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国家総動員上緊急を要する諸政策の徹底強行に関する件 1938年06月23日

 国家総動員上緊急を要する諸政策の徹底強行に関する件(ひらがな化、一部新字体化)     國家總動員上緊急ヲ要スル諸政策ノ徹底强行ニ關スル件 支那事変は今や徐州陥落に因り戦局の一大進展を見るに至れりと雖も其の前途は猶遼遠にして国民は益々堅忍持久の覚悟を固むるの要緊切なるものあり 今回内閣に於て国家総動員会議を開き国家総動員の実施に関し各省より報告を求め之が審議を行ひたるが其の結果に徴すれば輸出の減退其の他の事由に因る国際収支の不均衡甚しく曩に策定せる昭和十三年物資動員計画の実現は極めて困難なるに至れり 此の状勢に対し当面を糊塗し荏苒推移するに於ては刻下喫緊の要務たる軍需の充足、生産力の拡充等の遂行に一大支障を来し重大なる結果を招来するの虞あり 依て此の際政府は一大決意を以て諸般の施設を戦争目的の遂行に集中し官民の時局の重大性に対する認識を深め之に処する国民の一大覚悟を促す為声明を発すると共に断乎各般の障碍を排除し国家存立上緊急と認むる左の諸方策を強行することとす 一 為替相場の堅持、軍需資材の供給確保、輸出の振興及国民(消費者)生活維持の為現在以上の物価騰貴を抑制するに必要なる措置を講ずると共に基準価格又は公定価格の設定等の外消費節約及配給統制を併せ強化し物価の引下を行ふこと 二 一般物資に付極力消費節約を図ること 特に輸入物資に付ては必要に応じ使用制限乃至禁止規則を制定し代用品の使用を強制する等の方法に依り国内不急用途に対する物資の消費節約を徹底強化すること 三 輸出増進の為総合計画の下に之が一般的促進策を強化する外 イ 貿易行政機能を一元化すること ロ 製品の輸出と其の原料材料の輸入とをリンクせしむる等の方法に依り輸出用原料材料の輸入を確保すること ハ 輸入原料材料に付之を国内消費用と輸出用とに区別し輸出用原料材料の国内消費転用を徹底的に防止すること ニ 諸外国に於ける日貨排斥の風潮を防止する為特別の措置を講ずること ホ 必要なる特定品に対する補助金の交付、民間貿易機構の改編等に付徹底的措置を講ずること 四 主要物資に付速に輸入及配給の機構を完備すること 五 為替資金拡充の為在外資金の動員を行ふこと 六 戦時利得の抑制合理化に努むること 七 貯蓄の普及徹底を図ること 八 簡素なる非常時国民生活様式確立の為国民運動を起すと共に政府側に於ても官吏自ら範を示す等所要の

北支那開発株式会社設立要綱 1938年03月14日

 北支那開発株式会社設立要綱(ひらがな化、一部新字体化) 北支那開發株式會社設立要綱 帝国政府決定の北支那経済開発方針に基き日満北支経済を緊密に結合して北支那の経済開発を促進し以て北支那の繁栄を図り併て我国国防経済力の拡充強化を期する為北支那開発株式会社を設立するものとす 一、本会社は特別法に基く日本法人とす 二、本会社の資本金は三億五千万円とし日本政府及日本政府以外の者に於て夫々一億七千五百万円宛を出資するものとす   日本政府出資の中約一億五千万円は現物に依るものとす   日本政府以外の者よりの出資は一般より之を公募す   本会社の資本金は政府の認可を受け増加することを得るものとす 三、本会社に対する日本政府以外の者の出資に対しては優先配当権を認め又会社に対する一定期間の利益補給に依り配当の確実を期する等適当なる優遇方法を講するものとす 四、本会社は左の事業に投資又は融資し其の事業を統合調整するものとす (一)主要交通運輸及港湾事業 (二)主要通信事業 (三)主要発送電事業 (四)主要鉱産事業 (五)塩業及塩利用事業 (六)其の他北支那の経済開発促進上特に統合調整を必要とする事業にして政府の認可を受けたるもの   本会社は右に掲けたる諸事業を実行すへき子会社の設立に当りては予め政府の承認を得るものとす 五、本会社は払込資本金の五倍迄社債を発行することを得るものとす   政府は右社債の元利支払に付保証の方法を考慮するものとす 六、政府は本会社に対し登録税並に開業の年及其の翌年より九年間所得税及営業収益税に関し特典を与ふるものとす 七、本会社に総裁一人、副総裁二人、理事五人以上、監事二人以上を置く   総裁及副総裁は勅栽を経て政府之を命し理事は株主総会に於て選任し政府の認可を受くるものとす   本会社に顧問を置くことを得顧問は政府の許可を受けて会社之を委嘱するものとす 八、政府は毎営業年度の投資及融資に関する計画其の他重要事項の認可(別紙の方法に依る)、監理官の設置、軍事上又は本会社の目的遂行上必要なる命令等に依り本会社を監督するものとす   軍事上又は本会社の目的遂行上必要なる命令に因り政府の補償を要するか如き場合は予算の範囲内に限るものとす 九、政府は新政権をして本会社及其の子会社に対し適当なる優遇方法を講せしむる様努むるものとす 別紙 一、北支那開発株式会社の

中支那振興株式会社設立要綱 1938年03月14日

 中支那振興株式会社設立要綱(ひらがな化、一部新字体化)     中支那振興株式會社設立要綱 中支方面(当分は現占拠地域)に於て主として公共的性質を有する諸事業の実権を我方に把握すると共に日支共栄の精神に基き該区域に於ける経済の復興及建設を助成し且之を統一的に指導する為中支那振興株式会社を設立し公共の利益に関する事業、産業振興上必要なる事業等に対し投資及融資を為さしめ必要に応し之が経営に当らしむるものとす 一、本会社は特別法に基く日本法人とし本店を上海に置くものとす 二、本会社の資本金は一億円とし日本政府及日本民間に於て夫々五千万円宛を出資するものとす   本会社の資本金は政府の認可を受け増加することを得るものとす 三、本会社に対する民間出資に対しては優先配当権を認め又会社に対する一定期間の利益補給に依り配当の確実を期する等適当なる優遇方法を講ずるものとす 四、本会社に対する出資者は差当り日本側のみを予定するも将来支那側及満洲側の参加をも認むる建前とす   本会社の子会社たる事業会社に対しては日満支以外の第三国の出資をも認むるものとす 五、本会社は左の事業に対する投資又は融資を為すものとす (一) 交通、運輸、通信に関する事業 (二) 電気、瓦斯、水道に関する事業 (三) 鉱産に関する事業 (四) 水産に関する事業 (五) 其の他公共の利益又は産業の振興の為必要なる事業にして政府の認可を受けたるもの   本会社は投資及融資を主たる事業とするも特殊の事情ある場合に於ては政府の認可を受け前項各号の事業を自ら経営することを得るものとす   本会社は右に掲げたる諸事業を実行すべき子会社の設立に当りては予め政府の承認を得るものとす 六、本会社は払込資本金の五倍迄社債を発行することを得るものとす   政府は右社債の元利支払に付保証の方法を考慮するものとす 七、本会社に総裁副総裁各一人、理事三人以上、監事二人以上を置き総裁及副総裁は勅裁を経て政府之を命じ理事は株主総会に於て選任し政府の認可を受くるものとす 八、政府は毎営業年度の投資及融資に関する計画其の他重要事項の認可(別紙の方法に依る)、監理官の設置、軍事上又は本会社の目的遂行上必要なる命令等に依り本会社を監督するものとす   軍事上又は本会社の目的遂行上必要なる命令に因り政府の補償を要するか如き場合は予算の範囲内に限るものと

第二次国体明徴声明 1935年10月15日

 第二次国体明徴声明(ひらがな化、一部新字体化) 曩に政府は国体の本義に關し所信を披瀝し以て国民の嚮ふ所を明にし愈々其精華を發揚せんことを期したり 抑々我国に於ける統治權の主体が天皇にましますことは我国体の本義にして帝国臣民の絶對不動の信念なり帝国憲法の上諭竝條章の精神亦茲に存するものと拝察す然るに漫りに外国の事例學説を援いて我国体に擬し統治權の主体は 天皇にましまさすして国家なりとし 天皇は国家の機關なりとなすか如き所謂天皇機關説は神聖なる我国体に戻り其本義を愆るの甚しきものにして嚴に之を芟除せさるへからす政教其他百般の事項總て萬邦無比なる我国体の本義を基とし其眞髄を顯揚するを要す 政府は右の信念に基き茲に重ねて意のあるところを闡明し以て国体觀念を愈々明徴ならしめ其實績を收むる爲全幅の力を效さんことを期す (国立公文書館:国体明徴ニ関スル再声明ヲ通牒ス A01200686500)

対満関係機関の調整に関する件 1934年09月14日

 対満関係機関の調整に関する件(ひらがな化、一部新字体化)  昭和九年九月十四日   對滿關係機關ノ調整ニ關スル件 第一 内閣に対満事務局(仮称)を新設し之に拓務省所管の対満関係事項の大部を移管し以て対満国策の統一を計ると共に中央機関と現地機関との密接なる連繋を期すること 第二 対満事務局に総裁の外次長(仮称勅任)以下の職員を置くこと  総裁の組織は其の地位の重要なることに顧み権威あるものたらしむる様特に考慮すること  総裁又は次長の中一名は現役武官を以て之に充つること  尚対満事務局には専任文官の外関係各庁高等官より参与を命し事務官を補する等事務連絡上必要なる措置を執ること 第三 駐満全権大使及其の下に在る外交官は現行制に基きて之を存置すること 第四 駐満全権大使に対し南満洲鉄道株式会社及満洲電信電話株式会社の監督、関東州知事其の他の監督並に満鉄附属地の行政の権限を附属せしむること(単行の勅令に依る) 第五 右第四に掲くる権限の行使に付ては駐満全権大使は内閣総理大臣の監督に属すること 第六 駐満全権大使は関東軍司令官をして之を兼ねしむること 第七 第四に掲くる事項の掌理に当らしむる為駐満大使館に行政事務局(仮称)を設置し事務局長(仮称勅任)及之に属する職員を置くこと  右事務局長及附属職員の身分は内閣総理大臣の系統に属し其の行ふ事務(渉外事項を除く)に付ては内閣総理大臣の監督を受くる資格に於ける大使の指揮監督を受くること  行政事務局と外交官との間の事務連絡を円滑ならしむる為専任の大使館参事官の外に事務局長を兼任大使館参事官と為し得ることを勅令に明定すること  尚必要に応し軍参謀長は事務局長を兼ね得ることを勅令に明定すること 第八 事務局長の下に必要の部課(例ヘは官房、総務部、警務部、監理部)を置くこと尚行政事務局の組織は出来得る限り簡素ならしむること 第九 関東州に関東州知事を置き駐満大使の監督に属せしむること  法院、逓信局、旅順工科大学等も大使の監督に属せしむること 第十 行政事務局の警務部長には関東憲兵隊司令官を、監理部長には関東軍交通監督部長を以て之に充つることを得ること  行政事務局には軍部より補職する事務官及外交官領事官より兼任する事務官を置くこと 第十一 満洲に於ける日本側警察諸機関は関東憲兵隊司令官に於て之を統一指揮する途を拓くこと 第十二 日満

連盟総会における日本代表の引揚げその他対策に関する閣議決定 1933年02月20日

 連盟総会における日本代表の引揚げその他対策に関する閣議決定(ひらがな化) 昭和八年二月二十日 閣議決定 一、帝国政府は二月一日閣議決定の結果臨時総会に対する帝国代表に対し同総会か規約第十五条第四項の適用に移りたる場合我方に於て連盟脱退の措置に出つるや否やは同項に基く報告書の内容を慎重検討したる上自主的に之を決定すヘきことを電訓せる次第なり 二、然るに今般連盟側の提示し来れる報告書案に依れは帝国代表の努力に拘らす我か対満方針と相容れさる所述並に勧告を為し居る処我方としては連盟の態度如何に拘らす既定の方針を遂行せさるを得す従て総会に於て該報告書案の採択を見る場合には帝国政府としては帝国と連盟との関係に付連盟脱退の方針を定め帝国憲法上の手続を執るの要あるに付我方としては差当り左記手順に依り臨時総会に対する帝国代表の引揚を行ふと共に総会の採択せる報告書に対し第十五条第五項に基く陳述書を公表すヘし (一)引揚の時期は総会に於て我方の立場を闡明する声明をなし且報告書の採択に対し反対投票をなしたる上即時之を行ふこと (二)前記引揚は臨時総会閉会に伴ふ当然の引揚と同一視せられ其の政治的効果面白からさるに付前項の声明中には「総会の採択せる報告書は我方の承認し得さるものにして茲に帝国政府は日支紛争事件に関し連盟と協力し得る限度に達したるものと認むると共に帝国と連盟とは東洋平和の確立に関する所信を異にせることを体得せり」等の趣旨を明示すること 三、尚愈々連盟脱退の場合には之に伴ふ内外機微の情勢に対し特に慎重の考慮を払ひ善処するを要するを以て既定の対満方針に邁進する一方対支、対露其の他欧米諸国との関係に於ては努めて公正の態度を持し厳に事端の発生を避くると共に一般的平和事業には引続き誠意を以て参与するの方針を執り以て脱退に伴ふ内外の不安を緩和するに努むヘく而して右趣旨を中外に徹底せしむる為厳粛にして適切なる手段を講すヘし (日本外交文書デジタルコレクション 満洲事変第3巻P509~510)

満洲事変解決に関する方針 1931年09月30日

 満洲事変解決に関する方針(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり)    満洲事變解決ニ關スル方針 一、満蒙問題解決の対象  (イ)満蒙を支那本部より政治的に分離せしむる為我帝国に■■する独立政権の設定を促し    初期は三、四個所に地方政権を設立せしめ適当の時期に中央政権を樹立せしむ    之を対象として懸案の根本的解決を図り帝国の政治的経済的地位を確立す  (ロ)張学良、南京政府又は現在の儘の広東政権との間に真面目の交渉を進むることは厳に之を避く 二、支那本部に対する策案  第一項の解決■■支那本部諸政権との間に起くへき紛争を憂慮し満蒙問題解決方針を緩和することは絶対に拒否すへきものとす但し支那本部政権をして満蒙に生する新事態を黙認又は是認せしむる■北支及中支■■■■■■■■■■■■■相互■■■■■■■とす  (1)北支那に於ける張学良の勢力を一掃し反蒋勢力又は北洋軍閥を■■■■■■す  (2)広東政府を支持し南京政府の瓦解を策す 三、国民■■■  満蒙問題の解決は必然的に米国の又時として国際連盟の干渉を招来すへきことを予期せさるへからす  之か為 (イ)対外宣伝に力を用ひ (ロ)我国民をして満蒙問題解決の目標として進むへき最少限度を理解認識せしめ且米国又は連盟の干渉に際し挙国一致之を排撃する決意を涵養するの手段を講するを要す (国立公文書館:16.満洲事変解決ニ関スル方針 9月30日 C12120034100)

満蒙問題処理案 1931年00月00日

 満蒙問題処理案(ひらがな化、一部新字体化)    満蒙問題処理案           昭和六年春           関東軍司令部 最近国内識者の輿論真剣味を帯ひ内は国内の改造問題に外に対しては満蒙問題の積極的解決に向て進みつつあるは確に一進歩と称することを得へし 然れとも尚ほ機運の熟する迄には一層の努力と準備とを必要とす 之か為研究を要する件概ね左の如し 一、日本民族発展の指導原理を確立し所要に応して之を世界に宣布すると共に国内平和論者乃至は左傾派の抬頭の余地なからしむ 二、国内輿論の高調   軍部は益々結束を堅くし戦争準備を完全にし必勝の信念を以て政府を鞭撻し国内輿論を指導す   特に現政権を支配しある実際の勢力を動かすことに着目す 三、満蒙問題解決の実行方法   即ち解決の端緒を如何なる方法に求むへきや現状を如何なる方法にて打破し如何に建設すへきや等の具体的方案の研究 四、満蒙に対し漸進的解決の方法を採る場合に於て如何なる段階を踏むへきものなりや   右は最も研究を要する緊急の問題なるか就中第三項と第四項とは関東軍として十二分に研究を要する問題なり   1.完全なる領土とす   2.保護国となす    (支那本土と完全に分離独立す朝鮮の統監政治の如し)   3.二十一ヶ条程度の要求    (商祖、鉄道問題の外第五項の警察権、顧問、兵器統一等を含む)   4.山条(満鉄総裁山本条太郎)程度の要求    (商租権並鉄道問題等従来の懸案の解決) 満蒙問題解決の実行の形式に関し概ね次の如く予想す 一、直接法に依り恰かも往年日支交渉の例に於けるか如く支那政府(又は東北四省政府)に対し従来の懸案を提けて最後通牒を送る 二、局面の変化発生の機会を利用す   要すれは進て機会を促進す   尚ほ本案には次の二つの場合あり   1.支那の現政情の変化を利用すること     之か為要すれは所望の方向に之を促進助長す   2.東北四省の内部に或種の謀略を行ひ利用し得へき機会を作成す  第一.直接法に依る案  此の方法は正々堂々我主張を貫徹する方法にして政府の決意だにあらは時機の如きは問ふ所に非す 本案は従来の一党一派を操縦するか如き弊を免れ簡明直截に効果を収むるの利あるも某程度の解決に留まり根本的解決に出つること能はさる害あり 此の際の主張は概ね次の如きものなるへし  一、邦人の満

新体制準備会第一回会議に於ける近衛内閣総理大臣声明 1940年08月28日

 新体制準備会第一回会議に於ける近衛内閣総理大臣声明(一部新字体化) 新體制準備會第一囘會議に於ける近衛內閣總理大臣聲明  今や我が国は世界的大動乱の渦中に於て、東亜新秩序の建設といふ未曾有の大事業に邁進しつつある。この秋に当り世界情勢に即応しつつ能く支那事変の処理を完遂すると共に、進んで世界新秩序の建設に指導的役割を果す為には、国家国民の総力を最高度に発揮してこの大事業に集中し、如何なる事態が発生するとも独自の立場に於て迅速果敢且有効適切に之に対処し得るやう、高度国防国家の体制へ整へねばならぬ。而して高度国防国家の基礎は強力なる国内体制にあるのであつて、ここに政治、経済、教育、文化等あらゆる国家国民生活の領域に於ける新体制確立の要請があるのである。  この要請は一内閣一党派一個人の要請を遥に超えたる国家的要請であり、又何等か特定の政策の為にのみ必要とされる一時的な要請でも無く必要に応じて如何なる政策をも強力に遂行し得る為の恒常的なる要請である。今我が国が、かくの如き強力なる国内新体制を確立し得るや否やは、正に国運興隆の成否を決定するものといはねばならぬ。  かかる新体制に含まるるものとしては、先づ、統帥と国務との調和、政府部門の統合及能率の強化、議会翼賛体制の確立等が挙げられねばならぬ。之等の事項については、政府の立場に於ても鋭意その実現を期しつつある。併しながら更に重要なるは之等の基底を為す万民翼賛の所謂国民組織の確立であつて、ここに準備会を招請し協議協力を求めんとするのも、正にとの問題についてである。  この国民組織の目標は、国家国民の総力を集結し、一億同胞をして生きた一体として等しく大政翼賛の臣道を完うせしむるにある。かかる目標を逹成するには、全国民がその日常生活の職場々々に於て翼賛の実を挙げ得るやうにせねばならぬのである。思ふに従来の如く国民の大多数が、三年か四年に一度の投票により選举に参加するのみを以て、政治と関係する唯一の機会とするが如き状態にあつては、国民全部が国家の運命に熱烈なる関心を持ち得なかつたのも寧ろ当然といふべきであらう。  国民組織は国民が日常生活に於て国家に奉公する組織なるが故に、それは経済及文化の各領域に亘つて樹立されねばならぬ。即ち経済に於ても文化に於ても、あらゆる部門がそれぞれ縦に組織化され、更に各種の組織を横に結んで統合するとこ

国民精神総動員に関する内閣告諭・訓令 1937年09月09日

 国民精神総動員に関する内閣告諭・訓令(ひらがな化、一部新字体化) 內閣告諭號外 第七十二回帝国議会開院式に当り優渥なる 勅語を賜ひ帝国の嚮ふ所を明にし国民の進むべき道を示させ給へり 聖慮宏遠にして真に恐懼感激に堪へざるなり 惟ふに帝国は東亜の安定を望み常に日支両国の相提携して以て世界平和の基を樹てんと欲す是れ比隣其の幸を一にし列国其の福を同じくするの道にして帝国一貫の国是なり然るに支那は常に隣交の誼を忘れ信義を失し永年排日抗日を以て国策とし帝国の権益を侵して暴状を極め遂に今次の事変を生ずるに至れり 今や出征の将兵外に膺懲の歩武を進め銃後の国民内に奉公の至誠を致す然りと雖今次の事変は其の由つて来る所遠く事態の推移亦遽に予断を許さざるものあり此の秋に当り国民斎しく時局の重大性に鑑み益々堅忍不抜の志操を堅持して今後に来るべき如何なる艱難にも堪へ所期の目的を貫徹する為敢然邁進するの決意あるを要す 凡そ難局を打開し国運の隆昌を図るの道は我が尊厳なる国体に基き尽忠報国の精神を益々振起して之を国民日常の業務生活の間に実践するに在り今般国民精神の総動員を実施する所以も亦此に存す 古来我が国民は艱難に遭遇するや必ず之を克服し以て国家興隆の成果を収めざるなし時局に際し国民深く如上の趣旨を体し忠誠公に奉じ和協心を一にし日本精神を昻揚して挙国一致の実を挙ぐると共に之を実践に現して愈々国力の伸張を図り以て 皇運を扶翼し奉る所あるは本大臣の深く全国民に期待する所なり     昭和十二年九月九日                   内閣総理大臣  公爵  近  衛  文  麿 內閣訓令號外                               各    官    庁 第七十二回帝国議会開院式に当り優渥なる 勅語を賜ひ帝国の嚮ふ所を明にし国民の進むべき道を示させ給へり 聖慮宏遠洵に恐懼感激に禁へず 惟ふに今次の事変は其の由つて来る所遠く事態の推移亦遽に予断を許さざるものあり 此の秋に当り職を官に奉ずる者は斎しく時局の重大性に鑑み堅忍不抜の志操を堅持して今後に来るべき如何なる艱難にも堪へ和協一心奉公の至誠を致し以て所期の目的貫徹の為に邁進するの決意あらんことを要す 凡そ難局を打開し帝国の興隆を図るの道は我が尊厳なる国体に基き尽忠報国の精神を振起して之を日常の業務生活の間に具現せしむるに在り

対満事務局官制 1934年12月26日

 対満事務局官制(ひらがな化、一部新字体化) 勅令第三百四十七号    對滿事務局官制 第一条 対満事務局は内閣総理大臣の管理に属し左の事務を掌る 一 関東局に関する事務 二 各庁対満行政事務の統一保持に関する事務 三 渉外事項に関するものを除くの外満洲に於ける拓殖事業の指導奨励に関する事務 四 南満洲鉄道株式会社及満洲電信電話株式会社の業務の監督 第二条 対満事務局に左の職員を置く   総裁        親任   次長    一人  勅任   秘書官   一人  奏任   事務官 専任五人  奏任   属   専任十二人 判任   通訳生 専任一人  判任 秘書官は事務官其の他高等官をして之を兼ねしむ 第三条 前条の事務官の外事務官四人を置く内閣総理大臣の奏請に依り陸軍佐尉官同相当官又は海軍佐尉官の中より内閣に於て之を補す 第四条 前二条の職員の外内閣総理大臣の奏請に依り関係各庁高等官の中より内閣に於て事務官を命ずることを得 第五条 対満事務局に参与を置き局務に参与せしむ  参与は内閣総理大臣の奏請に依り関係各庁勅任官の中より内閣に於て之を命ず 第六条 総裁は内閣総理大臣の指揮監督を承け局務を統理し所部の職員を指揮監督し判任官の進退を専行す  総裁は第一条第三号の事務に付外務大臣を経由し領事官を指揮監督す 第七条 次長は総裁を佐け局務を掌理す 第八条 秘書官は総裁の命を承け機密に関する事務を掌る 第九条 事務官は上官の命を承け事務を掌る 第十条 属は上官の指揮を承け庶務に従事す 第十一条 通訳生は上官の指揮を承け翻訳及通弁に従事す    附 則 本令は公布の日より之を施行す (国立公文書館:御署名原本・昭和九年・勅令第三四七号・対満事務局官制 A03021962500)

内閣審議会官制 1935年05月10日

 内閣審議会官制(ひらがな化、一部新字体化) 勅令第百八号    内閣審議會官制 第一条 内閣審議会は内閣に隷し其の諮問に応じて重要政策に付調査審議す  内閣審議会は重要政策に付内閣に建議することを得 第二条 内閣審議会は会長一人、副会長一人及委員十五人以内を以て之を組織す 第三条 会長は内閣総理大臣を以て之に充つ  副会長は国務大臣の中より之を勅命す  委員は練達堪能の者の中より簡抜して之を勅命す 第四条 会長は会務を総理す  副会長は会長を補佐し会長事故あるときは其の職務を代理す  会長副会長共に事故あるときは内閣総理大臣の指名する委員会長の職務を代理す 第五条 国務大臣は会議に出席して意見を陳述することを得 第六条 内閣審議会の議事に関する規則は内閣総理大臣之を定む 第七条 内閣審議会に幹事を置く内閣書記官長、法制局長官及内閣調査局長官を以て之に充つ  幹事は会長及副会長の指揮監督を承け庶務を整理す 第八条 内閣審議会の庶務は内閣調査局之を掌る    附 則 本令は公布の日より之を施行す (国立公文書館:御署名原本・昭和十年・勅令第一一八号・内閣審議会官制 A03021988600)

満洲事変に関する国際連盟理事会決議 1931年09月30日

 満洲事変に関する国際連盟理事会決議(ひらがな化) 滿洲事變ニ關スル國際聯盟理事會決議   国際連盟理事会は満洲事変に關し九月三十日左の決議を採擇せり 理事会は 一、理事会議長か日支両国に致せる緊急通告に対する両国の回答及該通告に從ひ為されたる措置を了承す 二、日本か満洲に於て何等領土的目的を有せさる旨の日本政府の声明の重要なるを認む 三、日本政府は其臣民の生命の安全及其財產の保護か有効に確保せらるるに從ひ日本軍隊を鉄道附属地内に引かしむる為旣に開始せられたる軍隊の撤退を出來得る限り速に続行すヘく、最短期内に右の意嚮を實現せんことを希望する旨の日本代表の声明を了承す 四、支那政府は日本軍隊撤退の續行竝支那地方官憲及警察力恢復の成就に從ひ鐵道附屬地外に於ける日本臣民の安全及其財產の保護の責任を負ふヘき旨の支那代表の声明を了承す 五、両国政府か両国間の平和及良好なる了解を撹乱する虞ある一切の行為を避けんことを欲するを信し、両国政府は各自に事件を擴大し又は事態を惡化せさる為の必要なる一切の措置を執るヘしとの保障を日支両国代表より與ヘられたる事實を了承す 六、両当事国に対し其間の通常關係の恢復を促進し且之か為前記約定の履行を續行且速に終了する為両国か一切の手段をつくすヘきことを求む 七、両当事国に対し事態の進展に關する完全なる情報を屢々理事会に送らんことを求む 八、緊急会合を餘儀なくするか如き未知の事件發生せさる限り十月十四日(水曜日)同期日に於ける事態審査の為更に壽府に会合す 九、理事会議長か其同僚特に両当事国代表の意見を求めたる後、事態の進展に關し当事国又は他の理事会員より得たる情報に依り前記理事会招集の必要なきに至れりと決定する場合は右招集を取消すことを議長に許可す (国立公文書館:1 満洲事変関係発表集(一) 1 B02030495300)

昭和十九年末頃を目途とする帝国戦争指導に関する説明 1944年07月27日

 昭和十九年末頃を目途とする帝国戦争指導に関する説明(ひらがな化、一部新字体化、表省略)      昭和十九年末頃ヲ目途トスル      帝國戰争指導ニ關スル説明      (最高戦争指導会議席上討議の参考)             昭一九・七・二七             大陸第二十班       目   次   第一  戦争指導方針確立の要に就て   第二  戦争の現段階に就て   第三  世界情勢判断に就て   第四  帝国国力戦力の推移に就て   第五  今後の戦争指導方策に就て   第一  戦争指導方針確立の要に就て 帝国は今や「マリアナ」群島の一部失陥により中部太平洋方面絶対国防圏の一角に破綻を生し而も之に関連する日米海空決戦に依り主敵対米戦力の骨幹たる帝国海軍の実質的戦力を衰耗せらるるに至り帝国戦争遂行の為の基礎条件は一変し玆に昭一八・九・三〇 御前会議決定の戦争指導方針を更改するの已むなき事態に逢着せり 而して今後の戦争指導方針決定に方りては事態推移に関し真に可能性ある見透し持すること即ち政戦両略に亘る諸施策の努力目標と実現目標とを冷静に予察把握するの要切なり 即ち真に一歩を誤らは皇統連綿たる国体の護持すらも不可能に陥るへき危険を率直に観察し死中に活を求むへく真面目なる検討を必要とすへし   第二  戦争の現段階に就て 帝国は開戦初動の有利なる態勢に於て敵を圧倒したる上速かに長期不敗の戦略態勢を確立し敵の反攻を随時随所に撃砕しつつ内に力を蓄積して機を見て攻勢に転せんとするの企図なりしも彼我実力の懸隔は遂に我か長期戦態勢完整に先たち国防複郭圏周辺に於て決戦を強要せられんとしあるの実情なり 即ち現下戦争の進度は彼我相対的の努力により滔々たる勢を発し現象的には正に決戦段階たるへく内在的には世界各国共漸く戦争終末期の様相を呈せんとしつつある状態なり   第三  世界情勢判断に就て 概ね本年末頃を目途とする世界情勢判断別冊の如くなるも其の判決的事項を述ふれは 東亜に於ては 敵は帝国に対し短期終戦を目途とし各方面相策応しつつ組織的総攻勢を続行すへく特に本土空襲と本土、南方地域との分断を目的とする攻勢作戦を重視し之に依り本年夏秋の候戦局の急速なる進展を企図すへし 又右戦局の進展に伴ひ本土上陸の機をも窺ひあるへしと判断せらる 尚敵は其の武力攻勢に策応し政謀略を益々激

対重慶政治工作指導に関する件 1943年09月24日

 対重慶政治工作指導に関する件(ひらがな化、一部新字体化)      對重慶政治工作指導ニ關スル件                  昭和十八年九月二十四日                  連絡会議決定 対重慶政治工作に関しては当分の間原則として内閣総理大臣直接汪主席の指導連絡に当る出先機関は中央の指示なき限り必要なる通信伝達の外本工作に関与せす (国立公文書館:6.対重慶政治工作ニ関スル件 B02032986000) 

重慶工作実施に関する件 1944年09月05日

 重慶工作実施に関する件(ひらがな、一部新字体化)    重慶工作實施ニ關スル件    (昭一九、八、三一) 一、方針 対重慶政治工作は大東亜戦争遂行の為重慶政権の対日抗戦を終止せしむるを以て主眼とす 二、要領 (イ)工作の系統  八月二十六日最高会議決定に依る (ロ)工作の直接担当者及重慶との連絡方法(工作路線) 1.速かに国民政府側に対し帝国の意向を明確に伝達し重慶との連絡方法(人及方法)に関し意見を具申せしめ南京現地機関(大使、軍司令官)の意見をも徴したる上最高会議に於て之を決定す 2.重慶との交渉の進捗如何に依り我方より重要人物派遣を考慮す (ハ)工作の時期  成るへく速かに工作に着手す (ニ)工作実施に当り我方に於て態度を決定すへき事項(和平条件の決定)  日華同盟条約の内容か日華関係の基準たるへきも工作実施に当りては結局左の諸点か具体的の問題たるへきに鑑み予め之に対する帝国の態度を決定するを要す 1.和平と重慶の対米英関係  全面和平後重慶か米英に対し宣戦すること(日華共同宣言及日華同盟条約の存続)最も望ましきも帝国としては其処迄要求するの要なく結局支那の好意的中立を以て満足す此の場合支那をして在支米英軍の武装解除を為さしむ(要すれは帝国軍隊を以て之を援助す)  此の場合日華同盟条約の改定を考慮す米英に対する戦争の必要存続する限り我方の軍事行動は容認せしむ 2.重慶政権と国民政府との関係  蒋介石の南京帰還、統一政府の樹立を認む(両者間の調整は能ふ限り両者の直接交渉に委す) 3.満洲国の処置  満洲国は結局に於て支那の領域たらしむることを認む(関東州租借地の返還を含む)  但し満洲国の処置に関しては対「ソ」関係を考慮するを要す) 4.台湾澎鼓島の処置  現状維持とす 5.香港の処置  支那に返還す 6.南方占領地に対する支那側の要求  南方占領地に対し或る地域の領有(又は経済開発参加)を認む 7.延安政権及共産軍の取扱  対「ソ」関係を考慮し本件は支那内政問題なりとの建前を持し差当り不即不離の態度にて進むも将来の蒋介石の対延安政権方針に対する帝国の態度は其の時の日「ソ」関係を考慮して別に決定す日蘇提携強化か先行する場合に於ては日蘇両国の延安政権援助を以て蒋介石圧迫に利す 8.支那荒廃地の復興に対する援助  戦後能ふ限り物と技術とを以て之を援助す (ホ)工

皇国外交の指針 1940年08月07日

 皇国外交の指針(一部新字体化)   皇國外交の指針             外務大臣 松 岡 洋 右  私は内外時局重大の際、図らずも外務大臣の重責を担ふこととなり、恐懼して居るのであります。この上は粉骨聖業を翼賛し奉り、一億国民協力のもとに、新らしい大東亜の建設に向つて、微力ながら努力し、国民諸君と共に現下の難局を乗切つて行きたいと考へて居ります。  未だ具体的な個々の外交方策を闡明する段階には至つて居りませんが、玆に、既に政府に於て決定した基本的外交政策の大要を述べ、今後政府の採るべき外交方針につき、国民の理解を願ふと共に、強力なる支持を得んことを熱望して居ります。  現下我が国の外交方針は、先づ支那事変処理を中心に日、満、支をその一環とする大東亜共栄圏の確立を眼目としなければなりませぬ。是はやがて力強く皇道を宣布し、公正なる世界平和を招来する所以でありまして我が国民と致しましては、この道程に横たはるところの有形無形一切の障礙は、断乎として之を排除するの覚悟がなければなりませぬ。  我が歴代内閣が、対外方針として、支那事変の処理に関して、我が国に好意を寄せる国に対しては友好的態度をとり、これに反する国に対しては、これを排撃する態度に出でたことは、固より、当然のことでありますが、私は更に一歩積極的に我が方から進んで「友邦」を多くすることに努めたいと思ふのであります。即ち旧い秩序と観念とに捉はれて、東亜の新事態に対し殊更に目を蔽ひ新世界の創造を妨害する諸国に対しては、あくまで断乎たる態度を以て臨むことは申すまでもありませんが、東亜の新事態を認識し、自らも新らしき世界建設に邁進せんとする諸国とは、寧ろこちらから進んで積極的に提携を実現して参りたいと思ふのであります。  日満支をその一環とする大東亜共栄圏の確立に南洋の含まれていることは言ふまでもありません。従来、我が国は欧州戦争に対しては不介入の方針をとつて参つたのでありますが、この方針については差当り変更を見ることは無いものと考へます。ただ今後の形勢如何に依つては、これを放棄するの已むなき事態に立至ることも予想されるのでありまして、従つて我が国の外交方策はあくまで国際的大変局を達観し、建設的にして、弾力性ある施策を講じなければならぬのであります。  以上の如く現下我が国の外交は、支那事変の処理を中心とした大東亜の建

ロンドン海軍条約 1936年03月25日

 ロンドン海軍条約(ひらがな化、一部新字体化、仮訳、一部括弧内省略、一部省略、附属文書等省略) 仮訳    千九百三十六年「ロンドン」海軍條約 (前文省略)    第一編     定 義       第一条 本条約の適用に付ては左の用語は以下に定むる意義に解せらるべきものとす       甲 基準排水量 (一) 水上艦船の基準排水量とは工事完成せられ、乗員充実せられ、機関据付けられ且航海準備(一切の武器及弾薬、斎備品、艤装品、乗員用の糧食及清水、各種の需品並に戦時に於て搭載せらるべき各種の要具を含む)完成し唯燃料及予備缶水を搭載せざる艦船の排水量を謂ふ (二) 潜水艦の基準排水量とは乗員充実せられ、機関据付けられ且航海準備(一切の武器及弾薬、斉備品、艤装品、乗員用の糧食、各種の需品並に戦時に於て搭載せらるべき各種の要具を含む)完成し唯燃料、潤滑油、清水又は「バラスト」用水は如何なる種類のものたるを問はず之を搭載せざる工事完成せる艦船(非防水構造内の水を含まず)の水上排水量を謂ふ (三)「トン」なる語は「メートル式トン」なる用語に於けるものを除くの外二千二百四十ポンド(千十六キログラム)のトンを示す       乙 艦種 (一)主力艦とは左の二艦級の一に属する水上軍艦を謂ふ (甲)航空母艦、補助艦船又は(乙)級主力艦以外の水上軍艦にして基準排水量一万トンを超ゆるか又は八インチを超ゆる口径を有する砲を搭載するもの (乙)航空母艦以外の水上軍艦にして基準排水量八千トンを超えず且八インチを超ゆる口径を有する砲を搭載するもの (二)航空母艦とは排水量の如何を問はず主として海上に於て航空機を搭載し且行動せしむる様設計せられ又は改造せられたる水上軍艦を謂ふ軍艦に降著用又は離昇用の甲板を装備することは右軍艦が主として海上に於て航空機を搭載し且行動せしむる様設計せられ又は改造せられたるものに非ざる限り右の如く装備せられたる軍艦を航空母艦の艦種に分類するに至らしむることなかるべし  航空母艦の艦種は左の二艦級に分たる (甲)航空機が離昇し又は空中より降著し得る飛行甲板を装備せられたる艦船 (乙)前記(甲)に掲げらるる飛行甲板を装備せられざる艦船 (三)軽水上艦とは航空母艦、戦闘用小艦船又は補助艦船以外の水上軍艦にして基準排水量百トンを超え一万トンを超えず且八インチを超ゆる口径を有する砲

日ソ国交調整要綱案 1940年10月04日

 日ソ国交調整要綱案(ひらがな化、一部新字体化)   (乙号)日蘇國交調整要綱案(試案)             (昭和十五、十、四 外務省) 第一、方針 支那事変の速急終結に資し対南方施策を容易ならしむると共に差当り北方より来る脅威を除き以て大東亜共栄圏の確立を促進する為左記要領に依り蘇連との間に速に飛躍的国交調整を行ふ 第二、要綱 一、日蘇両国は新条約に依り新たなる地盤の上に(「ポーツマス」条約及基本条約を離るるの意味)友好的関係に入るものとす。 二、日蘇両国は要旨次の如き不侵略協定を締結す (イ)両締約国は相互に領土及主権を尊重し侵略を為さざる義務を負ふ (ロ)締約国の一方が攻撃を受けたる場合には中立を維持す (ハ)互に締約国の一方を敵対目標とする国家群に参加せず (ニ)満蘇及満蒙国境の紛争処理及国境確定の為委員会を設置す (ホ)相互に相手国の秩序及安寧を危殆ならしむるか如き好意を相手国並支那及満洲国領域内に於て行はさるものとす (ヘ)政治経済問題調整の為速に商議を開始す (ト)条約の有効期間は十年とす 三、日蘇経済関係を新たなる立場に於て左記より調整再建す (イ)北樺太に於ける石油及石炭に関する利権及之等物資の本邦輸入を確保するに努むるものとす (ロ)蘇連側の要望も尊重し他方日本人の北洋漁業を安定せしむる目的を以て新たなる地盤の上に漁業協定を締結す (ハ)日本は支那及南洋に於て蘇の希望する資源の供給に付必要なる措置を講す (ニ)蘇連は日本と欧州との通過貿易に付出来得る限りの便宜を供与す(料金及運輸量に関し明白に規定することを期待す) 四、日満と蘇蒙の国境に非武装地帯を設定す 五、日蘇間に左記諒解の成立を期待す (イ)蘇連は内蒙及北支三省に於ける日本の伝統的関心を承認し、日本は外蒙古及新疆に関する蘇連の伝統的関心を承認す (ロ)蘇連は日本か招来大東亜共栄圏内の南方に進出することを容認すへく日本は蘇連か中央「アヂア」地方に進出することを容認す (ハ)蘇連は援蒋的態度並に所為を一擲し中国共産党の抗日性を抑制す、日本は中国共産党か西北三省(甘粛、陜西、寧夏)を地盤として存続することを容認す 第三、措置要領 (一)日蘇国交調整に付ては事前日独伊間に将来蘇連を如何に処置すべきや又如何なる限度に於て其の勢力並に発展を認むべきや等に関し隔意なき話合を為し置くものとす (二)

公私生活を刷新し戦時態勢化するの基本方策 1939年07月04日

 公私生活を刷新し戦時態勢化するの基本方策(ひらがな化、一部新字体化)    公私生活を刷新し戦時態勢化するの基本方策(案)                   (昭・一四・七・四 国民精神総動員委員会決定)  時局に照応して政治的、社会的態勢を戦時化することは此の際各般の方面に亘つて行はれねばならぬ。其の中公私生活を刷新して其の戦時態勢化を図ることは各人の努力に依り日常の生活に活かし得る場面多きが故に生活刷新運動として特に強調されねばならぬ。  今や我国の情勢は個人主義的、自由主義的生活態度の弊風を粛正して益々国民的、奉公的生活態度を強化すべき時である。事態は徒に論議に時日を遷延するを許さない。改善の要緊切なるものを事の軽重を問はず採り上げ、其の実践を通じて国民精神の緊張を促さねばならぬ。とりわけ都市に於て其の必要を痛感せざるを得ない。仍つて左の如く具体的に実行せんとする事項を定め、官民相協力し徹底的に実践に向つて邁進せんとするものである。 一、国民生活日の設定 政府は毎月一定の日を以て国民生活日と定め、特に当日は全国民戦場の労苦を偲び、強力日本建設に向つて邁進し、厳粛闊達なる気分を以て、国民生活綱要に副ひ日本精神を如実に顕現して、自粛自省、之を実際生活の上に具現し、恒久実践の源泉となす日たらしめること。 二、国民生活綱要の提唱 「挙国一致」、「尽忠報国」、「堅忍持久」の指標の下に国民生活綱要として、特に日々厳守励行すべき項目を更に高調し、地方の実情と対象とに応じて之を具体化し其の普及徹底を図ること。  国民生活綱要   (一)早起励行   (二)報恩感謝   (三)大和協力   (四)勤労奉公   (五)時間厳守   (六)節約貯蓄   (七)心身鍛錬 三、第一期刷新項目 差当り刷新項目として左の事項を採り上げ、強力に実践に力むることとし、政府は夫々其の所管事項に付適切なる措置を講ずると共に、国民精神総動員中央連盟は之が普及徹底に努力すること。尚第二期には前記の成績を検討した上更に刷新項目を追加すること。  (一)料理店、飲食店、「カフエー」、待合、遊戯場等の営業時間の短縮  (二)「ネオンサイン」の抑制  (三)一定の階層の禁酒、一定の場所の禁酒  (四)冠婚葬祭に伴ふ弊風打破就中奢侈なる結婚披露宴等の廃止  (五)中元、歳暮の贈答廃止  (六)服装の簡易化

満洲拓殖公社の設立に関する協定 1937年08月02日

 満洲拓殖公社の設立に関する協定(ひらがな化、一部新字体化、一部省略、附属文書省略) 条約第十一号    満洲拓植公社ノ設立ニ關スル協定 大日本帝国政府及満洲帝国政府は両国協力して満洲国に於ける移住を助成し満洲国国土の開発を為し以て両国間の緊密不可分の関係を益鞏固ならしめんことを希望し 之が為日満合弁の株式会社を設立するの必要なるを認め玆に左の条款を訂立せり    第一条 日満両国政府は協力して日満合弁の株式会社を設立せしめ満洲国に於ける開拓移住の助成に関する事業を経営せしむるものとす 前項の株式会社は満洲拓殖公社と称す    第二条 満洲拓殖公社(以下公社と称す)の資本は満洲国国幣五千万円とす但し日満両国政府の認可を受け之を増減することを得 公社は株金全額払込前と雖も其の資本を増加することを得    第三条 公社の株式は記名式とし日満両国の政府、公共団体若は国民又は両国の法令の何れかに依り設立したる法人にして社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上又は資本の半額以上若は議決権の過半数が両国の国民又は法人以外の者に属せざるものに限り之を所有することを得 公社の各株主は一株に付一個の議決権を有す    第四条 公社に総裁一名並に理事及監事若干名を置く 総裁は公社を代表し其の業務を総理す 総裁事故あるときは理事の一人其の職務を代理し総裁欠員のときは其の職務を行ふ 理事は総裁を補佐し公社の業務を分掌す 監事は公社の業務を監査す    第五条 公社の総裁及理事は日満両国政府之を任命す 総裁の任期は五年、理事の任期は四年、監事の任期は三年とす    第六条 公社は其の払込みたる株金額の十倍を限り社債を発行することを得 公社社債を発行せんとする場合に於ては日満両国政府の認可を受くべし 前項の社債の元利支払に付ては日満両国政府に於て各所要の手続を経たる上連帯して之が保証を為すものとす    第七条 公社の利益配当は公正なる一定率を超えざるものとす 政府持株以外の株式に対する利益配当は定款の定むる所に依り或程度の率に達する迄政府持株に優先して之を為すことを得    第八条 満洲国政府は公社に対し登録税、法人営業税、契税、木税及牲畜税を免除す    第九条 満洲国政府は移住者が公社より土地の分譲を受けたる場合移住者に対し契税を免除す    第十条 公社が移住者に譲渡したる不動産及不

満蒙鉄道に関する件 1924年08月19日

 満蒙鉄道に関する件(ひらがな化、一部新字体化、附属文書省略)     滿蒙鐵道ニ關スル件 満蒙鉄道に関し別紙の通り閣議決定相成度此段及請議候也      満蒙鉄道に関する閣議案 満蒙地方に於ける鉄道網の拡張は同地方の経済的発展と治安維持に資する所尠からさるへく従て之か為日支両国の裨益する所大なるものあるへきに顧み帝国政府は多年右促進に留意し随時必要なる措置を講し来れるか他面満蒙地方に於ける鉄道建設及鉄道に対する投資に関しては専ら南満洲鉄道会社をして其の衡に当らしむること右鉄道網の統一上最も適当と認めらるる所今回同会社代表者と東三省支那当局との間に本件に関し別紙第一号の通了解成立したる趣に付此の機会に於て左の方法に依り其の促進を図らむとす 一、此の際直に南満州鉄道会社をして洮南昻々渓間の鉄道建設を実行せしむると共に同一の形式に倣ひ速に吉林会亭線(実際に於ては差当り吉林敦化間)及長春洮南線(実際に於ては差当り長春大賚間)の建設促進を図らしむること 一、本件南満州鉄道会社代表者と東三省支那当局との間に成立せる了解に依れは奉天側に於て自ら奉天省城より海龍城に至る鉄道建設を行ふに於ては我国は開原海龍城間の鉄道を建設せさることを承認すへく又奉天側に於て開原海龍線又は奉天海龍線建設に関し外資を借入るるときは先つ我国と商議することとなり居る処別紙第二号対照表に掲記せる通り日支両国間の既成協定並支那政府と興業、朝鮮、台湾三銀行との間の契約に依り我国か支那側をして我資本を以て開原海龍線を建設せしむるの権利は今回成立せる了解の結果として放棄するの已むを得さるに至ることあるへし将又奉海線建設の暁は開海線営養地域より搬出せらるる貨物か南満鉄道を経由することにより得へき同鉄道会社の利益は之を失ふこととなるのみならす奉海線営養地域より搬出せらるる貨物中京奉線に吸収せらるるものあるは予見するに難からさる所なり然れとも大局より之を観るに(一)南満鉄道会社の受くへき前顕損失は敢て問題とするを要せさる程度のものたると(二)奉海線か将来吉林及吉林以北に延長せらるる場合と雖南満鉄道を幹線とする従来の我根本方針に何等影響を受くるの虞なきことの二点を考慮するときは結局本件東三省当局者との新了解は我国に取り何等懸念すへき事態を惹起することなかるへしと認められ且奉海及開海両線に対し外資を仰く場合には支那側より先つ

日露講和条件予定の件 1905年04月21日

 日露講和条件予定の件(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり)  明治三十八年四月二十一日閣議決定  同          日御裁決   日露講和条件予定ノ件 抑も帝国か安危存亡を賭して露国と干戈を交ふるに至りたるは其目的以て満韓の保全を維持し極東永遠の平和を確立するに在り之れ帝国の自衛を全ふし正当利権を擁護する為め緊要欠くへからさるものにして若し此目的を達せすんは帝国の地位は依然として保障を欠き他日再ひ同一部面に於て露国の為めに侵迫を 蒙るへきや必せり故に露国と和を議するに於ては左の条件は絶対に必要なりとす 一、 極東平和の最大禍源たる韓国を全然我自由処分に委することを約せしむること 二、 帝国か従来主張したる満洲保全の主義に基き一定の期限内に同地より露国軍隊を撤退せしむること尤も之と同様に我方に於ても満洲より撤兵すへきは勿論なり 三、旅順大連の経営と東清鉄道哈爾賓支線とは露国か以て南満洲に威力を振ひ進んで韓国々境を脅嚇するに至りたる侵略の利器なり故に遼東半島租借権と前期鉄道支線とは共に之を我手中に収む以て将来の禍根を杜絶すること 右は戦争の目的を達し帝国の地位を永遠に保障する為に絶対的必要の条件にして帝国政府は飽迄之か貫徹を期せさるへからす 次に戦争に附帯して生し若くは我利権拡張の為めに要する条件にして絶対的必要の条件にあらさるも事情の許す限り努めて之か貫徹を図るへきものは左の如し 一、軍費を賠償せしむること 二、戦闘の結果中立港に奔■せる露国艦艇を交付せしむること 三、薩哈嗹及其附近諸島を割譲せしむること 四、沿海州沿岸に於ける漁業権を与へしむること 惟ふに講和の条件は素より今後の戦局如何により変更を免れすと雖も我要求条件は大体上記の如くするを可とすへし尤も我方に於ては連戦連捷の功を奏したるも来る露国の死命を制すること能はさるか故に右等の要求すら之を容れしむるか為めには異常の困難あるを予期せさるへからす (国立公文書館:128.日露講和条件予定ノ件(明治三十八年四月二十一日閣議決定) B04120029300)

日英通商航海条約 1911年04月03日

 日英通商航海条約(ひらがな化、一部新字体化、附属文等省略) 条約第二号 (前文省略)     第一条 両締約国の一方の臣民は他の一方の版図内に到り、旅行し又は居住することに付完全なる自由を有すへく而して其の国法に遵由するに於ては  一 旅行及住居に関する一切の事項に付総て内国臣民と同一の基礎に置かるへく  二 商業及製造業を営み又自ら行ふと代理人に由るとを問はす且単独にて行ふと外国人或は内国臣民との組合を以てするとに論なく適法なる商業の目的物たる各種商品を取扱ふことに付内国臣民と同等の権利を享有すへく  三 産業、生業、職業及修学研究を行ふことに関する一切の事項に付総て最恵国の臣民又は人民と同一の基礎に置かるへく  四 内国臣民と同一の方法を以て必要なる家屋、製造所、倉庫、店舗及附属構造物を所有又は賃借して之を使用し且住居、商業、産業其の他適法なる目的の為土地を賃借することを得へく  五 国法に依り別国の臣民又は人民か取得占有することを得又は得ることあるへき各種の動産及不動産を相互の条件に依り且常に該国法の定むる条件及制限に反せさる限り取得占有するの完全なる自由を享有し内国臣民に対して制定せられ又は制定せらるることあるへき所と同一の条件に依り売買、交換、贈与、婚姻、遺言其の他の方法に因り之を処分することを得へく又其の財産の売得金及総て其の動産を国法に従ひて輸出するの自由を享有し外国人たるの故を以て之か為同様の場合に内国臣民の負担する所と異なるか或は之より多額なる税金を課せらるることなかるへく  六 其の身体及財産に対して常に完全なる保護及保障を享受し其の請求及権利を主張擁護せむか為自由且容易に裁判所其の他の官庁に申出つることを得且内国臣民と均しく右裁判所及官庁に於て自己を代理せしめむか為代言人及弁護士を選択使用するの完全なる自由を享有し其の他司法に関する一切の事項に付一般に内国臣民と同一の権利及特権を享有すへく  七 内国臣民又は最恵国の臣民若は人民の納付し又は納付することあるへき所と異なるか或は之より多額なる何等の租税、手数料、課金又は貢納を徴収せらるることなかるへく  八 又保税庫入に関する便益、奨励金及戻税に関する一切の事項に付内国臣民と全く均等なる待遇を享受すへし     第二条 両締約国の一方の臣民は他の一方の版図内に於て陸軍、海軍、護国軍又は民兵の何れ

旅順開城規約 1905年01月02日

 旅順開城規約(ひらがな化、一部新字体化、附属書類省略) 旅順開城規約 昨日午後九時四十五分を以て本調印を終りし開城規約本文左の如し 第一条 旅順要塞及該港にある露国の陸海軍々人及義勇兵並官吏は総て之れを捕虜とす 第二条 旅順口に於ける全堡塁、砲台、艦艇船、兵器弾薬、馬匹其他一切の軍用諸材料、官舎、官有諸物件は現状の儘之を日本軍に引渡すものとす 第三条 前二カ条を承諾するに於ては其の担保として来る一月三日正午迄に椅子山、小案子山、大案子山、及び其東南一帯の高地上にある堡塁、砲台の守備を撤し日本軍に交付すべし 第四条 露国陸海軍に於て本規約調印の当時に現存せる第二条の諸物件を破壊し又は其他の方法に於て現状を変更すと認むるときは談判を廃止し日本軍は自由の行動を取るべし 第五条 在旅順口露国陸軍官憲は旅順要塞、配備図地雷水雷、其他危険物の布設図及在旅順口陸海軍編成表、陸海軍将校官職等級氏名簿、文官々職氏名簿、軍隊艦艇名簿及其乗組人員名簿、普通人民の男女人種職業員数表を調製し日本軍に交付すべし 第六条 兵器(各人の携帯兵器を含む)弾薬、軍用諸材料、官舎、官有諸物件、馬匹、艦船艇及其内部の諸物件(私有物を除く)は悉く之を現在の位置に整置すべし其受授の方法に関しては日露両軍の委員に於て規定するものとす 第七条 日本軍は露軍の勇敢なる防禦を名誉とするに依り露国陸海軍の将校及所属官吏に携剣及び直接生活に必要なる私有品の携帯を許す又た前記将校、官吏及び義勇兵にして本戦役の終局に至るまで武器を取らず如何なる方法に於ても日本軍の利益に反対する行為を為さざることを筆記宣誓するものは本国に帰還するとを承諾す陸海軍将校には各人に一名宛の従卒を随行せしむることを許す此従卒は特に宣誓解放をなす 第八条 武装を解除したる陸海軍下士兵卒及義勇兵は其製服を着用し携帯天幕及び所要の私有物件を携へ所属将校の指揮を以て日本軍の指示する集合地に至るべし但し其詳細に関しては日本軍の委員に於て之を指示す 第九条 旅順口にある露国陸海軍の衛生部員及経理部員は病傷者及俘虜の救護給養の為め日本軍に於て必要と認むる時期迄日本軍の衛生部員及経理部員指揮の下に残留して引続き勤務に服せしむべし 第十条 普通人民の処置、市の行政会計事務及之に関する書類の引継ぎ其他本規約執行に関する細則は本規約付録に於て規定す 第十一条 本規約は日

大正十二年帝国国防方針 1923年02月28日

 大正十二年帝国国防方針(ひらがな化、一部新字体化)    帝国国防方針 一、帝国国防の本義は帝国の自主独立を保障し国利国権を擁護し帝国の国策に順応して国家の発展と国民の福祉増進とを図るに在り   凡そ国防の安固を期せんには内国礎を鞏固にして国力の充実を図り外列国との交誼を敦厚にして海外の発展を策し武備を厳にして外侮を防き常に正義公道に立脚し列国と協調して紛争の禍因を除き以て戦争を未発に防遏するに努むると共に一朝有事に際しては国家の全力を挙けて敵に当り速に戦争の目的を達するの用意あるを要す 二、帝国国防の方針は国際的孤立を避け帝国と衝突の機会最多き外国に対して特に警戒を厳にし敵国の結合を破り興国の連盟を密にし以て戦争の遂行を有利ならしむるに努め一旦緩急あらは攻勢作戦を以て敵を帝国の領土外に撃破し速に戦争の局を結ふに在り之と同時に海外物資の輸入を確実にして国民生活の安全を保障し以て長期の戦争に堪ふるの覚悟あるを要す 三、熟世界の大勢を按するに大戦後国際の政情未た安定せす曩に国際連盟の締結を見たるも米国か加盟を拒否したる為其効力頗る疑はしく今や新に太平洋及極東に関する諸協約を重ねたるも未た東亜の全局に伏在する禍根を芟除するを得す是れ蓋し国際関係の複雑し列国利害の錯綜せる現代政局の斎す自然の結果にして条約を以て戦争の滅絶を望むか如きは到底不可能と謂はさるへからす而して政局紛糾禍機醞醸の起因は主として経済問題にあり   惟ふに大戦の創痍癒ゆると共に列強経済戦の焦点たるへきは東亜大陸なるへし蓋し東亜大陸は地域広大資源豊富にして他国の開発に俟つへきもの多きのみならす巨億の人口を擁する世界の一大市場なれはなり是に於て帝国と他国との間に利害の背馳を来し勢の趨くところ遂に干戈相見ゆるに至るの虞なしとせす而して帝国と衝突の機会最多きを米国とす 四、米国は輓近国力の充実に伴ひ無限の資源を擁して経済的侵略政策を遂行し特に支那に対する其経営施設は悪辣なる排日宣伝と共に帝国か国運を賭し幾多の犠牲を払ひて獲得したる地位を脅し遂には帝国の隠忍自重を許ささらんとし又其西伯利方面に対する経済的発展は近年露国政情の変態に乗して益々露骨となり亦帝国の発展と相容れす加之加州の邦人排斥は漸次諸州に波及して愈々根底を鞏からしめ布哇に於ける邦人問題亦楽観を許ささるものあり是等経済問題と人種的偏見とに根させる多年の

産業設備営団法 1941年11月25日

 産業設備営団法(ひらがな化、一部新字体化、一部省略) 法律第九十二号 產業設備營團法    第一章 総則 第一条 産業設備営団は戦時(戦争に準ずべき事変の場合を含む)に際し軍需産業、生産拡充計画産業其の他の国家緊要産業の設備にして事業者に於て建設又は維持すること著しく困難なるものを施設し並に産業設備(之に充つべき機械及器具を含む)にして未完成又は遊休の状態に在るもの(以下未動遊休設備と称す)の活用を図ることを目的とす   産業設備営団は法人とす 第二条 産業設備営団は主たる事務所を東京市に置く  産業設備営団は政府の認可を受け必要の地に従たる事務所を設置することを得 第三条 産業設備営団の資本金は二億円とす 第四条 政府は二億円を産業設備営団に出資すべし  前項の出資は国債証券を交付して之を為すことを得  前項の規定に依り交付する国債証券の交付価格は時価を参酌して大蔵大臣之を定む 第五条 産業設備営団は定款を以て左の事項を規定すべし 一 目的 二 名称 三 事務所の所在地 四 資本金額及資産に関する事項 五 役員に関する事項 六 業務及其の執行に関する事項 七 産業設備債券の発行に関する事項 八 会計に関する事項 九 公告の方法 定款は政府の認可を受け之を変更することを得 第六条 産業設備営団は勅令の定むる所に依り登記を為すことを要す  前項の規定に依り登記すべき事項は登記の後に非ざれば之を以て第三者に対抗することを得ず 第七条 産業設備営団には所得税、法人税及営業税を課せず  北海道、府県、市町村其の他之に準ずべきものは産業設備営団の事業又は第十七条第一項第一号若は第三号の業務の為にする建物の建設若は取得若は土地の取得に対しては地方税を課することを得ず但し産業設備営団の事業に対しては特別の事情に基き内務大臣及大蔵大臣の認可を受けたる場合は此の限に在らず 第八条 産業設備営団が第十七条第一項第一号又は第三号の業務の為にする不動産に関する権利の取得又は所有権の保存に付登記を受くる場合に於ては其の登録税の額は不動産の価格の千分の一とす 第九条 産業設備営団に付解散を必要とする事由発生したる場合に於て其の処置に関しては別に法律を以て之を定む 第十条 産業設備営団に非ざる者は産業設備営団又は之に類似する名称を用ふることを得ず 第十一条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条

中国主権尊重原則実行に関し日本に対する要望 1939年06月15日

 中国主権尊重原則実行に関し日本に対する要望(ひらがな、新字体化)         序  言 帰国後日本か真に中国の主権を尊重せられんとする真意を我同志及国民に諒解せしむる各般の工作を行はさるへからす 右工作は日本の真意を納得せしむるに足る「事実」に立脚せさるへからす 以下政治、軍事、経済に分ち記述する所のものは右工作実行の為日本の諒解及保証を得置き度き最低条件にして中国主権尊重の原則は之か実現に依りて始めて効果ありと思料する次第なり 詳細弁法は中央政府改組して南京に帰還の後中日両国政府当局間に於て日支調整原則及其精神に基き慎重研究の上決定せらるへきものなり    六月十五日                   汪 兆 銘         追  記 本稿に対する御意見は成るへく速に開示せられ度く大体の御意見たけにても六月二十六日出発の周佛海に指示せられんことを望む        一、内政に就て 中国の内政の独立自主たるへきことに関しては日本の屡次闡明せらるる原則なるも尚事実に即して日本の好意を国民に証明し其注意を喚起せんか為以下緊要なる数点を列挙し日本側の実行を切望す 一、中国は絶対に抗日排日の思想言論を厳禁し親日的国民教育を徹底励行すへく日本側に於ても亦侮華侵華思想乃至態度を是正し親華教育を実施せられ度し 二、我国民をして日本か我内政に干渉するの意図あるか如き疑惑を抱かしめさる為中央政府に在りては政治顧問及之に類似するか如き名義職位を設くるを避けられ度政治的に日本と商議を要する事項は総て正当なる経路を経て中華民国駐在日本大使と行ふことと致し度し 三、中央政府各院、各部中行政関係の院、部に於ては内政干渉の疑惑を避くる為日本人を職員として任用せさることと致し度し   自然科学の技術に関する各部に於ては日本の専門家を技術顧問として招聘するも其職域は技術方面に限定し一般行政には参画せさることを方針とす従て当該部の技術と関係ある会議には主管長官の通知に依り之に列席するを得るも一般行政会議には列席せさるものとす但し技術顧問の招聘に当りては上級官庁の認可を受くるを要す   技術顧問に関する任用規定及服務規定は中央政府之を公布す 四、各省政府及特別市政府に於ても上述の趣旨に依り政治顧問又は類似の名義を有する職位を設けす   日本軍の撤退以前に在りては当該地方に於ける日本軍との商議

満洲事変に関する政府第三次声明 1931年12月27日

 満洲事変に関する政府第三次声明(ひらがな化、一部新字体化) 滿洲事變ニ關スル政府第三次聲明 十二月二十七日 一、満蒙に於ける治安の維持は帝国政府の恒に最重要視する所にして政府に於ては従来各般の機会に同地方の康寧を保持し且之か軍閥争乱の巷と化するを防かむか為百方適法の手段を講し来れり治安の保持ありて始めて同地方は内外人安住の地たるを得ヘく又秩序なき所門戸開放、機会均等も結局空名に終るヘし図らすも今次事件は帝国に対し満蒙に於ける新なる責任を加へ而して其の活動の範囲は更に広汎なるを致せり即ち支那側の不当なる攻撃に対し必要の自衛手段を執りたる結果帝国は広大なる地域に亘りて公共の安寧を維持し住民の権益を保護するの義務を負ふの巳むを得さるに至れり当時支那地方官憲は法律秩序保持の為何等協力の機会を求めす一斉に逃亡又は辞職せり斯かる状況の下に無辜の地方民の災害を出来得る限り鮮少ならしむるは明かに帝国の責務にして之に反し我方に於て右等良民を無政府状態の渦中に委するか如きは正に前記責務の懈怠たるヘし是れ我軍か多大の犠牲を忍ひ支那官憲の機能を失ヘる地方に於て人命財産の安全を保持せんか為全力を尽し来りたる所以にして畢竟我軍は事態自然の推移によりて其の欲すると否とに拘らす右の如き責務を負ふるに至れるものなり 二、右の如く今次事件の発生に依り既存諸機関の破壊を見たるに止らす満蒙地方に於ける馬賊其の他不逞分子は自然其の跳梁を増すに至りたるも我軍の所在する方面に於ては其の威力に依り漸次治安の恢復に向ひつつありたり然るに十一月上旬前後より鉄道付属地接壌地方殊に満鉄本線西方に於ける此等不逞分子の跳梁俄に顕著となり来れる処右馬賊等の活動は錦州軍憲の組織的策謀に基くものなること捕虜の供述、押収文書其の他各種の情報に依り疑を容れさる所なり錦州方面に於ける第三国武官中支那側に於て何等攻撃の準備をなし居る証左なしとの報告をなし居るものある処錦州軍憲か大体打虎山以西の北寧線上及其の付近の各地に亘り巨大なる兵力を擁し居るは明かにして我軍の周密なる偵察に依れは此等軍隊か錦州其の他の駐屯地に於て着々兵備を整へ居る証跡顕著なるものあるのみならす其の前衛部隊を錦州より遥に東方にある田庄台、台安、白旗堡等遼河右岸の各地を連ぬる線に配置し居ること確実なり而して右事態か満鉄沿線其の他数地に分散駐屯せる我在満部隊に対する不断の脅

時局処理方策 1931年10月08日

 時局処理方策(ひらがな化、一部新字体化)          昭和六年十月八日   時局処理方策 一、解決方針 (イ)満蒙問題は支那本部より分離して満洲に樹立せらるへき新政権と交渉し根本的解決を期す    但し新政権の樹立を待つことなく満蒙各地に成立する地方機関と交渉し局地毎に我権益の実現に努む (ロ)支那本部に対しては排日行為を根絶し通商貿易を円滑ならしめむことを期す    之か為要すれは武力を行使することあるへし (ハ)第三国(者)に対しては極力諒解を得るに努め不法なる干渉は之を排除す 二、解決要領  其一、満蒙に関するもの (イ)満蒙に樹立すへき新政権は我帝国に信倚するものなるを要し其樹立には絶対に表面的関与を避け裏面的に助力を与ふ (ロ)新政権樹立迄に相当の時日を要すへきも既に満蒙各地に地方政権成立しつつあるを以て之等政権と各地毎に成るへく速に既得権益の実現に努む (ハ)支那本部所在の政権とは満蒙自体の問題に関する交渉は之を避く (ニ)満蒙に於ける新政権及地方政権に対し容認せしむへき解決事項別紙の如し (ホ)関東軍司令官隷下部隊は問題解決迄概ね現在の態勢を保持し且治安維持の為必要なる行動を取らしむ  其二、支那本部に関するもの (イ)支那本部政権に対し排日排貨等不当不法の行為を即時停止し且将来に亘り之か根絶を期すへきことを要求し同時に右政権にして之に応せさるか又は之を事実に現はし得さる場合に於ては帝国は必要にして有効なる措置を取るへき旨を通告し且之を中外に声明す (ロ)現地に於て帝国居留民を保護するの必要生するに於ては概ね之を北平、天津、青島、漢口、上海、厦門等に集合し長江沿岸、青島、厦門等に於ては海軍之か保護に任し北平、天津に於ては所要の陸兵を派遣し之か保護に当らしむ    情況之を要すれは青島又は上海に一部の陸兵を派遣す 其三、国民指導並宣伝 (イ)国民に対し時局に関する理解認識を徹底せしめ挙国一致目的の貫徹に邁進す (ロ)対外宣伝並列国の諒解を得ることに努め以て第三国(者)の干渉を防止す然れとも尚且其干渉を見る場合に於ては断乎として之を排撃す 別紙   満洲新政権及地方政権に対し容認せしむへき解決事項 一、従来の諸懸案に関する主なる事項(速に具現策を講す)  1.鉄道問題   (イ)吉敦線の延長工事   (ロ)長大線の敷設   (ハ)吉敦、洮昂及四洮各

本土決戦完遂基本要綱 1945年02月26日

 本土決戦完遂基本要綱(ひらがな化、一部新字体化)    本土決戦完遂基本要綱             昭和二〇・二・二六             参謀本部、陸軍省 一 帝国は本年中期を目途とし国土作戦準備を完成す 之か為省部真に一体となり 根本的戦政諸施策を概ね三月末頃迄に決定し且中央諸施策は即時開始し遅くも三月末迄に全面的発動を完了す 二 国家戦力の配分は新なる戦局に基く作戦上の要請を充足するを第一義として軍民需の間を調整す 尚AB間の配分に関しては両統帥部を中心とし陸海省部間に於て作戦に基く今後の戦備の大綱を決定したる上軍政当局に於て即時交渉を開始し速かに之を決定するものとす   之か為上下心を一にし上級者は陣頭に立ちて直接交渉に任する外有ゆる措置を講し以て陸軍の要求を貫徹す 本土に在る所要海軍部隊は適宜該方面所在陸軍指揮官の指揮に入らしむる外海軍保有の人員、資材、施設中所要のものを陸軍に転活用するに努む 三 国土決戦に応する必勝兵備を完整すへき国力の運営は秋期に於ける決戦即応を第一義とし国力の著しき低下は之を忍ふものとす 1 航空及限定せる特攻兵備は優先とし既定計画の完遂に努む 2 地上兵備は既定計画(装備に就ては別途研究す)を完遂す 四 輸送に関しては左の如く措置す 1 在大陸兵団資材等の内地還送は本秋決戦戦力の集中結成を第一義とし物動物資は第三項に即応し本年中期迄に戦力化可能なるものに限定す   但し糧秣は本年端境期頃に於ける需要をも顧慮し所要最低限量を還送す 2 本年秋期決戦に即応する如く船舶運行の最大能力を発揮する為船舶及港湾は陸軍主体となり軍に於て一元的に運用す 差当りC船の大部は陸軍に於て徴傭(使用)する外A、B船をして極力物動物資の輸送に協力せしむ   尚海上護衛特に朝鮮海峡の防衛を重視す  前諸項を急速に具現するため戦争目的完遂の根本問題として概ね三月末を目途とし左記施策を講す     左 記  新なる性格の大本営を設置し且内閣官制を改正すると共に特に陸海軍の統合を急速に断行し強力敏速なる作戦及戦争指導の実行を期す  筆者注 文中A-陸軍、B-海軍、C-民需の略号 (戦史叢書82大本営陸軍部<10>昭和二十年八月までP73~)

世界情勢判断 1945年02月15日

 世界情勢判断(ひらがな化、一部新字体化、不明文字あり) 最高戦争指導会議            昭和二十年二月十五日  世 界 情 勢 判 断 概ね昭和二十年中期を目途とする世界情勢の推移を判断し爾後の戦争指導に資せんとす     目  次 第一節  東亜の情勢 第二節  「ソ」の対日動向 第三節  欧州の情勢 第四節  総合判断      第一節 東亜の情勢 米国は其の兵力重点を東亜に指向し優越せる物量威力を以て戦争早期終結を目途とし重慶を利用しつつ英国と共に東亜に対し強引果敢なる攻勢を続行すると共に極力「ソ」連を対日参戦に導入するに努むへし 尚帝国並に大東亜諸国に対し執拗なる政謀略を併用し其の戦意の喪失を謀るへし 而して東亜戦線に対する補給線の延長は米にとり今後弱点たると共に我出血作戦による人的資源の損耗は米の最も苦痛とするところなり 一、太平洋方面 米は欧州戦況の推移に概ね関はりなく更に対日攻勢を熾烈化放■なる作戦を指導すへし 即ち米軍は比島作戦の早期完了に努力を傾注すへく其の進展に伴ひ「マリアナ」及比島を対日攻勢の策源たらしめ支那大陸沿岸及本土近海諸島に基地を推進し概ね八、九月頃迄に帝国本土に対する包囲進攻態勢の確立を図り益々空襲を激化して極力本土を軟化すると共に大陸と本土との分断を図り且国民の戦意の破摧を図りたる上帝国本土要域に対する上陸を企図すへし 但し帝国国力及戦力の推移に依りては本年六、七月頃に於て本土要域に対する上陸を企図することあるへし 又敵は三、四月の候より其の機動艦隊を本土近海に作戦せしめ空襲及擾乱を企図するの算大なり 尚敵は比較的早期に仏領印度支那方面に対し上陸作戦を実施することあるへし 二、緬甸及印度洋方面 緬甸方面に対しては引続き圧力を加重すへし 又太平洋方面の攻勢と関連し印度洋正面より「アンダマン」「ニコバル」北部「スマトラ」等に基地の推進を図り次て本年春夏の交敵は馬来半島に上陸するの算あり 又引続き「スマトラ」油田地帯等に対する大規模空襲を実施すへし 三、支那方面 重慶は印支地上「ルート」の啓開保持に努め戦力の快復増強特に其の軍隊の米式化に伴ひ米の作戦に策応し対日反攻を実施すへし 米、支空軍の増勢は依然継続すへく、太平洋方面と呼応して陸海交通の遮断、日満支要域に対する爆撃を愈々増大すへし 我占拠地域に対する敵特に延安側の蠢動は益々

今後採るべき戦争指導の大綱に基く対外政略指導要領 1944年08月08日

 今後採るべき戦争指導の大綱に基く対外政略指導要領(ひらがな化、一部新字体化)    今後採ルヘキ戰争指導ノ大綱ニ基ク對外政略指導要領                  昭一九・八・八 一、対「ソ」、支積極方策 1.概ね本秋頃を其の結実の目途とし「ソ」をして帝国と重慶(延安を含む)との終戦を、已むを得さるも延安政権との停戦妥協を斡旋せしめ且独「ソ」に対し独「ソ」間の国交快復を勧奨す 2.速かに有力なる帝国使節を先つ「ソ」に派遣す   其の出発の時期は遅くも八月下旬と予定す   之か為日「ソ」経済提携等を提議し其の折衝の間帝国の新企図達成の為の機を作為するものとす   但し帝国の弱体を暴露し「ソ」の対日態度を悪化するか如きこと無からしむ 3.日「ソ」関係の好転を図り且為し得れは帝国と重慶との終戦を仲介せしむる為特派使節を派遣すへき旨を独に通告す 4.特派使節赴「ソ」後に於ける日「ソ」交渉の進展に応し適時独に対し独「ソ」国交快復を勧奨すへき帝国の真意を通達し独の意向を聴取す   独か帝国の斡旋に容易に応せさる場合と雖も「ソ」にして独「ソ」和平の意思あるに於ては帝国は独を強力に指導し同調するに至らしむ 5.日蒋和平条件、独「ソ」和平斡旋の為独をして「ソ」に譲歩せしむへき条件並に帝国の対「ソ」譲歩条件別紙第一、第二、第三の如し 6.此の間重慶に対しては其の抗戦態勢の破摧衰亡に努むると共に其の動向偵諜に努めつつ対「ソ」交渉の成果に即応し対重慶直接交渉を行ふ場合あるを予期し所要の準備を整ふ 7.「ソ」を介して行ふ対中共工作を促進する如く「昭一九・七・三連絡会議決定対支作戦に伴ふ宣伝要領」の趣旨を拡充する等所要の措置を講す 8.本項工作の準備並に実行は帝国政府之を行ひ大本営は密に協力す 二、大東亜戦争協力態勢の強化方策 1.大東亜戦争協力を確保増進する為速かに支那、泰、仏印、比島、緬甸に於ける帝国代表(指導)機構に二位一体制を確立す大使の選定に当りては現地の実情に即せしむ 2.国民政府に対しては既定方針を堅持するも対重慶政治工作の進展度如何に依りては之を発展的に解消することあり   汪精衛死没せる場合は国民政府に急激なる動揺を与へさるを主旨とし事態を収拾す   但し政府主席の地位は差し当り代理とし支那問題の解決促進に資するものとす 3.「インドネシヤ」民族に対し独立を許容する方針

新日本建設に関する詔書 1946年01月01日

 新日本建設に関する詔書(ひらがな化) 官報 号外 昭和二十一年一月一日 詔書 茲に新年を迎ふ。顧みれば明治天皇明治の初国是として五箇条の御誓文を下し給ヘり。曰く、 一、広く会議を興し万機公論に決すヘし 一、上下心を一にして盛に経綸を行ふヘし 一、官武一途庶民に至る迄各其志を遂け人心をして倦まさらしめんことを要す 一、旧来の陋習を破り天地の公道に基くヘし 一、智識を世界に求め大に皇基を振起すヘし 叡旨公明正大、又何をか加ヘん。朕は茲に誓を新にして国運を開かんと欲す。須らく此の御趣旨に則り、旧来の陋習を去り、民意を暢達し、官民拳げて平和主義に徹し、教養豊かに文化を築き、以て民生の向上を図り、新日本を建設すベし。 大小都市の蒙りたる戦禍、罹災者の艱苦、産業の停頓、食糧の不足、失業者増加の趨勢等は真に心を痛ましむるものあり。然りと雖も、我国民が現在の試煉に直面し、且徹頭徹尾文明を平和に求むるの決意固く、克く其の結束を全うせば、独り我国のみならず全人類の為に、輝かしき前途の展開せらるることを疑はず。 夫れ家を愛する心と国を愛する心とは我国に於て特に熱烈なるを見る。今や実に此の心を拡充し、人類愛の完成に向ひ、献身的努かを効すベきの秋なり。 惟ふに長きに亘れる戦争の敗北に終りたる結果、我国民は動もすれば焦躁に流れ、失意の淵に沈淪せんとするの傾きあり。詭激の風漸く長じて道義の念頗る衰へ、為に思想混乱の兆あるは洵に深憂に堪ヘず。 然れども朕は爾等国民と共に在り、常に利害を同じうし休戚を分たんと欲す。朕と爾等国民との間の紐帯は、終始相互の信頼と敬愛とに依りて結ばれ、単なる神話と伝説とに依りて生ぜるものに非ず。天皇を以て現御神(あきつみかみ)とし、且日本国民を以て他の民族に優越せる民族にして、延て世界を支配すベき運命を有すとの架空なる観念に基くものにも非ず。 朕の政府は国民の試煉と苦難とを緩和せんが為、あらゆる施策と経営とに万全の方途を講ずベし。同時に朕は我国民が時艱に蹶起し、当面の困苦克服の為に、又産業及文運振興の為に勇往せんことを希念す。我国民が其の公民生活に於て団結し、相倚り相扶け、寛容相許すの気風を作興するに於ては、能く我至高の伝統に恥ぢざる真価を発揮するに至らん。斯の如きは実に我国民が人類の福祉と向上との為、絶大なる貢献を為す所以なるを疑はざるなり。 一年の計は年頭に在り、朕

大東亜戦争目的貫徹に関する決議 1941年12月17日

 大東亜戦争目的貫徹に関する決議(ひらがな化、一部新字体化)    決   議 対米英宣戦の 大詔を承けて皇軍の作戦間髪を容れず頻りに快捷を奏して四海の耳目を驚動す斯の如きは前古未だ会て其の類を見ず皇国臣民の感激措く能はざる所なり 太平洋制圧の強権概ね既に我が掌中に帰し加ふるに盟邦の誓愈愈堅きを以てす前路素より蓁莽なきにあらずとするも安んぞ復敵国の蠢動を許さんや 宜しく謹みて 聖旨を奉体し深く皇軍の籌画に信頼し官民一丸以て大東亜戦争の目的を貫徹すべし 右決議す (内閣府:公文雑纂・昭和16年・第60巻)

人造石油製造事業法 1937年08月09日

 人造石油製造事業法(ひらがな化、一部新字体化、一部省略) 法律第五十二号    人造石油製造事業法 第一条 本法は液体燃料の供給を確保する為人造石油製造事業の確立を図ることを目的とす 第二条 人造石油製造事業を営まんとする者は政府の許可を受くべし  前項の人造石油製造事業の範囲及許可に関し必要なる事項は本法に定むるものの外勅令を以て之を定む 第三条 前条の許可を受くることを得べき者は帝国法令に依り設立したる株式会社にして其の株主の半数以上、取締役の半数以上、資本の半額以上及議決権の過半数が帝国臣民又は帝国法令に依り設立したる法人に属するものに限る  前項の法人は其の社員、株主若は業務を執行する役員の半数以上又は資本の半額以上若は議決権の過半数が外国人又は外国法人に属せざるものなることを要す  前条の許可を受けたる者第二項の規定に該当せざるに至りたるときは許可は其の効力を失ふ 第四条 第二条の許可をうけたる会社(人造石油製造会社)は政府の指定する期間内に其の事業を開始すべし  政府は正当の事由ありと認むる場合に限り前項の期間の延長を許可することを得  人造石油製造会社前二項の期間内に其の事業を開始せざるときは第二条の許可は其の効力を失ふ 第五条 人造石油製造会社の営む石油製造事業は土地収用法第二条の土地を収用又は使用することを得る事業とし同法を適用す 第六条 人造石油製造会社には命令の定むる所に依り本法施行の日より十年間其の事業に付所得税及営業収益税を免除す 第七条 北海道、府県及市町村其の他之に準ずべきものは前条の期間人造石油製造会社には其の事業に対し又は其の事業に属する資本金額、従業者、製造若は加工の用に供する器具機械類、使用動力又は収入を標準として課税することを得ず 第八条 人造石油製造会社其の事業の為必要なる器具、機械又は材料を政府の認可を受け輸入するときは本法施行の日より七年間命令の定むる所に依り輸入税を免除す 第九条 政府は人造石油製造会社に対し命令の定むる所に依り其の製造したる人造石油に付奨励金を交付することを得 第十条 詐欺の行為を以て前条の奨励金の交付を受けたる者に対しては其の金額を返還せしむ  前項の規定に依る返還金は国税滞納処分の例に依り之を徴収することを得但し先取特権の順位を国税に次ぐものとす 第十一条 人造石油製造会社は事業拡張の場合に於て

青年学校令 1935年04月01日

 青年学校令(ひらがな化、一部新字体化) 勅令第四十一号    青年學校令 第一条 青年学校は男女青年に対し其の心身を鍛錬し徳性を涵養すると共に職業及実際生活に須要なる知識技能を授け以て国民たるの資質を向上せしむるを目的とす 第二条 北海道府県、市町村、市町村学校組合、町村学校組合及町村制を施行せざる地域に於ける町村又は町村学校組合に準ずベき公共団体は青年学校を設置することを得  市町村、市町村学校組合及町村学校組合は前項の規定に依り青年学校を設置する場合に於て費用の負担の為学区を設くることを得 第三条 商工会議所、農会其の他之に準ずベき公共団体は青年学校を設置することを得  前項の規定に依り設置したる青年学校は私立とす 第四条 私人は青年学校を設置することを得 第五条 青年学校の設置廃止は道府県立の学校に在りては文部大臣、其の他の学校に在りては地方長官の認可を受くベし  青年学校の設置廃止に関する規則は文部大臣之を定む 第六条 青年学校に普通科及本科を置く但し土地の情況に依り普通科又は本科のみを置くことを得  青年学校には研究科を置くことを得 第七条 普通科の教授及訓練期間は二年とす  本科の教授及訓練期間は男子に在りては五年、女子に在りては三年とす但し土地の情況に依り男子に在りては四年、女子に在りては二年と為すことを得  研究科の教授及訓練期間は一年以上とす 第八条 普通科に入学することを得る者は尋常小学校卒業者又は之に相当する素養ある者とす  本科に入学することを得る者は普通科修了者、高等小学校卒業者又は之に相当する素養ある者とす  研究科に入学することを得る者は本科卒業者又は之に相当する素養ある者とす 第九条 普通科の教授及訓練科目は男子に在りては修身及公民科、普通学科、職業科並に体操科とし女子に在りては修身及公民科、普通学科、職業科、家事及裁縫科並に体操科とす  本科の教授及訓練科目は男子に在りては修身及公民科、普通学科、職業科並に教練科とし女子に在りては修身及公民科、普通学科、職業科、家事及裁縫科並に体操科とす  研究科の教授及訓練科目は本科の教授及訓練科目に就き適宜之を定むベし但し修身及公民科は之に缺くことを得ず  教授及訓練科目の程度は文部大臣之を定む 第十条 青年学校には特別の事項を修得せしむる為専修科を置くことを得  専修科に関する規則は文部大臣

物価統制要綱 1939年05月05日

 物価統制要綱(ひらがな化、不明文字あり) 昭和14年5月5日 閣議決定 第一 物価政策の目標 一、戦時物価問題解決の急務 支那事変の推移及長期建設の進展に対応すべき戦時経済の運営上特に現下最大の急務は生産力の拡充と物価問題の解決とに在り就中速に所要の対策を講じて一定の物価基準を確保するに非ずんば、一切の経済国策は其の枢軸を失ひ竟に聖戦の目的達成を期待すべからざるに至るべし、蓋し高物価は イ、輸出を困難ならしめ、軍需及生産力拡充に緊要なる物資の輸入力を著しく減殺すべし ロ、政府予算の執行を阻害し軍備の充足をも至難ならしむべし ハ、国民貯蓄の意念を根底より覆し、公債政策の運行並に生産力拡充資金の調達を不可能ならしむべし ニ、生産力拡充を要する事業の基礎を脆弱にし、其の経営の前途を不安ならしむべし ホ、国民生活を危殆に陥らしめ、社会不安を激成すべし 即チ物価にして一度其の安定を失ひ昂騰の勢を激成するに於ては収拾の途なく、戦時経済は混乱に陥るべきを以て、此の際万難を排し抜本的対策を断行するの要あり 二、総合的物価対策の必要 政府は事変発生以来物価騰貴抑制の為夙に応急的の措置を講じ夫々効果を挙げ来りたるも今後の事態に備ふる為には単に物価現象のみならず根本的に財政経済の全分野に亘り総合的対策を確立せざるべからざるの時機に到達せるものと謂ふべし、蓋し物価は財政経済の凡ゆる部面と密接なる相互関連を有しその総合点として現るゝものなるが故に根本的に財政経済の全分野即チ物資の生産、配給、消費、資金、労力、運輸等の適合並調整等に亘り総合的対策を確立実施せざるべからず、斯かる総合的対策によりてのみ始めて事変所期の目的たる長期建設の大業を達成するを得べきなり而してその実行に付ては政府が全機関を挙げて一層有機的にその機能を発揮すると共に一般国民特に産業に従事する者が戦時物価問題解決の重要性及根本対策の趣旨を深く認識することを緊要とし真に官民一致の全面的努力に俟つの外なし 三、物価基準の決定 (一)現下の物価統制の目的は、現在の為替相場を堅持しつゝ輸出を増進し生産の拡充、軍需の供給に支障なからしむると共に、国民生活の安定を図り、戦時経済の運営を完からしむるに在り、而して之が為には国内物価の安定を急務とし其の基準は国際物価水準に照応して輸出の増進を可能ならしむることを其の目標とす (二)右基準を具

日支新開係調整要綱 1940年01月08日

 日支新開係調整要綱(ひらがな化、一部新字体化)        日支新關係調整要綱 一、日支両国政府は別記「日支新関係調整に関する基本原則」に準拠し新国交を調整すること。 二、新国交修復以前に於て、既成政府の弁じたる事項は差当り之を継承し、事態之を許すに伴ひ第一項の原則に準拠して調整せらるべきこと。 三、事変継続中は之に伴ふ特殊の事態の存在を諒解すること。   右特殊事態は情勢の推移乃至事変の解決に伴ひ第一項の原則に準拠し整理せらるべきこと。 〔別 記〕      一、日支新関係調整に関する基本原則  日満支三国は東亜に於ける新秩序建設の理想の下に相互に善隣として結合し、東洋平和の枢軸たることを共同の目的と為す。之が為基礎たるべき事項左の如し。      左 記 一、互恵を基調とする日満支一般提携就中善隣友好、共同防共、経済提携原則を設定すること。 二、北支及蒙疆に於ける国防上並に経済上日支間の緊密なる合作地帯を設定すること。   蒙疆地方は前項の外特に防共の為軍事上並に政治上特殊地位を設定すること。 三、揚子江下流地域に於て、経済上日支間の緊密なる合作を具現すること。 四、南支沿岸特定島嶼に於ける軍事上緊密なる合作を具現すること。 五、右諸項の具体的事項に関しては「日支新関係調整に関する具体原則」に準拠し、所要の協定を締結すること。      二、日支新関係調整に関する具体原則         第一、善隣友好  日満支三国は相互に本然の特質を尊重し、緊密に相提携して東洋の平和を確保し、善隣有効の実を挙ぐる為、各般に亘り互助敦睦の手段を講ずること。 一、支那は満洲帝国を承認し、日本は支那の領土及行政の保全並に主権の独立を尊重し、日満支三国は新国交を修復すること。 二、日満支三国は政治、外交、教育、宣伝、交易等諸般に亘り相互に好誼を破壊するが如き措置及原因を撤廃し、且将来に亘り之を拒絶すること。 三、日満支三国は相互提携を基調とする外交を行ふこと。 四、日満支三国は文化の融合、創造及発展に協力すること。 五、日満支善隣関係の具現に伴ひ日本は漸次租界、治外法権等の返還を考慮すること。         第二、共同防共 日満支三国は協同して防共に当る。 一、日満支三国は各々其の領域内に於ける共産分子及組織を芟除すると共に、防共に関する情報、宣伝等に就き提携協力すること。 二

支那新中央政府樹立に関連する処理方針 1940年01月08日

 支那新中央政府樹立に関連する処理方針(ひらがな化) 支那新中央政府樹立ニ関連スル処理方針 昭和15年1月8日 閣議決定 一、昭和十四年十一月一日興亜院会議決定に基き支那新中央政府樹立に関連する諸工作を実施し来りたる処昭和十四年十二月三十日に至り日支工作員相互間に意見の合致を見たるを以て帝国政府としては一応之に了解を与へ速に新中央政府を樹立せしむることとす 右工作員の間に於て意見の合致を見たる要旨別冊「日支新開係調整要綱」の如し 二、新中央政府を相手とする正式国交調整交渉開始の時期並に国交調整条件は該政府の発育及内外の情勢を見極めたる上追て之を決定するものとす (国立国会図書館:https://rnavi.ndl.go.jp/cabinet/bib00224.html)

新中央政府樹立方針 1939年06月06日

 新中央政府樹立方針(ひらがな、新字体化)      新中央政府樹立方針                  昭和十四年六月六日                  五相会議決定 一、新中央政府は汪、呉、既成政権、飜意改替の重慶政府等を以て其の構成分子となし支那側の問題として此等の適宜協力に依り之を樹立すへきものなり 二、新中央政府は日支新関係調整に関する原則に準拠して日支の国交を正式に調整すへく之か構成分子は予め右原則を受諾すへきものなり 三、新中央政府の構成並樹立の時期は全局に亘る戦争指導上の段階に即し自主的見地に基きて律せらる之か為特に人的要素及基礎的実力の具備を必要とす 四、支那将来の政治形態は其の歴史及現実に即する分治合作主義に則るへきも其の内容に関しては日支新関係調整方針に準拠し北支を国防上及経済上(蒙彊は特に高度の防共自治区域)又揚子江下流地域を経済上の日支強度結合地帯とし南支沿岸特定島嶼に特殊地位を設定するの外内政問題として支那側に委するを本則とし努めて之に干渉することを避く特に新中央政府の形態に即し且其の為政者の意思を尊重すると共に既成政権に対する我特殊関係の処理を考慮す 五、国民党並三民主義に関しては容共抗日を放棄し親日満防共を方針とする如く改むるに於ては他の親日防共を主義とするものと等しく其の存在を妨けす 六、重慶政府か抗日容共政策を放棄し且所要の人的改替を行ふこと並前記第一及第二項を受諾したる場合には之を屈伏と認め新中央政府構成の一分子たらしむ 別 紙       「汪」工作指導腹案 一、指導の方針   汪をして呉及既成政権等と協力し文武の実力を具備せる強力なる政府を樹立せしむ之か為先つ所要の準備をなさしめ且其の間特に重慶政府諸勢力就中其の要人の獲得に努力せしむ 二、指導要領 1.汪をして呉及既成政権等と協力し強力なる政府を樹立する為所要の準備工作をなさしむ   而して準備工作は基礎地盤の設定、対重慶工作、既成諸勢力の糾合、資金準備、兵力整備等の各般に亘るものとし之に対する我方の表面的干与は努めて之を制限す 2.新中央政府の樹立は我自主的戦争指導の段階に即応して律せらるへく之に関し帝国として汪に要望すへき条件左の如し イ、新中央政府樹立準備期間に於て汪、呉、既成政権等相協力し極力重慶政府諸勢力就中其の要人を獲得するに努むると共に基礎地盤を確立し以

臨参命第一号 1931年09月22日

 臨参命第一号(ひらがな化、一部新字体化) 臨参命第壱號        命    令 朝鮮軍司令官隷下部隊より左記部隊を満洲に派遣し関東軍司令官の指揮を受けしむ         左    記    歩   兵     一 旅 団(一大隊缺)    騎   兵     一 中 隊    野 砲 兵     二 大 隊    工   兵     一 中 隊    飛   行     二 中 隊    通 信 隊     一   隊 右諸隊は鴨緑江通過の時を以て関東軍司令官の指揮に入るものとす 細項に関しては参謀総長をして指示せしむ   昭和六年九年二十二日 (Source:国立公文書館:臨参命 臨命 初 3部の内3号(1)C14060917300) 

国民政府承認の件 1940年11月28日

 国民政府承認の件    十一月二十八日第一回連絡懇談会       国民政府承認の件 一、出席者 四相、両次長、鈴木政務部長 二、先つ陸相より本連絡懇談会設置の趣旨に就き発言する所あり 三、国民政府承認十一月三十日を議決す 四、十一月三十日迄に停戦申込ありたる場合に於ても承認期日を変更することなし 五、承認を伴ふ処置 1.世界へ声明を発す(興亜院、外務省) 2.調印後は対重慶工作を漸く中止す   但対蒋和平を中止することなし 3.調印後は和知少将の松岡工作援助を取止む 4.独乙に対しては懇ろに応対す (国立公文書館:11月28日第1回連絡懇談会 国民政府承認の件 C12120245700) 

日ソ間の現情勢に対し帝国の採るべき措置に関する件 1941年08月06日

 日ソ間の現情勢に対し帝国の採るべき措置に関する件     日「ソ」間ノ現情勢ニ對シ帝國ノ採ルヘキ措置ニ關スル件                       昭和十六年八月六日                       大本営政府連絡会議決定 一、対「ソ」警戒防衛に遺憾なからしむると共に厳に刺戟的行動を戒め且紛争生起するも日「ソ」開戦に至らさる如く努めて之を局部的に防止するものとす 二、「ソ」側の真面目なる進攻に対しては防衛上機を失せす之に応戦す 三、右に伴ふ帝国の態度に関しては速に廟議を以て決せらる (国立公文書館:15、日「ソ」間の現情勢に対し帝国の採るへき措置に関する件 昭和16年8月6日 C12120207900)

臨時産業審議会官制 1930年01月20日

 臨時産業審議会官制 勅令第三号    臨時産業審議會官制 第一条 臨時産業審議会は内閣総理大臣の監督に属し其の諮問に応じて産業の合理化其の他産業振興に関する重要事項を調査審議す  審議会は前項の事項に付関係各大臣に建議することを得 第二条 審議会は会長一人、副会長二人及委員二十人以内を以て之を組織す  特別の事項を調査審議する為必要あるときは臨時委員を置くことを得 第三条 会長は内閣総理大臣を以て之に充つ  副会長、委員及臨時委員は之を勅命す 第四条 会長は会務を総理す  会長事故あるときは内閣総理大臣の指名する副会長其の職務を代理す 第五条 審議会に幹事長及幹事を置く内閣総理大臣の奏請に依り内閣に於て之を命ず  幹事長は会長及副会長の指揮を承け庶務を掌理す  幹事は上司の指揮を承け庶務を整理す 第六条 審議会に書記を置く内閣に於て之を命ず  書記は上司の指揮を承け庶務に従事す    附 則 本令は公布の日より之を施行す (国立公文書館:臨時産業審議会官制・御署名原本・昭和五年・勅令第三号 A03021763600)

商工審議会官制 1927年05月23日

 商工審議会官制(ひらがな化、一部新字体化) 勅令第百二十一号    商工審議會官制 第一条 商工審議会は商工大臣の監督に属し関係各大臣の諮問に応じて商工業に関する重要事項を調査審議す  商工審議会は前項の事項に付関係各大臣に建議することを得 第二条 商工審議会は会長一人委員三十人以内を以て之を組織す  特別の事項を調査審議する為必要あるときは臨時委員を置くことを得 第三条 会長は商工大臣を以て之に充つ  委員及臨時委員は商工大臣の奏請に依り学識経験ある者及関係各庁高等官の中より内閣に於て之を命ず 第四条 会長は会務を総理す  会長事故あるときは商工大臣の指名する委員其の職務を代理す 第五条 商工審議会に幹事を置く、商工大臣の奏請に依り内閣に於て之を命ず  幹事は会長の命を承け庶務を整理す 第六条 商工審議会に書記を置く、商工大臣之を命ず  書記は上司の指揮を承け庶務に従事す    附 則 本令は公布の日より之を施行す (国立公文書館:商工審議会官制・御署名原本・昭和二年・勅令第一二一号 A03021649300)