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国防保安法 1941年03月06日

国防保安法(原文:ひらがな、一部新字体化) 法律第四十九號 國防保安法    第一章 罪 第一条 本法に於て国家機密とは国防上外国に對し秘匿することを要する外交、財政、經濟其の他に關する重要なる国務に係る事項にして左の各號の一に該當するもの及之を表示する図書物件を謂ふ  一 御前會議、樞密院會議、閣議又は之に準ずベき會議に付せられたる事項及其の會議の議事  二 帝国議會の秘密會議に付せられたる事項及其の會議の議事  三 前二號の會議に付する為準備したる事項其の他行政各部の重要なる機密事項 第二条 本章の罰則は何人を問はず本法施行地外に於て罪を犯したる者に付亦之を適用す 第三条 業務に因り国家機密を知得し又は領有したる者之を外国(外国の為に行動する者及外国人を含む以下同じ)に漏泄し又は公にしたるときは死刑又は無期若は三年以上の懲役に処す 第四条 外国に漏泄し又は公にする目的を以て国家機密を探知し又は収集したる者は一年以上の有期懲役に処す  前項の目的を以て国家機密を探知し又は収集したる者之を外国に漏泄し又は公にしたるときは死刑又は無期若は三年以上の懲役に処す 第五条 前二条に規定する原由以外の原由に因り国家機密を知得し又は領有したる者之を外国に漏泄し又は公にしたるときは無期又は一年以上の懲役に処す 第六条 業務に因り国家機密を知得し又は領有したる者之を他人に漏泄したるときは五年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処す 第七条 業務に因り国家機密を知得し又は領有したる者過失に因り之を外国に漏泄し又は公にしたるときは三年以下の禁錮又は三千円以下の罰金に処す 第八条 国防上の利益を害すベき用途に供する目的を以て又は其の用途に供せらるる虞あることを知りて外国に通報する目的を以て外交、財政、經濟其の他に關する情報を探知し又は収集したる者は十年以下の懲役に処す 第九条 外国と通謀し又は外国に利益を与ふる目的を以て治安を害すベき事項を流布したる者は無期又は一年以上の懲役に処す 第十条 外国と通謀し又は外国に利益を与ふる目的を以て金融界の撹乱、重要物資の生産又は配給の阻害其の他の方法に依り国民經濟の運行を著しく阻害する虞ある行為を為したる者は無期又は一年以上の懲役に処す  前項の罪を犯したる者には情状に因り十万円以下の罰金を併科することを得 第十一条 第三条乃至第五条、第八条、第九条及前

軍需工業動員法の適用に関する法律 1937年09月09日

軍需工業動員法の適用に関する法律(原文:ひらがな、一部新字体化) 朕帝国議会の協賛を経たる軍需工業動員法の適用に関する法律を裁可し茲に之を公布せしむ 御名御璽 (署名略) 法律第八十八号 軍需工業動員法中戦時に関する規定は支那事変に亦之を適用す    附 則 本法は公布の日より之を施行す (国立公文書館:軍需工業動員法ノ適用ニ関スル件・御署名原本・昭和十二年・法...) 

大東亜省官制 1942年11月01日

大東亜省官制(ひらがな、一部新字体化) 勅令第七百七号    大東亞省官制 第一条 大東亜省は大東亜地域(内地、朝鮮、台湾及樺太を除く以下同じ)に関する諸般の政務の施行(純外交を除く)、同地域内諸外国に於ける帝国商事の保護及同地域内諸外国在留帝国臣民に関する事務並に同地域に係る移植民、海外拓殖事業及対外文化事業に関する事務を管理す  大東亜大臣は関東局及南洋庁に関する事務を統理す  大東亜大臣は第一項に規定する事務に付大東亜地域に駐在する外交官及領事官を指揮監督す 第二条 大東亜省に左の四局を置く   総務局   満洲事務局   支那事務局   南方事務局 第三条 総務局に於ては左の事務を掌る  一 大東亜地域に関する重要政策の企画及省務の総合調整に関する事項  二 大東亜地域に関する調査及資料整備並に情報に関する事項  三 大東亜地域に於ける邦人要員の錬成に関する事項  四 所管行政の考査一般に関する事項  五 他局の所管に属せさる事項 第四条 満洲事務局に於ては左の事務を掌る  一 関東局に関する事項  二 満洲国に関する外政事項  三 満洲国に於て事業を為すを目的として特別の法令に依り設立せられたる法人の業務の監督に関する事項  四 満洲移植民及満洲拓殖事業に関する事項  五 対満文化事業に関する事項  六 其の他関東州及満洲国に関する事項 第五条 支那事務局に於ては左の事務を掌る  一 支那に関する外政事項  二 支那に於て事業を為すを目的として特別の法令に依り設立せられたる法人の業務 の監督に関する事項  三 対支文化事業に関する事項  四 其の他支那に関する事項 第六条 南方事務局に於ては左の事務を掌る  一 南洋庁に関する外政事項  二 たい国及印度支那に関する外政事項  三 南方諸地域に於て事業を為すを目的として特別の法令に依り設立せられたる法人の業務 の監督に関する事項  四 南方諸地域に係る文化事業に関する事項  五 其の他南方諸地域に関する事項 第七条 大東亜省に参事官専任六人を置く勅任とす大東亜大臣の命を承け調査及審議立案を掌る 第八条 大東亜書記官は専任二十六人を以て定員とす 第九条 大東亜省に調査官専任十四人を置く奏任とす上官の命を承け調査を掌る 第十条 大東亜省に大東亜事務官専任三十人及大東亜理事官専任十一人を置く奏任とす上官の命を承け

大学七博士の意見書 1903年06月10日

内容見直し点:原資料と照合まだ 大学七博士の意見書(原文:ひらがな化、一部新字体化) およそ天下のこと、一成一敗間髪を入れずよく機に乗ずれば、禍【わざわい】を転じて福となし、機を逸すれば幸い転じて禍となす。 外交のこととくに然りとなす。しかるに顧みて七八年来、極東における事実を察すれば往々にしてこの機を逸せるものあり。 遼東還付のさい、その不割譲の条件を留保せざりしは、これ実に最必要の機を逸せるものにして、今日の満州問題を惹起する原因といわざるべからず。 のちドイツが膠州湾を租借するや、薄弱なる海軍力をもって長日月を費やし、もって我が極東に臨む彼の艦隊や顧みて後継の軍力ありしにあらず。進んで依拠すべき地盤ありしにあらず。 渺々として万里に懸軍するの有様なりしをもってこの機に乗じ、掲ぐるに正義をもってし、臨むに実力をもってせば、たとえ彼裕大な欲望を有するも、何をもってかこの正義とこの強力に抵抗することを得んや。 当時もしドイツをして膠州湾に手を下すあたわずんば、露国もまた容易に旅順大連の租借を要求することあたわざりしや明らかなり。 然るに我邦逡巡なす所なく、遂に彼らをしてその欲望を逞しうするを得せしめたるは、実に浩嘆の至りにたえず。 機を逸するの結果また大ならずや。 北清事件のあと諸国の兵を撤せんとするにさいし、詳細に満州の撤兵に関する規定を立てなば、もって今日露国をして撤兵に躊躇するの余地を存せしめざるべからざるや。 これまた外交の機を逸したるものといわざるべからず。 今や第2回撤兵の期既に過ぎ而して露国はなおその実をあげず。 このときに当り空しく歳月を経過して、条約の不履行を不問にふし、若しくは姑息の政策により一時を彌縫せんとするがごとき終わらば、実に千載の機会を逸し、国家の生存を危うくするものとなすべからず。 噫、我邦既に一度遼東の還付に好機を逸し、再びこれを北清事件に逸す。 豈にさらにこの覆轍を踏んで失策を重ぬべけんや。既往は追うべからず。ただこれを東隅に失うも、これを桑楡に収むるの策を講ぜざるべからず。 特に注意を要すべきは、極東の形勢漸く危急迫り、既往の如く幾回も機会を逸するの余裕を存せず。 今日の機会を失えば、遂に日清韓をして再び頭を上ぐるの機なからしむるに至るべきこと是なり。 今日は実に是千載一遇の好機にして、しかも最後の好機たるを自覚せざるべからず。

戦陣訓 1941年01月08日

内容見直し点:別サイトから入手のため、原資料と未照合 戦陣訓(原文、ひらがな化) 序  夫れ戦陣は、大命に基き、皇軍の神髄を発揮し、攻むれば必ず取り、戦へば必ず勝ち、遍く皇道を宣布し、敵をして仰いで御稜威の尊厳を感銘せしむる処なり。されば戦陣に臨む者は、深く皇国の使命を体し、堅く皇軍の道義を持し、皇国の威徳を四海に宣揚せんことを期せざるべからず。  惟ふに軍人精神の根本義は、畏くも軍人に賜はりたる勅諭に炳乎として明かなり。而して戦闘並に訓練等に関し準拠すべき要綱は、又典令の綱領に教示せられたり。然るに戦陣の環境たる、兎もすれば眼前の事象に捉はれて大本を逸し、時に其の行動軍人の本分に戻るが如きことなしとせず。深く慎まざるべけんや。乃ち既往の経験に鑑み、常に戦陣に於て勅諭を仰ぎて之が服行の完璧を期せむが為、具体的行動の憑拠を示し、以て皇軍道義の昂掲を図らんとす。 是戦陣訓の本旨とする所なり。 本訓其の一 第一 皇国  大日本は皇国なり。万世一系の天皇上に在しまし、肇国の皇謨を紹継して無窮に君臨し給ふ。皇恩万民に遍く、聖徳八紘に光被す。臣民亦忠孝勇武祖孫相承け、皇国の道義を宣揚して天業を翼賛し奉り、君民一体以て克く国運の隆昌を致せり。  戦陣の将兵、宜しく我が国体の本義を体得し、牢固不抜の信念を堅持し、誓って皇国守護の大任を完遂せんことを期すべし。 第二 皇軍  軍は天皇統帥の下、神武の精神を体現し、以て皇国の威徳を顕揚し皇運の扶翼に任ず。  常に大御心を奉じ、正にして武、武にして仁、克く世界の大和を現ずるもの是神武の精神なり。武は厳なるべし仁は遍きを要す。苟も皇軍に抗する敵あらば、烈々たる武威を振ひ断乎之を撃砕すべし。仮令峻厳の威克く敵を屈服せしむとも、服するは撃たず従ふは慈しむの徳に欠くるあらば、未だ以て全しとは言ひ難し。武は驕らず仁は飾らず、自ら溢るるを以て尊しとなす。皇軍の本領は恩威並び行はれ、遍く御稜威を仰がしむるに在り。 第三 軍紀  皇軍軍紀の神髄は、畏くも大元師陛下に対し奉る絶対髄順の崇高なる精神に存す。  上下斉しく統帥の尊厳なる所以を感銘し、上は大権の承行を謹厳にし、下は謹んで服従の至誠を致すべし。尽忠の赤誠相結び、脈絡一貫、全軍一令の下に寸毫乱るるなきは、是戦勝必須の要件にして、又実に治安確保の要道たり。特に戦陣は、服従の精神実践の極致を発揮すべき処

小作料統制令 1939年12月05日

小作料統制令(原文:一部ひらがな、一部新字体化) 勅令第八百二十三号    小作料統制令 第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号に於テ南洋群島に於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十九条ノ規定に基キ小作料に関シ必要ナル命令ヲ為スハ本令ノ定ムル所に依ル 第二条 本令に於テ小作料トハ耕作ノ目的ヲ以テ農地(農地以外ノ土地ガ農地に附随シテ賃借セラルル場合又ハ建物其ノ他ノ工作物ガ農地に附随シテ賃借セラレ其ノ借賃ガ農地ノ借賃ト分別シ得ザル場合に於テハ其ノ土地又ハ建物其ノ他ノ工作物ヲ含ム以下同ジ)ガ賃借セラルル場合に於ケル借賃又ハ耕作ノ目的ヲ以テ永小作権若ハ賭地権ガ設定セラルル場合に於ケル小作料ヲ謂フ 第三条 農地ノ賃貸人又ハ永小作権若ハ賭地権ノ目的タル農地ノ所有者(以下貸主ト称ス)ハ左ノ各号ノ小作料ノ額若ハ率ヲ超エテ小作料ノ額若ハ率ヲ定メ又ハ左ノ各号ノ小作料ノ種別若ハ減免条件に付農地ノ賃借人又ハ永小作権者若ハ賭地権者(以下借主ト称ス)ノ負担ノ増加ト為ルベキ変更ヲ為スコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル場合に於テ地方長官ノ許可アリタルトキハ此ノ限に在ラズ  一 昭和十四年九月十八日に於テ小作料ノ定アリタル農地に付テハ同日に於ケル小作料ノ種別、額又ハ率及減免条件(其ノ不明ナルトキハ同日以後ノ判明セル最初ノ小作料ノ種別、額又ハ率及減免条件)  二 前号に該当セザル農地にシテ昭和十四年九月十九日以後本令施行前に小作料ノ定アルに至リタルモノに付テハ同日以後に於ケル最初ノ小作料ノ種別、額又ハ率及減免条件(其ノ不明ナルトキハ判明セル最初ノ小作料ノ種別、額又ハ率及減免条件)  三 前二号に該当セザル農地にシテ本令施行後に小作料ノ定アルに至リタルモノに付テハ本令施行後に於ケル最初ノ小作料ノ種別、額又ハ率及減免条件 第四条 市町村農地委員会必要アリト認ムルトキハ当該市町村に在ル農地に付小作料ノ種別、額若ハ率又ハ減免条件ヲ定ムルコトヲ得  市町村農地委員会ハ前項ノ規定に依リ定ムル小作料ノ種別、額若ハ率又ハ減免条件に付地方長官ノ認可ヲ受クベシ  地方長官前項ノ規定に依リ認可ヲ為シタルトキハ農林大臣ノ定ムル所に依リ其ノ旨公示スベシ  前三項ノ規定ハ公示シタル小作料ノ種別、額若ハ率又ハ減免条件ヲ変更スル場合に之ヲ準用ス 第五条 地方長官ガ前条第三項又ハ第四項ノ規定に依リ公示シタル小作料ノ種別、額若ハ率又ハ減免

朝鮮人の氏名に関する件 1939年12月26日

朝鮮人の氏名に関する件(原文:ひらがな、一部新字体化) 朝鮮人の氏名に関する件明治四十四年法律第三十号第一条及第二条に依り勅裁を得て茲に之を公布す  昭和十四年十一月十日  朝鮮総督 南 次郎 制令第二十号 第一条 御歴代御諱又は御名は之を氏又は名に用ふることを得ず 2 自己の姓以外の姓は氏として之を用ふることを得ず但し一家創立の場合に於ては此の限に在らず 第二条 氏名は之を変更することを得ず但し正当の事由ある場合に於て朝鮮総督の定むる所に依り許可を受けたるときは此の限に在らず  附則 本令施行の期日は朝鮮総督之を定む (朝鮮総督府官報:昭和十四年十一月十日)

兵役法 1927年03月31日

兵役法(原文:ひらがな、一部新字体化) 兵役法    第一章 総則 第一条 帝国臣民たる男子は本法の定むる所に依り兵役に服す 第二条 兵役は之を常備兵役、後備兵役、補充兵役及国民兵役に分つ  常備兵役は之を現役及予備役に、補充兵役は之を第一補充兵役及第二補充兵役に、国民兵役は之を第一国民兵役及第二国民兵役に分つ 第三条 志願に依り兵籍に編入せらるる者の兵役に関しては勅令の定むる所に依る 第四条 六年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられたる者は兵役に服することを得ず    第二章 服役 第五条 現役は陸軍に在りては二年、海軍に在りては三年とし現役兵として徴集せられたる者之に服す  現役兵は現役中之を在営せしむ 第六条 予備役は陸軍に在りては五年四月、海軍に在りては四年とし現役を終りたる者之に服す 第七条 後備兵役は陸軍に在りては十年、海軍に在りては五年とし常備兵役を終りたる者之に服す 第八条 第一補充兵役は陸軍に在りては十二年四月、海軍に在りては一年とし現役に適する者にして其の年所要の現役兵員に超過する者の中所要の人員之に服す  第二補充兵役は十二年四月とし現役に適する者の中現役兵又は第一補充兵役に徴集せられざる者及海軍の第一補充兵役を終りたる者之に服す但し海軍の第一補充兵役を終りたる者に在りては十一年四月とす 第九条 第一国民兵役は後備兵役を終りたる者及軍隊に於て教育を受けたる補充兵にして補充兵役を終りたる者之に服す  第二国民兵役は戸籍法の適用を受くる者にして常備兵役、後備兵役、補充兵役及第一国民兵役に在らざる年齢十七年より四十年迄の者之に服す 第十条 年齢二十五年迄に師範学校を卒業したる者(小学校の教職に就くの資格を失ひたる者を除く)の現役は第五条の規定に拘らず五月とす但し師範学校の教練を修了せざる者に在りては七月とす  前項の規定に依り現役に服する者は現役中之を短期現役兵と称す  短期現役兵其の現役を終りたるときは直に第一国民兵役に服す 第十一条 現役兵にして青年訓練所の訓練又は之と同等以上と認むる訓練を修了したる者の在営期間は六月以内之を短縮することを得  前項に規定する認定及在営期間短縮に関する事項は勅令を以て之を定む 第十二条 現役兵にして前条の規定の適用を受けざる者の在営期間は軍事上妨げなきときに限り勅令の定むる所に依り六十日以内之を短縮することを得 第十

違式詿違条例 1872年12月08日

違式詿違条例(原文:ひらがな、一部新字体化、不明文字あり)   違式詿違条例 第一条 違式の罪を犯す者は七十五銭より少なからす百五十銭より多からさる贖金を追徴す 第二条 詿違の罪を犯す者は六銭二厘五毛より少なからす十二銭五厘より多からさる贖金を追徴す 第三条 違式詿違の罪を犯し無力の者は實決すること左の如し  一 違式 笞罪 一十より少なからす二十より多からす  二 詿違 拘留 一日より少なからす二日より多からす 第四条 違式并に詿違の罪より取上くへき物品は贖金を科するの外別に没収の申渡しを為すへし 第五条 違式詿違の罪を犯し人に損失を蒙らしむる時は先つ其損失に当る償金を出さしめ後に贖金を命す可し  違式罪目 第六条 地券所持の者諸上納銀を怠り地方の法に違背致す者 第七条 贋造の飲食物并に腐敗の食物を知て販売する者 第八条 往来又は下水外中等へ家作并孫庇等を自在に張出し或は河岸地除地等へ願なく家作する者 第九条 春畫及ひ其類の諸器物を販売する者 第十条 病牛死牛其他病死の禽獣を知りて販売する者 第十一条 身体へ刺繍をなす者 第十二条 男女入込の湯を渡世する者 第十三条 乗馬して猥りに馳驅又は馬車を疾驅して行人を觸倒す者  但殺傷するは此限にあらす 第十四条 外国人を無届にて止宿せしむる者 第十五条 外国人を私に雑居せしむる者 第十六条 町火消鳶人足共町々普請造営の節地所組合違の者を雇ふヿに故障する者 第十七条 夜中無燈の馬車を以て通行する者 第十八条 人家稠密の場所に於て妄りに火技を玩ふ者 第十九条 火事場に関係なくして乗馬する者 第二十条 願なく床店葭簀張等を取建る者 第二十一条 戯に往来の常燈■を破毀する者 第二十二条 裸体又は袒裼し或は股脚を露はし醜体をなす者 第二十三条 馬及車留の掲示ある道路橋梁を犯して通行する者 第二十四条 無検印の舟車を以て渡世する者 第二十五条 男女相撲並蛇遣ひ其他醜体を見世物に出す者 第二十六条 第二十二条の如き見苦敷き容体にて乗馬する者 第二十七条 川堀下水等へ土芥瓦礫等を投棄し流通を妨くる者 第二十八条 軒外へ木木炭薪等を積置く者  詿違罪目 第二十九条 狭隘の小路を馬車にて馳走する者 第三十条 夜中無提燈にて人力車を輓き及ひ乗馬する者 第三十一条 暮六つ時より荷車を挽く者 第三十二条 斟酌なく馬車を疾駈せしめて行人へ迷惑を掛け

大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針 1942年12月21日

大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針(原文:ひらがな、新字体化)                     昭和十七年十二月二十一日                     御前会議決定同日裁可    大東亞戰爭完遂ノ爲ノ對支處理根本方針 第一、方 針  一、帝国は国民政府参戦を以て日支間局面打開の一大転機とし日支提携の根本精神に則り専ら国民政府の政治力を強化すると共に重慶抗日の根拠名目の覆滅を図り真に更新支那と一体戦争完遂に邁進す  二、世界戦局の推移と睨合せ米英側反攻の最高潮に達するに先ち前項方針に基く対支諸施策の結実を図る 第二、要 領  一、国民政府の政治力強化   (イ)帝国は国民政府に対し勉めて干渉を避け極力其の自発的活動を促進す   (ロ)極力占拠地域内に於ける地方的特殊性を調整し国民政府の地方政府に対する指導を強化せしむ   (ハ)支那に於ける租界、治外法権其の他特異の諸事態は支那の主権及領土尊重の趣旨に基き速に之か撤廃乃至調整を図る     九龍租借地の処理に関しては香港と併せ別途之を定む   (ニ)国民政府をして不動の決意と信念とを以て各般に亘り自疆の途を講せしめ広く民心を獲得し特に戦争完遂の為必要とする生産の増強、戦争目的に対する官民認識の普及並に治安維持の強化等の確実なる具現を図り戦争協力に徹底遺憾なからしむ   (ホ)帝国は将来国民政府の充実強化並に其の対日協力の具現等に照応し適時日華基本条約及附属諸取極に所要の修正を加ふることを考慮す  二、経済施策   (イ)当面の対支経済施策は戦争完遂上必要とする物資獲得の増大を主眼とし占拠地域内に於ける緊要物資の重点的開発取得並に敵方物資の積極的獲得を図る   (ロ)経済施策の実行に当りては勉めて日本側の独占を戒むると共に支那側官民の責任と創意とを活用し其の積極的対日協力の実を具現せしむ  三、対重慶方策   (イ)帝国は重慶に対し之を対手とする一切の和平工作を行はす     状勢変化し和平工作を行はむとする場合は別に之を決定す   (ロ)国民政府をして右帝国の態度に順応せしむ  四、戦略方策   帝国の対支戦略方策は既定方針に拠る (国立公文書館:内閣準備書類/7、大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針・・・)

大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針に基く具体的方策 1942年12月18日

大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針に基く具体的方策(原文:ひらがな、新字体化)   大東亞戰爭完遂ノ爲ノ對支處理根本方針ニ基ク具體的方策                          昭和十七年十二月十八日                          大本営政府連絡会議決定      第一、戦争協力確保の為の日華間基本取極  国民政府参戦を機とし国民政府の戦争協力を確保し真に更新支那と一体戦争完遂に邁進する為該政府との間に基本的取極を締結す      第二、国民政府の政治力強化  国民政府の政治力を強化する為差当り左の措置を講す  一、国民政府の財政強化   イ、国民政府をして自ら其の財政を強化する為有らゆる方策を講せしむるものとし特に該政府治下の治安を確立し経済力の伸張を図らしむ   ロ、帝国は右国民政府財政自疆方策に対し援助を与ふるものとし特に治外法権等に基く課税に関する我方特権に付調整を加ふると共に国民政府の関税、転口税及統税等の税率其の他の合理的改正並に儲備券の価値維持等に付所要の援助を与ふ  二、国民政府の地方政府に対する関係調整   極力地方的特殊性を調整し国民政府の地方政府に対する指導を強化せしむ此の際特に中央地方相互間に無用の摩擦、感情的相剋なからしむるのみならす進て融和的雰囲気を醸成せしめ中央地方共に更新支那の構成分子として協心戮力戦争完遂に邁進せしむ   之か為帝国は差当り日華基本条約及附属諸取極に反せさる範囲に於て左の通措置す   イ、帝国は省政府以下の各地方政府人事に関しては支那側の自由処置に任し之に干渉せさること   ロ、省政府以下の施政に関する日本側の指導乃至要求は作戦警備に関するものに限定するを本則とし爾他の行政部面にありては広く支那側に任せ支那側の責任と創意とを活用し其の自発的活動に依る政治力強化及積極的対日協力を促進すること   ハ、帝国は支那側上級政府の下級政府に対する政令の貫徹を助長するものとし末梢に於ける干渉に依り支那側施政の中絶分断するか如きことなからしむること   ニ、華北政務委員会と中央政府との権限関係に付ては日華基本条約附属交換公文(甲)に基き所要の調整整理を図らしむると共に勉めて両者間の空気を融和せしめ且相互の経済的関連性を一層密ならしむること   ホ、蒙疆に関しては華北との間に相互の経済的関連性特に密な

在学徴集延期臨時特例 1943年10月01日

在学徴集延期臨時特例(原文:ひらがな、一部新字体化) 勅令第七百五十五号    在學徴集延期臨時特例 兵役法第四十一条第四項の規定に依り当分の内在学の事由に因る徴集の延期は之を行はず    附 則 本令は公布の日より之を施行す (国立公文書館:在学徴集延期臨時特例・御署名原本・昭和十八年・勅令第七五五号)

「帝国国策遂行要領に関連する対支措置」に基き国際情勢急転の場合支那に於て執るべき措置 1941年12月05日

「帝国国策遂行要領に関連する対支措置」に基き国際情勢急転の場合支那に於て執るべき措置(原文:ひらがな、一部新字体化)    十一月十三日連絡會議決定「帝國國策遂行要領ニ關聯スル對支措置」ニ基キ國際情勢急轉ノ場合支那ニ於テ執ルヘキ措置 一、在支英国租界に対しては下令と共に所要の兵力を進駐し我か占領下に之を把握す但し努めて現機構を利用し之か運営に当るものとす 二、上海共同租界及北京公使館区域に対しては下令と共に兵力を進駐せしむるも右進駐に当りては所要の限度を越ゆること無く努めて静謐を旨とし能う限り混乱動揺を生せしめさる様措置すると共に帝国指導下に努めて現有機構、施設及人員並に支那側等の各種機関を利用して諸般の円滑なる運営を続行せしむるものとす  厦門共同租界に付ては右に準するものとす 三、仏国租界に対しては差当り兵力を進駐せしめす事態の推移に即応し我方より租界当局に対し所要の協力強化を要求するものとす  今後の情勢如何に依りては仏國側の同意を得たる上兵力を進駐せしむ 四、敵国系権益の処理は原則として帝国自ら之を行ふ  右処理に当りては我方施策と併行し別に国民政府をして所要の声明を発せしむる等中央政府としての同政府の立場を保持せしむる如く努むるものとす 五、海関に関しては現機構を保全し努めて其の機能を停止せしめさる如く措置するものとす  国民政府をして適時邦人主席税務司を■税務司に任命せしめ■税務司署を接収せしむると共に海関全体に亘り所要の敵性職員を排除し帝国の掌握下に於て経済施策強化に寄与せしむるものとす 六、郵政に関しては国民政府をして所要の敵性職員を排除せしむるも郵政機能の円滑なる運行を阻害せしめさる様留意するものとす但し郵便は軍に於て所要の検閲を実施す 七、英米蘭人並に其の権益は努めて公正に之を取扱ひ我方監視下に於て其の逃散を防止すると共に之か利用に努むるものとす 八、英米蘭の外交官及領事官並に大公使館及領事館に対しては其の特権を認めす其の職務を停止せしむ  国民政府をして帝国と同政府との関係及未承認等を理由に我方に準し適宜措置せしむ 九、帝国の開戦に当り国民政府は差当り之を参戦せしめす事実上帝国と緊密一体の施策を行はしむ 十、国民政府をして我方と緊密なる協力の下に世界長期戦に対処すへき帝国の負担軽減に寄与せしむる為既定方針に則り国民政府の自主能力を昻むる如く其の

十一月五日御前会議決定「帝国国策遂行要領」に関連する対外措置 1941年11月13日

十一月五日御前会議決定「帝国国策遂行要領」に関連する対外措置(原文:ひらがな、新字体化)   十一月五日 御前会議決定「帝国国策遂行要領」ニ関聯スル対外措置                          昭和一六、一一、一三                          連絡会議決定 一、対独伊  日米交渉決裂し戦争不可避と認められたる際(大体十一月二十五日以後と想定す)には遅滞なく独(伊)に対し帝国は近く準備成り次第英米に対し開戦するの意向なる旨を通報し右準備の一部なりしとて左記事項に付必要なる交渉を行ふものとす  一、独(伊)の対米戦争参加  二、単独不講和   備考 独逸側より対「ソ」参戦の要求ありたる場合には差当り参戦せさる旨を以て応酬す但し之か為独側の対米参戦の時期か遅るるか如き事態生するも已むを得す 一、対 英  対米交渉の結果たる了解事項中英国に関係ある事項を英国をして受諾せしめ且之に積極的に協力せしむる様速に直接又は米を通し措置し置くものとす  右以外企図隠匿の見地に於て特別の外交措置を行ふこと無し 一、対蘭印  我企図秘匿欺騙に資するため成るへく速かに従来交渉継続の形式に於て帝国に対する所要物資の供給を主眼とする外交交渉を逐次開始す 一、対「ソ」  概ね昭和十六年八月四日大本営政府連絡会議決定に係る対「ソ」外交交渉要綱第一項に準拠して交渉を続行す 一、対 泰  1.進駐開始直前左記を要求し迅速に之を承認せしむ   泰にして帝国の要求に応せさる場合に於ても軍隊は予定の如く進駐す、但し日泰間武力的衝突は之を局限するに努む      左   記    イ、帝国軍隊の通過並に之に伴ふ諸般の便宜供与    ロ、帝国軍隊の通過に伴ふ日泰軍隊の衝突回避措置の即時実行    ハ、泰の希望によりては共同防衛協定の締結   (註)本交渉開始前に於ける対泰態度は従来と特別の変化なからしめ特に開戦企図の秘匿に万全の考慮を払ふものとす  2.進駐後速かに概ね左の諸件に関し具体的に現地に於て取極を行ふ    イ、帝国軍隊の通過及駐屯に関する事項    ロ、軍用施設の供用及新設増強    ハ、所要の交通通信機関及工場施設等の供用    ニ、通過並に駐屯軍隊に対する宿営、給養等    ホ、所要軍費の借款 備考 第一、第二項の交渉に当りては昭和十六年二月一日大本営政府連絡会

戦争経済基本方略 1941年11月12日

戦争経済基本方略(原文:ひらがな、新字体化)      戰爭經濟基本方略                       一六、一一、一二                       連絡会議決定 東亜共栄圏地域に於ける国防資源及物資を我方に確保し我国の戦争遂行力の急速なる拡充発展を期すると共に敵国に対する戦略物資の供給遮断を図り其の戦争遂行力の伸展を妨壓することを期す 即ち 一、 国防資源及物資殊に石油に付神速に之を開発取得し我国防生産力上に於ける絶対隘路を掘開すると共に満洲事変及支那事変の成果たる自給圏内資源殊に石炭鉄鉱の開発利用を飛躍せしめ米国国防計画の遂行に伴ふ攻勢並に之と不可分の関係に立つ北方よりの攻勢に対し之を克服し得べき我国戦争遂行力の増強確保を為す  右と同時に東亜共栄圏地域に依存する敵国戦略物資の供給を完封し以て其の国防計画の進展を齟齬遅延せしむ 二、 前項の目的達成の為め昭和十八年末を目標として所要物資の計画的自給生産の実現を期し特に石油(人造石油を含む)石炭、鉄鋼、造船を中核とする自給生産を促進強化す。  而して我国戦争遂行力の急速増強の為には毎年の新規生産力又は所得のみを以てしては其所要を満足せしめ得ざるにより過去の物的蓄積資本を動員し真の経済総力を発揮すること絶対に必要とす 三、 右意図に基き各産業別再編成の方針を速かに樹立し産業別整理を断行し其の保有せる資材を自給生産建設の新生原動力たらしむべし   右に関し必要なる国家経費、資金、及財源に付き速かに方策を決定す 四、 上記自給生産の実現過程に於ける国民生活の最低限度を確定し之か確保を為す      鋼材及銅の蓄積推定量            (大正元年より昭和十四年迄-二十八年間) 一、 鋼 材(鋼材生産量+輸入量-輸出量)                      五九、二五五千噸 二、 銅  (   〃         )                       二、三七五千噸   註 鋼材は商工省製鉄業参考資料に拠る     銅は産銅組合調 三、 尚用途別銅材(■延銅材)消費量左の如し                 (昭和元年より十三年迄)                        千噸   比率     鉄  道(電鉄を含む)   三、四一九    一〇.三     土木建

戦争遂行に関する物資動員上よりの要望 1941年08月01日

戦争遂行に関する物資動員上よりの要望(原文:ひらがな、一部新字体化)  戦争遂行に關する物資動員上よりの要望  企画院 帝国は支那事変発生以来自給生産態勢の整備に努め来りしと雖も過去に於ける帝国経済の国際経済特に英米経済への依存度の強烈なりし結果近々両三年の日子を以てしては其整備充分ならさるへきは固より其の処たり、而かも東亜新秩序建設に関する帝国々策の進展を中心とする国際関係は帝国の自給態勢整備の進行を阻害するの結果を招来し、殊に欧州戦乱の勃発に基く国際政局の動揺不安は益々我国の自給生産態勢確立を妨くる結果となれり、之を以て昨年下半期以来帝国は一方に於ては東亜共栄圏内に於ける自給態勢の確立を急くと共に不可避的海外依存物資の内独伊ソ方面に転換し得るものは挙けて之に転換し他方英米との国交危機の到来以前に於て英米乃至其勢力範囲よりの取得物資の可及的特別輸入を実行し以てストックの増強に努むる処ありたり、然るに此種特別輸入は当時に於ける帝国の金資金状況と海上輸送力並に格納設備の状態等よりして未た予期せらるる戦争遂行上帝国の所要を満足するの域に達する能わす、他方最近に於ける独蘇武力戦の発展は独、伊方面よりの物資及技術の輸入を不可能ならしめ今や帝国の経済事情は極めて不利なる状態にあり。 帝国か現生産力を保持し物資の需要を概ね昭和十五年度の物資動員実績の実数に近からしめんとせは帝国重要戦略物資の要確保状況は概ね別表の如くにして今尚ほ自給圏及第一補給圏外よりの輸入頗る大なるものあるを諒知し得へし、而かも該輸入悉く英米勢力圏内に存するの事実は帝国の戦争遂行上特に注意を要する点なりとす、之を以てか英米との間に本質的且全面的なる経済断交招来するに於ては其結果は極めて重大なるを覚悟せざるべからす。 即ち如斯場合に於ては帝国の物的戦争遂行力は主として自給圏及第一補給圏内の生産力と既存ストックとに存し爾后は専ら作戦成果の活用による新なる生産力の増加に待たざるべからさるなり、之れ誠に帝国戦争遂行上の性格を規制する根本なりとす。 故に帝国の戦争遂行は該戦争遂行力の上に極めて短期間に作戦成果を收めストック資材を使用し尽す以前に於て右作戦成果の活用による新なる物資供給源を確保せさるべからざるなり。 一部作戦の成功により戦争当事国間に講和の可能性ありし過去の戦争に於てはストックのみに依存する戦争も時に其成

対「ソ」外交交渉要綱 1941年08月04日

対「ソ」外交交渉要綱(原文:ひらがな、一部新字体化)     対「ソ」外交交渉要綱                      昭和十六年八月四日                      連絡会議決定 一、差当り左記要件に付対「ソ」折衝を行ふ但帝国将来の企図に拘束を与へさる様留意す  1.極東危険水域の撤廃乃至は右水域の帝国に及ほす損害の除去  2.東亜に於ける「ソ」領に付第三国に対する割譲、売却、租借、軍事的拠点提供等を為ささること  3.「ソ」連邦と第三国との軍事同盟の適用範囲を東亜に及ほささること及第三国との間に帝国を目標とする同盟等を締結せさること  4.援蒋行為の中止及中国共産党に対する抗日指令及援助の中止  5.北樺太利権事業の完全嫁行確保  6.満「ソ」抑留人員及物件交換  7.「ノモンハン」地方国境確定作業は従来通継続す満「ソ」、満蒙間全般的国境に関する交渉は之を見合はす   (註)(イ)以上の中特に2.3.及5.に重点を置く      (ロ)「ソ」側に於て中立条約を厳守し又極東に於て脅威を与へさる限り帝国は日「ソ」中立条約の義務を守るへき旨を明にす 二、前項外交交渉の経過、我対「ソ」武力的準備進捗の度、独「ソ」戦の推移及国際情勢並に其後の我方企図との連繋を考慮しつつ左記案件の一部又は全部に付交渉す  1.漁業条約(従来の交法経緯を離れ我方当初の主張を貫徹するを目的とす)  2.北樺太買収又は割譲  3.「カムチャツカ」地方の帝国への租借、割譲等  4.黒竜江以東の「ソ」領の帝国への租借割譲又は非武装地帯化等  5.其の他の極東「ソ」領の非武装地帯化等 三、交渉方針  1.北方問題の解決は大東亜共栄圏確立の国策完遂に資する為北方よりの脅威を芟除し且北方資源を確保するを目標とす右目標は先つ外交に依りて之を達成するに努む可く武力に依る解決は既定の国策に従ひ形勢我方にとり有利なる場合にのみ行ふへきものとす  2.「ソ」連邦に対する外交交渉は直に之を開始し日「ソ」間の正当なる国交関係を阻害する如き、又大東亜共栄圏確立の妨害となる如き一切の事情及原因の排除を要求す   之か為には帝国としては日「ソ」中立条約上の義務の履行を明言する事とす  3.対「ソ」外交交渉を行ふに当りては独逸に対し帝国の立場及役割を腹蔵なく説明し置くこととす尚独「ソ」か休戦する場合独逸の対

在京独逸大使に対する外務大臣通告覚 1941年07月01日

在京独逸大使に対する外務大臣通告覚(原文:ひらがな、一部新字体化)     在京独逸大使ニ対スル外務大臣通告覚                        昭和一六、 七、 一                        連絡会議決定 左記を「リツベントロツプ」外務大臣に御伝達ありたし 本大臣は在京「オツト」大使及在独大島大使を通し為されたる閣下の要請を敬承し且つ右要請を日本政府に為さるるに当り述へられたる閣下の見解を慎重に検討せり 本大臣は日本は独逸と共に赤化の脅威と積極的に戦ふ為に「ソ」連邦に関し有ゆる起り得る事態に対し準備を進め居る旨を述ふることを欣幸とす日本は豫てより東部「シベリヤ」に於ける共産主義組織を破壊するの決意を有し特に同方面の状況発展を注視し居れり右の目的達成と共に極東方面に於て「ソ」連を其の対独戦争に関し牽制せんか為軍備の増強其他の手段を講することは日本政府の絶えす留意し居る所なることは敢て付言を要せさるものと信す右と同時に予は日本政府に於ては仏領印度支那に於ける軍事基地獲得方決定せる旨を通報せんとす 其の結果日本は右両国に対する圧力を強化する次第なり右と関連し本大臣は日本か南西海面を含む太平洋に於て常に監視を行ひ英米を牽制し得る事実に付閣下の注意を喚起せんと欲す 日本は右努力を続行し必要の場合には更に之を強化すへし本大臣は右か実に吾等の共同目標に対し重要なる貢献を為すものにして此の際日本の独「ソ」戦争介入に劣らさる重要性を有することに付ては閣下に於ても全然同意見なるへしと信す 日本は南方に対する努力を軽減する能はす又軽減せさるへし右は結局戦局全体に対し極めて重大なる影響を有する次第なり本大臣は独伊両国か近く戦勝を博されんことを確信す本大臣は茲に再ひ日本政府か三国条約の目的及精神に基き行動すへき旨を閣下に対し確言す (国立公文書館:昭和16年7月1日 在京独逸大使に対する外務大臣通告覚)

在京「ソ」連大使に対する外務大臣回答 1941年07月01日

在京「ソ」連大使に対する外務大臣回答(原文:ひらがな、一部新字体化)     在京「ソ」聯大使ニ対スル外務大臣囘答                         昭和一六、 七、 一                         連絡会議了解 本大臣は茲に閣下に対し日本か今回不幸にして勃発せる独「ソ」戦争に対し当然深甚なる関心を抱くものなり 率直に述ふれは日本は一方の同盟国たる独伊他方即漸く近来善隣有好の関係を維持せんとする真摯なる国交を進めたる「ソ」連邦との間に戦争勃発に直面し日本は甚しく当惑し居れり 斯くの如き次第にて日本は敵対行為の終結に付関心を有する所右か少くとも日本の重要利害を有する極東近接地帯以外の地域に限局せられんことを切に希望するものなり日本政府は此の機会に於て其の対「ソ」政策は日本同盟国に対し何等誤解を生せしめさらんとする自然なる顧慮を除きては之を修正するの必要に迫られ居らすと認め居ることを茲に述へんとす 日本政府は其の利害を擁護すると共に同盟国との間に相互信頼の精神を維持し且つ同時に「ソ」連邦とも良好なる関係を継続するか如き政策を執り得へきことを衷心より希望するものなり 申す迄もなきことなから「スターリン」及「モロトフ」両閣下か本大臣に於て右の方針により最善を尽すへきこと信頼せられて可なり 然れとも日本政府か敍上の政策を矛盾なしに遵守し得るや否やは主として将来に於ける事態の発展に係るものなることを敢て付言するの必要なかるへし (国立公文書館:昭和16年7月1日 在京「ソ」連大使に対する外務大臣回答)

現情勢下に於て帝国海軍の執るべき態度 1941年06月05日

現情勢下に於て帝国海軍の執るべき態度(原文:ひらがな、一部新字体化) 一 原則的事項  帝国の自存自衛上我慢し得る限界を明かにすると共に、右限界を超ゆる場合の武力行使に関して明確なる決意を顕示し、且之に伴ふ準備を完整し置くこと 二 欧州情勢変化に対する態度  帝国は独の対米屈服工作長引き、米の欧州問題介入深入を希望する。之が為、  (1)三国枢軸の強化は絶対緊要なり  (2)対米調整は之を焦慮することなく継続し、米をして欧州介入態勢を促進せしむるを可とする  独の対英上陸作戦決行せられたる場合、帝国は急速事後の対策に着手するの要あり  (1)日米共同の態勢にて講和斡旋に乗出すことは害あり。飽迄三国枢軸の共同態勢を以て臨まざるべからず  (2)講和時の発言力を確実ならしむる為、少くとも泰・仏印に帝国の政治的及軍事的地歩を確立し置くを要す  上陸後英政府他地域に逃避するを予想せらるる場合  (1)英米の極東進攻即ち対日重圧加重は必至なるを以て、速に自衛上所要の戦略態勢を確保するを要す   此の場合に於ては、泰・仏印両域の確保は勿論、更に進んで蘭印方面に於ても必要な場合、其の一部要域を確保するの準備を必要とす 三 N工作に関する態度  帝国は南方武力行使の制扼を受くることなく、且支那事変終息に関し米の和平交渉介入を許さざる条件に於て工作の成立を希望す。但し帝国は日支和平成立問題を除外せば、米と殊更に調整するの絶対的必要を認めあらず  N工作成立せば国内情勢は急激に英米依存に復帰すべく、惹ては国防国家体制の建設、統制経済等に一大動揺を来す虞極めて大なるを以て、事前非常立法を立案準備するを要す 四 米独戦争状態展開したる場合の方策  帝国は必ずしも直に対米参戦するを要せずと雖も、其の儘放任し置くを得ず  之が為左の諸策を考慮若くは研究し置くを要す  (1)三国同盟軍事的援助の条項に基き、米国が対英援助に於て実行したると同様の手段を以て、「スエズ」若くは「イラク」迄独伊必需物資の海上輸送を断行す  (2)援独伊物資の獲得及海上輸送達成の為、米国と同様蘭印に所要基地を獲得す 五 武力行使に関する決意  帝国海軍は左記の場合は猶予なく武力行使を決意するを要す  (イ)米(英)蘭が石油供給を禁じたる場合  (ロ)蘭印・泰・仏印が生「ゴム」・米・錫・「ニッケル」の全面禁輸をなしたる場合

国民職業能力申告令 1939年01月06日

国民職業能力申告令(原文:ひらがな、一部新字体化) 勅令第五号    國民職業能力申告令 第一条 国家総動員法第二十一条の規定に基く帝国臣民の職業能力に関する事項の申告及其の職業能力に関する検査は別に定むるものを除くの外本令に定むる所に依る 第二条 職業能力に関する事項の申告(以下申告と称す)は本令施行地内に居住する年齢十六年以上五十年未満の帝国臣民たる男子にして左の各号の一に該当するもの(以下要申告者と称す)に付之を為さしむるものとす  一 本令施行地内に於て引続き三月以上厚生大臣の指定する職業に従事する者  二 引続き一年以上前号の職業に従事して其の職業を罷め其の職業を罷めたる日より五年を経過せざる者  三 厚生大臣の指定する大学、専門学校、実業学校其の他之に準ずべき各種学校に於て厚生大臣の指定する学科を修め其の学校を卒業したる者  四 厚生大臣の指定する技能者養成施設に於て所定の課程を修了したる者  五 厚生大臣の指定する検定又は試験に合格したる者又は厚生大臣の指定する免許を受けたる者  六 其の他厚生大臣の指定する者 第三条 要申告者及前条第一号の職業に従事する要申告者を使用する者(以下使用者と称す)は要申告者の職業能力に関する事項の申告義務者(以下申告義務者と称す)とす但し要申告者を臨時に使用する者にして命令を以て定むるものは此の限に在らず 第四条 帝国臣民要申告者(第十一条の規定に該当する者を除く)たるに至りたるとき又はま第十一条の規定に該当する要申告者同条の規定に該当せざるに至りたるときは申告義務者は当該事実の生じたる月の翌月末日迄に左に掲ぐる事項を要申告者が第二条第一号の職業に従事する者なる場合に在りては其の者の就業地を管轄する職業紹介所長に、其の他の者なる場合に在りては其の者の居住地を管轄する職業紹介所長に申告すべし申告を為したる後に於て申告者が内地、朝鮮、台湾、樺太又は南洋群島の何れかの地域より他の地域に居住の場所を移したる場合に於て其の地域に於て仍要申告者たるとき亦同じ  一 氏名  二 出生の年月日  三 本籍  四 居住の場所  五 兵役関係  六 学歴  七 職業に従事する者に在りては其の職業名  八 第二条第一号の職業に従事する者(就業の場所の一定せざる者を除く)に在りては就業の場所(二以上の就業の場所を有する者に在りては主たる就業の場

陸戦の法規慣例に関する規則 1907年10月18日

陸戦の法規慣例に関する規則(原文) 条約附属書     陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則      第一款 交戦者       第一章 交戦者ノ資格 第一条 戦争ノ法規及權利義務ハ單ニ之ヲ軍ニ適用スルノミナラス左ノ条件ヲ具備スル民兵及義勇兵團ニモ亦之ヲ適用ス  一 部下ノ為ニ責任ヲ負フ者其ノ頭ニ在ルコト  二 遠方ヨリ認識シ得ヘキ固着ノ特殊徽章ヲ有スルコト  三 公然兵器ヲ携帯スルコト  四 其ノ動作ニ付戦争ノ法規慣例ヲ遵守スルコト  民兵又ハ義勇兵團ヲ以テ軍ノ全部又ハ一部ヲ組織スル国ニ在リテハ之ヲ軍ノ名称中ニ包含ス 第二条 占領セラレサル地方ノ人民ニシテ敵ノ接近スルニ当リ第一条ニ依リテ編成ヲ為スノ遑ナク侵入軍隊ニ抗敵スル為自ラ兵器ヲ操ル者カ公然兵器ヲ携帯シ且戦争ノ法規慣例ヲ遵守スルトキハ之ヲ交戦者ト認ム 第三条 交戦当事者ノ兵力ハ戦闘員及非戦闘員ヲ以テ之ヲ編成スルコトヲ得敵ニ捕ハレタル場合ニ於テハ二者均シク俘虜ノ取扱ヲ受クルノ權利ヲ有ス       第二章 俘虜 第四条 俘虜ハ敵ノ政府ノ權内ニ属シ之ヲ捕ヘタル個人又ハ部隊ノ權内ニ属スルコトナシ  俘虜ハ人道ヲ以テ取扱ハルヘシ  俘虜ノ一身ニ属スルモノハ兵器、馬匹及軍用書類ヲ除クノ外依然其ノ所有タルヘシ 第五条 俘虜ハ一定ノ地域外ニ出テサル義務ヲ負ハシメテ之ヲ都市城寨、陣營其ノ他ノ場所ニ留置スルコトヲ得但シ已ムヲ得サル保安手段トシテ且該手段ヲ必要トスル事情ノ繼續中ニ限之ヲ幽閉スルコトヲ得 第六条 国家ハ将校ヲ除クノ外俘虜ヲ其ノ階級及技能ニ應シ勞務者トシテ使役スルコトヲ得其ノ勞務ハ過度ナルヘカラス又一切作戦動作ニ関係ヲ有スヘカラス  俘虜ハ公務所、私人又ハ自己ノ為ニ勞務スルコトヲ許可セラルルコトアルヘシ  国家ノ為ニスル勞務ニ付テハ同一勞務ニ使役スル内国陸軍軍人ニ適用スル現行定率ニ依リ支払ヲ為スヘシ右定率ナキトキハ其ノ勞務ニ対スル割合ヲ以テ支払フヘシ  公務所又ハ私人ノ為ニスル勞務ニ関シテハ陸軍官憲ト協義ノ上条件ヲ定ムヘシ  俘虜ノ勞銀ハ其ノ境遇ノ艱苦ヲ軽減スルノ用ニ供シ剰餘ハ解放ノ時給養ノ費用ヲ控除シテ之ヲ俘虜ニ交付スヘシ 第七条 政府ハ其ノ權内ニ在ル俘虜ヲ給養スヘキ義務ヲ有ス  交戦者間に特別の協定なき場合に於ては俘虜は糧食、寝具及被服に関し之を捕へたる政府の軍隊と対等の取扱を受くへし  逃走シタル俘虜ニシテ其ノ軍ニ達ス

ハーグ陸戦条約(陸戰ノ法規慣例ニ關スル條約) 1907年10月18日

ハーグ陸戦条約(口語訳、前文署名省略) 第一条 締約国はその陸軍軍隊に対し、本条約に付属する陸戦の法規慣例に関する規則に適合する訓令を発するようにしなければならない。 第二条 第一条に掲げる規則及び本条約の規定は交戦国が悉く本条約の当事者になるときに限り、締約国間にのみこれを適用する。 第三条 前記規則の条項に違反した交戦当事者は損害があるときは之が賠償の責任を負うべきものとする。 第四条 本条約は正式に批准されたる上、締約国間の関係においては陸戦の法規慣例に関する1899年07月29日の条約に代わるべきものとする。 第五条 本条約は、なるべく速やかに批准しなければならない。 2 批准書はハーグに寄託する。第一回の批准書寄託はこれに加わる諸国の代表者及びオランダ国政府外務大臣の署名した長所をもってこれを証明する。 3 その後の批准書寄託は、オランダ国政府に宛ててかつ批准書を添付した通告書をもってこれを為すものとする。 4 第一回の批准書寄託に関する調書、前項に掲げたる通告書及び批准書の認証謄本はオランダ国政府より外交上の手続をもって直ちにこれを第二回平和会議に招請される諸国及び本条約に加盟する他の諸国に交付しなければならない。前項に掲げたる場合においては、オランダ国政府は同時に通告書を接受した日を通知するものとする。 第六条 記名国ではない諸国は本条約に加盟することができる。 2 加盟を希望する国は書面をもってその意思をオランダ国政府に通告し、かつ加盟書を送付しこれをオランダ国政府の文庫に寄託しなければならない。 3 オランダ国政府は直ちに通告書及び加盟書の認証謄本をその他の諸国に送付し、かつ同通告書を接受した日を通知しなければならない。 第七条 本条約は、第一回の批准書寄託に加わった諸国に対しては、その寄託の調書の日付より60日の後、又その後に批准しまたは加盟する諸国に対しては、オランダ国政府が同批准書または加盟の通告を接受したときより60日の後にその効力を生じるものとする。 第八条 締約国中本条約を廃棄しようとするときは、書面をもってその旨をオランダ国政府に通告しなければならない。オランダ国政府は直ちに通告書の認証謄本を他の諸国に送付し、かつ同通告書を接受した日を通知しなければならない。 廃棄は、その通告書がオランダ国政府に到達した時より1年後、同通告をなした国

ロンドン軍縮条約(1930年ロンドン海軍条約) 1930年04月22日

ロンドン軍縮条約(口語訳) 千九百三十年ロンドン海軍条約 第一編 第一条 締約国は1922年2月6日「ワシントン」に於いて相互の間に署名せられ且つ本条約に於いて「ワシントン」条約と称せられる海軍軍備制限に関する条約の第二章第三節に規定される主力艦代換トン数の竜骨据付の自国の権利を1931年から1936年までの期間中行使しないことを約する。 上規定は不慮の事変に依り亡失し、又は破壊された艦船の代換に関する前記条約第二章第三節第一款(ハ)に掲げられる規定の適用を妨げることはない。 もっとも、フランス及びイタリアは前記条約の規定により、1927年及び1929年に自国が起工する権利を与えられた代換トン数を建造することができる。 第二条 一 アメリカ、イギリス並びに日本は下の主力艦を本条の規定される所に従い処分しなければならない。アメリカ フロリダ、ユター、アーカンソー又はワイオミング イギリス ベンボー、アイアン・デューク、マーバラ、エンペラー・オヴ・インディア、タイガー 日本 比叡 (イ)(ロ)の規定を留保し、前記艦船は「ワシントン」条約第二章第二節二(ハ)に依り、専ら標的用に変更されない限り、左の如く廃棄せねばならない。 アメリカによって廃棄されるべき艦船中の1隻及びイギリスによって廃棄されるべき艦船中の2隻は本条約の実施の時より12ヶ月以内に「ワシントン」条約第二章第二節三(ロ)に従い、戦闘任務に適しないようにしなければならない。上艦船は右実施の時より24ヶ月以内に右第二節二(イ)又は(ロ)に従い、確定的に廃棄しなければならない。アメリカに依り廃棄しなければならない艦船中の第二隻並びにイギリスにより廃棄しなければならない艦船中の第三隻及び第四隻については、上期間は本条約の実施の時よりそれぞれ18ヶ月及び30ヶ月とする。 (ロ)本条により処分せらるべき艦船中下記は練習用のため保有してもよい。 アメリカ アーカンソー又はワイオミング イギリス アイアン・デューク 日本 比叡 上艦船は本条約第二編第二付属書第五款に規定される状態に減勢しなければならない。上艦船を要求せられた状態に減勢する作業は本条約の実施の時よりアメリカ及びイギリスについては12ヶ月以内に、又日本については18ヶ月以内にこれを開始しなければならない。上作業は前記期間の満了の時より6ヶ月以内に完了しなければな

日独伊枢軸強化に関する件 1940年09月04日

日独伊枢軸強化に関する件(原文:ひらがな、一部新字体化、附属文等省略)    日獨伊樞軸强化ニ關スル件 日独伊三国の提携強化の気運最近頗る激化し此際三国間に取急き開談を要する時機に達したりと認めらるるに付左記基準要綱に基き差詰め独逸側と折衝致度      要  綱 一、三国間に欧羅巴及亜細亜に於ける新秩序建設に付凡有る方法を以て相互に協力を与ふる為原則的協定を遂ぐ 二、右協力の最善の方法に関し出来得る限り短期間に三国間の協議を行ふ 三、差当り三国共同声明として前二項の趣旨を内外に公表す      説 明 書 (省略)    軍事同盟交渉に関する要綱 (省略) 別紙第一 別紙第二 別紙第三 別紙第四 (省略) (国立公文書館:昭和15年9月4日総理、陸、海、外4相会議決定 昭和15年9・・・)

南方占領地行政実施要領 1941年11月20日

南方占領地行政実施要領(原文:ひらがな、一部新字体化)      南方占領地行政実施要領                十一月二十日大本営政府                連 絡 会 議 決 定     第一 方   針 占領地に対しては差し当り軍政を実施し治安の恢復、重要国防資源の急速獲得及作戦軍の自活確保に資す 占領地領域の最終的帰属並に将来に対する処理に関しては別に之を定むるものとす     第二 要   領 一、軍政実施に当りては極力残存統治機構を利用するものとし従来の組織及民族的慣行を尊重す 二、作戦に支障なき限り占領軍は重要国防資源の獲得及開発を促進すへき措置を講するものとす  占領地に於て開発又は獲得したる重要国防資源は之を中央の物動計画に織り込むものとし作戦軍の現地自活に必要なるものは右配分計画に基き之を現地に充当するを原則とす 三、物資の対日輸送は陸海軍に於て極力之を援助し且陸海軍は其の徴傭船を全幅活用するに努む 四、鉄道、船舶、港湾、航空、通信及郵政は占領軍に於て之を管理す 五、占領軍は貿易及為替管理を施行し特に石油、ゴム、錫、「タングステン」、「キナ」等の特殊重要資源の対敵流出を防止す 六、通貨は勉めて従来の現地通貨を活用流通せしむるを原則とし已むを得さる場合にありては外貨標示軍票を使用す 七、国防資源取得と占領軍の現地自活の為民生に及ほさるるを得さる重圧は之を忍はしめ宣撫上の要求は右目的に反せさる限度に止むるものとす 八、米、英、蘭国人に対する取扱は軍政実施に協力せしむる如く指導するも之に応せさるものは退去其の他適宜の措置を講す  枢軸国人の現存権益は之を尊重するも爾後の拡張は勉めて削減す  華僑に対しては蒋政権より離反し我か施策に協力同調せしむるものとす  原住土民に対しては皇軍に対する信倚観念を助長せしむる如く指導し其の独立運動は過早に誘発せしむることを避くるものとす 九、作戦開始後新に進出すへき邦人は事前に其の素質を厳選するも嘗て是等の地方に存住せし帰朝者の再渡航に関しては優先的に考慮す 一〇、軍政実施に関連し措置すへき事項左の如し  イ、現地軍政に関する重要事項は大本営政府連絡会議の議を経て之を決定す   中央の決定事項は之を陸海軍より夫々現地軍に指示するものとす  ロ、資源の取得及開発に関する企画及統制は差当り企画院を中心とする中

治安維持法 1941年03月08日

治安維持法(原文:一部新字体化) 法律第五十四号 治安維持法    第一章 罪 第一條 國體ヲ變革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務に從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ七年以上ノ懲役に處シ情ヲ知りテ結社に加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ三年以上ノ有期懲役に處ス 第二條 前條ノ結社ヲ支援スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務に從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ五年以上ノ懲役に處シ情ヲ知りテ結社に加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ二年以上ノ有期懲役に處ス 第三條 第一條ノ結社ノ組織ヲ準備スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務に從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ五年以上ノ懲役に處シ情ヲ知りテ結社に加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ二年以上ノ有期懲役に處ス 第四條 前三條ノ目的ヲ以テ集團ヲ結成シタル者又ハ集團ヲ指導シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役に處シ前三條ノ目的ヲ以テ集團に参加シタル者又ハ集團に関シ前三條ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ一年以上ノ有期懲役に處ス 第五條 第一條乃至第三條ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ實行に関シ協議若ハ煽動ヲ為シ又ハ其ノ目的タル事項ヲ宣伝シ其ノ他其ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役に處ス 第六條 第一條乃至第三條ノ目的ヲ以テ騒擾、暴行其ノ他生命、身體又ハ財産に害ヲ加フベキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ二年以上ノ有期懲役に處ス 第七條 國體ヲ否定シ又ハ神宮若ハ皇室ノ尊厳ヲ冒涜スベキ事項ヲ流布スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務に從事シタル者ハ無期又ハ四年以上ノ懲役に處シ情ヲ知りテ結社に加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ一年以上ノ有期懲役に處ス 第八條 前條ノ目的ヲ以テ集團ヲ結成シタル者又ハ集團ヲ指導シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役に處シ前條ノ目的ヲ以テ集團に参加シタル者又ハ集團に関シ前條ノ目的遂行ノ為にスル行為ヲ為シタル者ハ一年以上ノ有期懲役に處ス 第九條 前八條ノ罪ヲ犯サシムルコトヲ目的トシテ金品其ノ他ノ財産上ノ利益ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者ハ十年以下ノ懲役に處ス情ヲ知りテ供与ヲ受ケ

今後採るべき戦争指導の大綱(今後採ルヘキ戰争指導ノ大綱) 1942年03月07日

今後採るべき戦争指導の大綱(原文:ひらがな、一部新字体化)      今後採ルヘキ戰争指導ノ大綱                         昭和十七年三月七日                         連絡会議決定 一、英を屈伏し米の戦意を喪失せしむる為引続き既得の戦果を拡充して長期不敗の政戦態勢を整へつつ機を見て積極的に方策を講す 二、占領地域及主要交通線を確保して国防重要資源の開発利用を促進し自給自足の態勢の確立及国家戦力の増強に努む 三、一層積極的なる戦争指導の具体的方途は我か国力、作戦の推移、独「ソ」戦況、米「ソ」関係、重慶の動向等諸情勢を勘案して之を定む 四、対「ソ」方策は昭和十六年十一月十五日決定「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」及昭和十七年一月十日決定「情勢の進展に伴ふ当面の施策に関する件」に拠る  但し現情勢に於ては独「ソ」間の和平斡旋は之を行はす 五、対重慶方策は昭和十六年十二月二十四日決定「情勢の推移に伴ふ対重慶工作に関する件」に拠る 六、独伊との協力は昭和十六年十一月十五日決定「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」の要領に拠る (国立公文書館:今後採ルベキ戦争指導ノ大綱(昭一七、三、七連絡会議決定))

国民体力法 1940年04月06日

国民体力法(原文:一部新字体化) 法律第百五号    國民體力法 第一条 政府ハ国民体力ノ向上ヲ図ル為本法ノ定ムル所ニ依リ国民ノ体力ヲ管理ス  前項ノ管理トハ国民ノ体力ヲ検査シ其ノ向上ニ付指導其ノ他必要ナル措置ヲ為スヲ謂フ 第二条 本法ニ於テ被管理者ト称スルハ本法施行地内ニ居住地(一定ノ居住地ナキ者ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル地トス以下之ニ同ジ)ヲ有スル帝国臣民タル未成年者ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当セザルモノヲ謂フ  一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者及帰休下士官兵ヲ除ク)又ハ戦時若ハ事変ニ際シ召集中ノモノ  二 陸海軍ノ学生生徒  三 其ノ他勅令ヲ以テ定ムル者 第三条 本法ニ於テ保護者ト称スルハ被管理者ニ対シ親権ヲ行フ者(親権ヲ行フ者ナキトキハ後見人又ハ後見人ノ職務ヲ行フ者)ニシテ本法施行地内ニ居住地ヲ有スルモノヲ謂フ 第四条 被管理者ニシテ其ノ年十一月三十日ニ於テ年齢二十年ニ達セザルモノハ本法ノ定ムル所ニ依リ体力検査ヲ受クルコルヲ要ス  保護者ハ前項ノ被管理者ヲシテ体力検査ヲ受ケシムル義務ヲ負フ但シ被管理者ヲ教育、監護又ハ使用ノ目的ヲ以テ寄寓セシムル者アル場合ハ其ノ者ニ於テ其ノ義務ヲ負フ 第五条 市町村長ハ前条第一項ノ規定ニ依リ体力検査ヲ受クルコトヲ要スル被管理者ニシテ其ノ市町村内ニ居住地ヲ有スルモノノ体力検査ヲ行フベシ但シ事務所、商店、工場、事業場等ノ事業主又ハ管理人ニシテ勅令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ヨリ体力検査ヲ行フコトヲ命ゼラレタルモノハ其ノ事務所、商店、工場、事業場等ニ使用セラルル被管理者ニシテ同条同項ノ規定ニ依リ体力検査ヲ受クルコトヲ要スルモノノ体力検査ヲ行フベシ  勅令ヲ以テ定ムル学校又ハ幼稚園ニ在学又ハ在園スル被管理者ニシテ前条第一項ノ規定ニ依リ体力検査ヲ受クルコトヲ要スルモノノ体力検査ハ前項ノ規定ニ拘ラズ当該学校長又ハ園長之ヲ行フベシ 第六条 第四条第二項ノ規定ニ依ル義務者ハ被管理者ノ氏名、生年月日其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項ヲ被管理者ノ居住地ノ市町村長ニ届出ヅベシ但シ前条第二項ノ被管理者ニ関シテ此ノ限ニ在ラズ 第七条 本法ニ定ムルモノノ外体力検査ノ項目、時期、方法、結果ノ報告其ノ他体力検査ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム 第八条 被管理者体力検査ヲ受ケタルトキハ本人又ハ保護者ニ対シ体力手帳ヲ交付ス  体力手帳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ

軍用資源秘密保護法 1939年03月24日

軍用資源秘密保護法(原文:一部ひらがな、一部新字体化) 法律第二十五号    軍用資源祕密保護法 第一条 本法ハ国防目的達成ノ為軍用に供スル(軍用に供スベキ場合ヲ含ム以下之に同ジ)人的及物的資源に関シ外国に秘匿スルコトヲ要スル事項ノ漏泄ヲ防止スルヲ以テ目的トス 第二条 陸軍大臣又ハ海軍大臣(官庁ノ管理に属スルモノに係ルトキハ勅令ノ定ムル所に依リ主務大臣)ハ左に掲グルモノに就キ命令ヲ以テ軍用資源秘密ヲ指定ス但シ公示ヲ不適当トスルモノに係ル指定ハ当該事項又ハ図書物件ノ管理者又ハ之に準ズベキ者に対スル通知ヲ以テ之ヲ為ス  一 全国(関東州及南洋群島ヲ含ム以下之に同ジ)又ハ一地方に於ケル軍用に供スル重要ナル物資ノ生産額、生産能力、生産能力判定資料タル設備ノ種類別数(之ヲ判定シ得ベキ比率ヲ含ム以下之に同ジ)及政府ノ決定シタル生産計画並に此等ヲ表示スル図書物件  二 兵器ヲ生産スル工場事業場又ハ之に転用スルコトヲ得ル工場事業場ノ当該兵器ノ生産額、生産能力並に生産能力判定資料タル重要ナル設備ノ種類別数及其ノ設備に属スル従業者ノ総数(之ヲ判定シ得ベキ比率ヲ含ム以下之に同ジ)又ハ種類別数並に此等ヲ表示スル図書物件  三 兵器以外ノ軍用に供スル重要ナル物資ヲ生産スル工場事業場又ハ之に転用スルコトヲ得ル工場事業場ノ当該物資ノ生産額、生産能力、生産能力判定資料タル重要ナル設備ノ種類別数及其ノ設備に属スル従業者ノ総数又ハ種類別数並に政府ノ決定シタル生産計画並に此等ヲ表示スル図書物件  四 全国又ハ一地方に於ケル軍用に供スル重要ナル物資ノ貯蔵額及貯蔵設備ノ貯蔵能力、此等ノ判定資料タル重要ナル貯蔵設備ノ当該物資ノ貯蔵額及貯蔵能力、政府ノ決定シタル当該物資ノ貯蔵計画並に此等ヲ表示スル図書物件  五 政府ガ貯蔵セシメタル軍用に供スル重要ナル物資ノ貯蔵額、政府ガ当該物資ヲ貯蔵セシメタル貯蔵設備ノ貯蔵能力、政府ノ決定シタル当該物資ノ貯蔵命令等に係ル貯蔵計画並に此等ヲ表示スル図書物件  六 全国若ハ一地方又ハ重要ナル港湾に於ケル軍用に供スル重要ナル物資ノ輸入額及政府ノ決定シタル輸入計画並に此等ヲ表示スル図書物件  七 全国又ハ一地方に於ケル軍用に供スル特殊技能者其ノ他ノ重要ナル人的資源ノ総数又ハ種類別数及此等ヲ表示スル図書物件  八 全国又ハ一地方に於ケル軍用に供スル航空機、自動車又ハ馬ノ総数又ハ種類別数

予防拘禁所官制 1941年05月13日

予防拘禁所官制(原文:ひらがな、一部新字体化) 勅令第五百五十七号    豫防拘禁所官制 第一条 予防拘禁所は司法大臣の管理に属す 第二条 予防拘禁所に左の職員を置く   所長   救導官   専任二人  奏任   救導官補  専任二人  判任   書紀    専任二人  判任 第三条 所長は救導官を以て之に充つ司法大臣の指揮監督を承け予防拘禁所の事務を掌理し所部の職員を指揮監督す  所長事故あるときは上席の救導官其の職務を代理す 第四条 救導官は所長たる者を除くの外所長の命を承け予防拘禁所の事務を掌る 第五条 救導官補は上司の指揮を承け予防拘禁所の事務に従事す 第六条 書紀は上司の指揮を承け庶務に従事す 第七条 第二条に掲ぐる職員の外予防拘禁所に救導を置く判任官の待遇とす其の任免は所長之を行ふ  前項に規定するものの外救導に関する規程は司法大臣之を定む 第八条 予防拘禁所の名称及位置は司法大臣之を定む    附 則 本令は昭和十六年五月十五日より之を施行す (国立公文書館:予防拘禁所官制・御署名原本・昭和十六年・勅令第五五七号)

第一次日韓協約 1904年08月22日

第一次日韓協約 (口語訳、署名省略) 1 韓国政府は日本政府の推薦する日本人一名を財務顧問として韓国政府に招聘し、財務に関する事項は総てその意見を伺い施行することとする。 2 韓国政府は日本政府の推薦する外国人一名を外交顧問として外部より招聘し、外交に関する要務は総てその意見を伺い施行することとする。 3 韓国政府は外国との条約締結その他重要なる外交案件、即ち外国人に対する特権譲与若しくは契約等の処理に関しては予め日本政府と協議することとする。 (原文:一部新字体化)     日韓協約 一 韓國政府ハ日本政府ノ推薦スル日本人一名ヲ財務顧問トシテ韓國政府ニ傭聘シ財務ニ關スル事項ハ總テ其意見ヲ詢ヒ施行スヘシ 一 韓國政府ハ日本政府ノ推薦スル外國人一名ヲ外交顧問トシテ外部ニ傭聘シ外交ニ關スル要務ハ總テ其意見ヲ詢ヒ施行スヘシ 一 韓國政府ハ外國トノ條約締結其他重要ナル外交案件即外國人ニ對スル特權讓與若クハ契約等ノ處理ニ關シテハ豫メ日本政府ト協議スヘシ 明治三十七年八月二十二日        特命全權公使 林 權 助 光武八年八月二十二日        外部大臣署理 尹致昊  (日本外交文書第37巻第1冊6)

大東亜戦争集結に関する詔書 1945年08月14日

大東亜戦争集結に関する詔書(原文:一部ひらがな、一部新字体化) 大東亜戦争集結に関する詔書 朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク 朕ハ帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ 抑〻帝国臣民ノ康寧ヲ図リ万邦共栄ノ楽ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ米英二国ニ宣戦セル所以モ亦実ニ帝国ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他国ノ主権ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス然ルニ交戦已ニ四歳ヲ閲シ朕カ陸海将兵ノ勇戦朕カ百僚有司ノ励精朕カ一億衆庶ノ奉公各〻最善ヲ尽セルニ拘ラス戦局必スシモ好転セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之敵ハ新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戦ヲ継続セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招来スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神霊ニ謝セムヤ是レ朕カ帝国政府ヲシテ共同宣言ニ応セシムルニ至レル所以ナリ 朕ハ帝国ト共ニ終始東亜ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ対シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝国臣民ニシテ戦陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内為ニ裂ク且戦傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ惟フニ今後帝国ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス 朕ハ茲ニ国体ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ乱リ為ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム宜シク挙国一家子孫相伝ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ総力ヲ将来ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ国体ノ精華ヲ発揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ体セヨ  御名 御璽   昭和二十年八月十四日 内閣総理大臣男爵 鈴木貫太郎 海軍大臣     米内光政 司法大臣     松阪広政 陸軍大臣     阿南惟幾 軍需大臣     豊田貞次郎 厚生大臣     岡田忠彦 国務大臣     桜井兵五郎 国務大臣     左近司政三 国務大臣     下村

満洲国指導方針要綱 1933年08月08日

満洲国指導方針要綱(原文:ひらがな、一部新字体化)                      昭和八年八月八日                      閣議決定      満洲国指導方針要綱        方   針 大日本帝国の満洲国指導は日満議定書の精神に基き満洲国をして大日本帝国と不可分的関係を有する独立国家として進歩発展せしむることを以て其の根本方針と為す        要   綱 一、帝国の満洲国指導は力めて満洲国の社会的特性に順応し其の独立の体面と旧来の慣習とを尊重しつつ民族協和と安居楽業とを実現せしめ以て上下官民に光明と安心とを与へ万民喜んて建国の大業完成に邁進する如くするものとす固より此の間帝国の指導的威力の絶えさる潜在的躍動を保続するを要す 二、満洲国の国家根本組織、国防、治安及外交に関する事項、日満経済運営上特に重要なる基礎的事項並に国礎確立に関する重大内政事項に就ては積極的に之を指導するも爾余の点に就ては満洲国要路の自由活動に委するものとす 三、満洲国に対する指導は現制に於ける関東軍司令官兼在満帝国大使の内面的統轄の下に主として日系官吏を通して実質的に之を行はしむるものとす  日系官吏は満洲国運営の中核たるへきを以て之か簡抜推挙を適正ならしめ之に本指導方針を徹底せしむるに付万遺憾なきを期すると共に特に此等日系官吏の活動の中心を得しめ其の統制に便する為総務庁中心の現制を維持せしむるものとす 四、満洲国は立憲君主制を究極の目標とするも当分は現制を維持し正式憲法は慎重熟議の上之を制定せしむるものとす  満洲国に於ける政党其他の政治的団体は当分之を存在せしめさることを期するものとす 五、満洲国の行政は極端なる中央集権を排し成し得る限り地方自治の伝統を尊重し之と中央集権との調和に努めしめ各般制度の改革は漸を以て進ましむるものとす 六、満洲国の陸海軍備は国内の治安維持上必要なる限度に之を止めしむると雖も隣接国に対し必要なる防禦的設備、艦船等は所要に応し逐次之か整備に努めしむるものとす 七、満洲国の治安維持に就てに同国成立の特殊性と同国内外の事情とに鑑み特に査察機関を整備せしめ関東軍と連繋の上内外各種の国家破壊運動を未然に防遏することに努めしむるものとす尚治安に関しては満洲民族の特性たる自警能力の利用に遺憾なきを期するを要す 八、満洲国の外交政策は東洋の平