処分

第十五条 労働組合屡法令に違反し安寧秩序を紊りたるときは労働委員会の申立に依り裁判所は労働組合の解散を為すことを得

 前項の場合に於ける手続に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

第十六条 労働組合は其の主たる事務所の所在地に於て登記を為すに因りて法人たるものとす

 本法に規定するものの外労働組合の登記に関し必要なる事項は命令を以て之を定む

 労働組合に関し登記すべき事項は登記の後に非ざれば之を以て第三者に対抗することを得ず

第十七条 民法第四十三条、第四十四条、第五十条、第五十二条乃至第五十九条及第七十二条乃至第八十三条竝に非訟事件手続法第三十五条、第三十六条、第三十七条の二、第百三十六条第一項、第百三十七条及第百三十八条の規定は法人たる労働組合に之を準用す

第十八条 法人たる労働組合には命令の定むる所に依り所得税及法人税を課せず

   第三章 労働協約

第十九条 労働組合と使用者又は其の団体との間の労働条件其の他に関する労働協約は書面に依り之を為すに因りて其の効力を生ず

 労働協約の当事者は労働協約を其の締結の日より一週間以内に行政官庁に届出づべし

第二十条 労働協約には三年を超ゆる有効期間を定むることを得ず

第二十一条 労働協約締結せられたるときは当事者互に誠意を以て之を遵守し労働能率の増進と産業平和の維持とに協力すべきものとす

第二十二条 労働協約に定むる労働条件其の他の労働者の待遇に関する規準(当該労働協約に依り規準決定の為設置せられたる機関の存するときは其の定めたる規準を含む以下同じ)に違反する労働契約の部分は之を無効とす此の場合に於て無効と為りたる部分は規準の定むる所に依る労働契約に定なき部分に付亦同じ

第二十三条 一の工場事業場に常時使用せらるる同種の労働者の数の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受くるに至りたるときは当該工場事業場に使用せらるる他の同種の労働者に関しても当該労働協約の適用あるものとす

第二十四条 一の地域に於て従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受くるに至りたるときは協約当事者の双方又は一方の申立に基き労働委員会の決議に依り行政官庁は当該地域に於て従業する他の同種の労働者及其の使用者も当該労働協約(第二項の規定に依り修正ありたるものを含む)の適用を受くべきことの決定を為すことを得協約当事者の申立なき場合と雖も行政官庁必要ありと認むるとき亦同じ

 労働委員会前項の決議を為すに付当該労働協約に不適当なる定ありと認むるときは之を修正ずることを得

 第一項の決定は公告に依りて之を為す

第二十五条 労働協約に当該労働協約に関し紛争ある場合調停又は仲裁に付することの定あるときは調停又は仲裁成らざる場合の外同盟罷業、作業所閉鎖其の他の争議行為を為すことを得ず

   第四章 労働委員会

第二十六条 使用者を代表する者、労働者を代表する者及第三者各同数より成る労働委員会を設く

 使用者を代表する者は使用者団体の推薦に基き、労働者を代表する者は労働組合の推薦に基き、第三者は使用者を代表する者及労働者を代表する者の同意を得て行政官庁之を委囑すべきものとす

 労働委員会は中央労働委員会及地方労働委員会とす特別の必要あるときは一定の地区又は事項に付特別労働委員会を設くることを得

 労働委員会の委員及命令を以て定むる職員は之を法令に依り公務に従事する職員と看做す

 労働委員会に関する事項は本法に定むるものの外勅令を以て之を定む

第二十七条 労働委員会は第六条、第八条、第十五条、第二十四条及第三十三条に規定するものの外左の事務を掌る

一 労働争議に関する統計の作成其の他労働事情の調査

二 団体交渉の斡旋其の他労働争議の予防

三 労働争議の調停及仲裁

労働委員会は労働条件の改善に関し関係行政庁に建議することを得

第二十八条 労働委員会は公益上必要ありと認むるとき又は関係者の請求あるときは其の会議を公開することを得

第二十九条 労働委員会其の事務を行ふ為必要あるときは使用者又は其の団体、労働組合其の他の関係者に対し出頭を求め、報告を徴し若は必要なる帳簿書類の提出を求め又は委員若は第二十六条第四項の命令を以て定むる職員(以下職員と称す)をして関係工場事業場に臨検し業務の状況若は帳簿書類其の他の物件を検査せしむることを得

第三十条 労働委員会の委員若は委員たりし者又は職員若は職員たりし者は其の職務に関し知得したる秘密を漏泄することを得ず

第三十一条 第三章の規定は労働委員会の関与したる労働条件其の他の労働者の待遇に関する規準に関する協定にして労働組合其の当事者たらざるものに付之を準用す

第三十二条 一定の労働者の労働条件其の他の待遇特に適切ならざるときは労働委員会は其の実情を調査し改善の具体案を作成して行政官庁に建議することを得

 前項の建議ありたる場合に於て行政官庁必要ありと認むるときは関係使用者に対し労働条件其の他の待遇に関する規準を指示することを得

 使用者前項の指示を受けたるときは遅滞なく之を労働者に周知せしむることを要す

 第二項の規定に依り指示ありたる規準は関係使用者及関係労働者に付労働協約と同一の効力を有す

   第五章 罰則

第三十三条 第十一条の規定の違反ありたる場合に於ては其の行為を為したる者は六月以下の禁錮又は五百円以下の罰金に処す

 前項の罪は労働委員会の請求を待て之を論ず

第三十四条 第三十条の規定に違反したる者は千円以下の罰金に処す

第三十五条 第二十九条の規定に違反し報告を為さず若は虚偽の報告を為し若は帳簿書類の提出を為さず又は同条の規定に違反し出頭を為さず若は同条の規定に依る検査を拒み妨げ若は忌避したる者は五百円以下の罰金に処す

第三十六条 法人又は人の代理人、戸主、家族、同居者、雇人其の他の従業者が其の法人又は人の業務に関し前条前段の違反行為を為したるときは其の法人又は人は自己の指揮に出でざるの故を以て其の処罰を免るることを得ず

 前条前段の規定は其の者が法人なるときは理事、取締役其の他の法人の業務を執行する役員に、未成年者又は禁治産者なるときは其の法定代理人に之を適用す但し営業に関し成年者と同一の能力を有する未成年者に付ては此の限に在らず

第三十七条 左の場合に於ては労働組合の代表者又は清算人を五十円以下の過料に処す

一 第五条又は第十九条第二項(第三十一条に於て準用する場合を含む)の規定に違反し届出を為さず又は虚偽の届出を為したるとき

二 第九条の規定に違反し名簿の備付を為さざるとき

三 本法又は本法に基きて発する命令に依る登記を為すことを怠りたるとき

四 第十七条に於て準用する民法第七十九条又は第八十一条の規定に違反し公告を為さず又は不正の公告を為したるとき

五 第十七条に於て準用する民法第八十一条の規定に違反し破産宣告の請求を為さざるとき

六 第十七条に於て準用する民法第八十二条又は非訟事件手続法第三十六条の規定に依る裁判所の検査を妨げたるとき

第十九条第二項(第三十一条に於て準用する場合を含む)の規定に違反し届出を為さず又は虚偽の届出を為したるときは労働組合以外の労働協約の当事者(当事者団体なるときは其の代表者とす)を五十円以下の過料に処す

使用者第三十二条第三項の規定に違反したるときは五十円以下の過料に処す

   附則

本法施行の期日は勅令を以て之を定む

本法施行の際現に存する労働組合は本法施行の日より一週間以内に第五条第一項の規定に準じ届出を為すべし

登録税法中左の通改正す

第十九条第七号中「産業組合連合会」を「産業組合連合会、労働組合」に、「産業組合法」を「産業組合法、労働組合法」に改む

(Source:国立公文書館 労働組合法・御署名原本・昭和二十年・法律第五一号 御28679100)

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