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日本銀行条例 1882年06月27日

 日本銀行条例(ひらがな化、一部新字体化)


日本銀行條例

  第一条

日本銀行は有限貴任とし本行の負債弁償の為め株主の負担すへき義務は株金に止まるものとす

  第二条

日本銀行は本店を東京に置くへし各府県の首邑其他要用なる地方に支店出張所を設置し又は他の銀行と「コルレスポンデンス」を締約することを得但支店出張所を設置し又は他の銀行と「コルレスポンデンス」を締約するときは其事由を大蔵卿に具状して其許可を受くへし又大蔵卿に於て支店出張所を要用なりとする時は銀行に命して之を設置せしむることあるへし

  第三条

日本銀行の営業年限は開業の日より満三十年とす但株主総会の決議に依り営業の延期を請願することを得

  第四条

日本銀行の資本金は一千万円と定め之を五万株に分ち一株二百円とす但株主総会の決議に依り資本金の増加を請願することを得

  第五条

日本銀行の株券は総て記名券となし日本人の外売買譲与するを許さす

  第六条

日本銀行の株主とならんとするものは大蔵卿の許可を受くへし

  第七条

資本金総額五分の一即ち二百万円の入金ある時は営業を開始するを得へし但資本金募集の手続は定款を以て定むる者とす

  第八条

営業上に於て損失を生し資本現入金額の内幾分を減少したる時は其事由の審明し資本入金残額より其欠額に充る迄の金額を追募すへし

  第九条

事業の伸張に由り資本入金の増加を要する時は之を資本入金残額より追募すへし

  第十条

純益金総額より株主割賦金を引去り其残額より少くとも十分の一を左の目的を以て積立金と為す可し

第一 資本金の損失を補ふ

第二 割賦金の不足を補ふ

  第十一条

日本銀行の営業は左の如し

第一 政府発行の手形為換手形其他商業手形等の割引を為し又は買入を為す事

第二 地金銀の売買を為す事

第三 金銀貨或は地金銀を抵当として貸金を為す事

第四 予て取引約定ある諸会社銀行又は商人の為めに手形金の取立を為す事

第五 諸預り勘定を為し又は金銀貨貴金属并諸証券類の保護預りを為す事

第六 公債証書政府発行の手形其他政府の保証に係る各種の証券を抵当として当座勘定貸又は定期貸を為す事但其金額及利子の割合は総裁副総裁理事監事に於て時々決議し大蔵卿の許可を受くへし

  第十二条

日本銀行は第十一条に記載する事業の外左に掲くる件々は勿論其他諸般の営業に関渉することを得す

第一 不動産及ひ銀行又は諸会社の株券を抵当として貸金を為す事

第二 本銀行の株券に対して貸金を為し又は此株券の買戻を為す事

第三 諸工業会社の株主たるは勿論直接間接を問はす工業に関係する事

第四 本支店出張所を開設する為め必要なる者の外一切他の不動産の所有主たる事

  第十三条

政府の都合に由り日本銀行をして国庫金の取扱ひに従事せんむへし

  第十四条

日本銀行は兌換銀行券を発行するの権を有す但此銀行券を発行せしむる時は別段の規則を制定し更に頒布する者とす

  第十五条

日本銀行は諸手形及切手を発行するを得へし

  第十六条

日本銀行は公債証書を買入又は之を売払ふことを得へし但此場合に於ては大蔵卿の許可を受くへきものとす

  第十七条

日本銀行は総裁一人副総裁一人理事四人を以て綜理する者とす此外に監事三人乃至五人を置くへし

  第十八条

総裁副総裁は任期五ヶ年として総裁は勅任副総裁は奏任とす但任期中は他の官職を兼任するを得す

  第十九条

理事は株主総会に於て選挙し大蔵卿の命する者とす但創立第一回は五ヶ年の任期を以て大蔵卿之を特命すへし監事は株主に於て之を選挙し理事監事の任期は定款を以て定むへし

  第二十条

理亊監事は任期中他の銀行又は会社等の役員たるを許さす

  第二十一条

大蔵卿は特に監理官を日本銀行に派出して諸般の事務を監視せしむへし

  第二十二条

日本銀行は本支店出張所及約定店等の営業上百般の景况を調査し少くも毎月一回之を大蔵卿へ報告すへし

  第二十三条

日本銀行は本条例の旨趣に基き銀行定款を作り政府の許可を受くへし但定款を改正し又は定款外の事件を処する時は株主総会に於て決議し政府の許可を受く可し

  第二十四条

政府は日本銀行諸般の業務を監督し其営業上条例定款に背戻する事は勿論政府に於て不利と認る事件は之を制止すへし

  第二十五条

此条例を改正増削する時は其施行の日より三ヶ月以前に之を布告す

右奉勅旨布告候事

(Source:国立公文書館 日本銀行条例ヲ製定ス A15110298400)

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